2014/11/15    07:00

インドはアメリカの一極支配を崩し、超大国を目指す

強大化する中国の軍事力を念頭に、インドは近年、日米などと安全保障上の関係を強化しています。しかし、中国とロシアとも上海協力機構(SCO)などを通じて協力姿勢を取っている。インド外交は何を目指しているのか、よく分からないという方もいらっしゃるでしょう。
 
私も最近分かったのですが、インド外交を3つのレベルに分けてその戦略目標を整理すると理解しやすくなります。国際社会全体でのグローバルなレベル、インド・太平洋地域のリージョナルなレベル、周辺国とのサブ・リージョナルなレベルの3つです。
 

世界の大国を目指すインド

まずグローバルなレベルで、インドが目指しているのは世界の大国になることです。現在はアメリカが超大国として君臨しており、その後ろを中国が必死で追いかけている。そして、そこに何周か周回遅れになりながら、インドが続いています。米中印の3国以外には、世界の大国を意識する国はありません。印中は米国中心の国際秩序を修正したいわけです。
 
インドは、自国のパワーを高めて世界での発言力を増そうとしています。その結果として目指すのは、アメリカの一極支配を崩して、国際社会で自分の思うように振る舞えるようにすることです。そのステップとしてインドは同様の目標を持つ中国やロシアと、上海協力機構やBRICS首脳会談などで協力し、世界を多極化させようとしています。
 
第二次世界大戦後、アメリカは世界銀行やIMF(国際通貨基金)を作って、ブレトン・ウッズ体制を確立しました。同時に国際連合を発足させて、世界の秩序を作りました。インドもそれと同じように、国力をつけて、やがては世界秩序を自分たちで構築できるようにしたいと考えているのです。
 

地域問題では中国対策がメイン

一方で、インド・太平洋地域での外交(リージョナルなレベル)ということになると、今度は中国の脅威に対抗する安全保障の問題に中心が移ります。中国は海南島を出発点に、インドの周辺国に港湾を造って包囲する「真珠の首飾り作戦」を取っていますが、インドはこれに対抗する必要があります。そこで、日米やオーストラリア、ASEANなどとの関係を強化しようとするのです。
 
日本は中国に対して、日米同盟というカードしか持っていませんが、インドは豊富な対中カードを持っています。まずインド洋は中東からの資源を運ぶ重要な海上交通路ですが、インドはそこにポコッと突き出すような位置関係にあり、いざというときにはシーレーンを止めてしまえる場所にあるのです。
 
また、インドにはチベットのダライラマ14世が亡命して暮らしています。中国との問題が起きた場合に、インドはチベットで騒乱を起こさせて、北京政府に圧力をかけるという選択肢も持っています。
 
加えて、中国が領土問題でもめているASEAN諸国との友好関係がある。特にモディ政権発足後、インドはベトナムとの緊密化を図っています。東南アジアとのつながりが、中国への圧力になっているのです。このように、中国にとってインドは、一筋縄ではいかない相手だということが分かります。
 
最後に、周辺国との関係というサブ・リージョナルなレべル(南アジア)になると、とたんに覇権国として現状維持を図ろうとします。グローバルなレベルで、アメリカの一極支配という現状を崩そうとしているのとは、対称的です。インドが南アジアで大国の地位にあるのは明らかで、この立場を維持しようとするのです。
 
これまでの話をまとめると、インドは世界の大国を目指して国力を伸ばし、国際社会での影響力を高めようとしている。そこで、グローバルなレベルでは中ロと組んでアメリカに挑戦し、日本とも意見が合わないことも多いが、地域のレベルでは中国対策のために日米などと組もうとするということです。3つのレベルでインドが目指しているものを分類すると、インド外交は分析しやすくなります。
 
(※この記事は、インタビューの内容を編集部がまとめました)

TOP NEWS

解明されてきた真相

2017/08/30  12:24

どうしてバルセロナでテロが発生したのか。

今そこに危機があるのに

2017/08/25  08:00

地球外からの攻撃に人類は一致団結できるか

Appleより優秀な人材が集結?

2017/05/16  14:05

電気自動車の先端を行くテスラモーターズ

早急に業務時間改善と意識改革を

2017/05/31  14:05

教員は子供の成長に寄与することが本来の仕事

ACCESS RANKING

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

3

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

4

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

3

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

5

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

7

観光国としての実績は確か

世界の観光客を集める国、スペイン