2014/10/05    01:07

【現地ルポ】香港デモに連携の声

「今日の香港は、明日の台湾」「香港、頑張れ」

10月1日、台北市の「自由広場」に集まった約4000人の学生たちは、こう声を張り上げた。中国政府を相手に果敢にデモを繰り広げる香港の学生たちのために、香港人の学生らが中心となって集会を組織し、台湾からもエールを送ったのだ。同じ日に、ロンドンなど世界の25カ所以上の都市でも、同様の動きが見られた。
 

オオカミの牙、ついに見えた

民主主義が侵食されている香港の現状に対し、台湾では、自国の未来を重ね合わせる見方が強い。香港が1997年に返還された際に、中国は「一国二制度」の仕組みのもとで、同地の民主制を50年間は維持すると約束した。しかし、全国人民代表会議(全人代)は8月末、2017年の香港行政長官選で、親中派以外の立候補を実質的に締め出す選挙制度案を決定し、その約束を反故にしてしまった。

そうなると、台湾も中国の動きを警戒せざるを得なくなる。中国は、香港と同様に、台湾とも「一国二制度」での統一を実現しようと工作しているからだ。今回の香港の一件で、「一国二制度を守る」という中国の建前は、信用ならないことが明らかになった。おばあさんに扮したオオカミの牙が見えたのである。

学生による3月の国会占拠デモにも参加した、会計士の林益堅さんは、こう語る。

「もし台湾が共産党政府に統一されるようなことがあれば、民主主義も自由も、公平な社会も失われます。中国本土では、共産党高官かその家族でなければ、ビジネスでも成功するのが困難ですが、私は自分の子供にそんな社会で暮らしてほしくありません」

海上覇権の拡大を急ぐ中国は、南シナ海や東シナ海での領土問題で周辺国に強硬姿勢を取ったが、そのことが逆に、日米が中心となって東南アジア諸国と「中国包囲網」を築く結果を招いた。今回の問題も、似たような構図だ。香港を自国の体制に組み込もうと中国が焦った結果、香港と台湾との間に「反共産党」という一体感が生まれている。
 

香港と台湾の連携が中国本土を変える?

台湾では、2008年に総統に就いた馬英九氏が経済を軸に大陸との結びつきを強め、経済から政治統一に向けた協議へと段階を進める直前まで来ていた。しかし3月に、大陸とのサービス協定締結に反対する学生らが、「ひまわり運動」の旗を掲げて国会を占拠。世論の後押しもあって、馬政権は譲歩せざるを得なかった。香港のデモは、この「ひまわり運動」を真似たと言われている。香港と台湾の学生らが、お互いの方法論に学び合うという、見えない連帯が始まっているようだ。

香港や台湾を自らの体制に飲み込もうとする中国政府に対し、両地域では学生らがNOの声を上げた。報道統制が敷かれている中国国内では、こうした動きは公式には報じられないが、Twitterなどを介して情報が国内に流れ込むことはあり得る。また台湾や香港で反中デモが今後も続くようなら、両地域に毎年、多数押しかけている中国人観光客が、それを目にする可能性もあるだろう。希望的観測を述べれば、中長期的には、こうした学生活動が中国国内の民主化運動につながり、中国の「香港化」「台湾化」の底流となる余地もある。

台中に住む元日本語教師の洪湄さんは、こう述べる。

「頑張らないと、台湾も香港と同じ運命をたどることになります。李登輝総統時代のユリ運動など、台湾の民主主義と自由を進歩させてきた若い人たちの力に、期待したいと思います」

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