2016/04/19    13:00

オバマ大統領の広島訪問をいちばん嫌がるのは中韓?

広島で行われたG7外相会談では、「広島宣言」と題した共同宣言が発表された。共同宣言では、中国による南シナ海の埋め立て問題を念頭に、「すべての国に埋め立て、拠点構築及び軍事目的での利用といった行動を自制し、航行、上空飛行の自由の原則を含む国際法に従って行動するよう要求する」などとうたわれている。参加国ではないが、中国が会議のメインの議題の一つであったことは明らかだろう。
 
神経を逆なでされたと感じた中国側は、当然のことながら反論したが、その反論が興味深い。G7各国を批判した内容が、そっくりそのまま、自国に返ってくるからだ。以下、例を挙げてみる(引用は産経ニュースから)。
 

  • 中国外務省報道官「G7が今後も国際社会で重要な役割を発揮したいと思うなら、事実に基づいて正しく行動しなければならない」 ⇒ ひっくり返せば、「中国が今後も国際社会で重要な役割を発揮したいと思うなら、事実に基づいて正しく行動しなければならない」になる。
  • 王毅外相「一部の国が政治的な理由から、南シナ海にいざこざを引き起こし、緊張を作り出すことを認めない」 ⇒ これは同感。どの国のことかは、おいておくとして。
  • 新華社通信「安倍氏は力の限りを尽くして、国民に日本周辺の至る所に危機が潜んでいるとの錯覚を生じさせ、軍拡を進めるための世論環境を作り上げている」 ⇒ ひっくり返せば、「習氏は力の限りを尽くして、国民に中国周辺の至る所に危機が潜んでいるとの錯覚を生じさせ、軍拡を進めるための世論環境を作り上げている」になる。


ここまでの「ブーメラン」は実に鮮やかだが、G7が団結して中国問題について協議することに不快感を持っていることは、鮮明に分かる。会議が行われたのが広島だったというのも、中国にとっては好ましくなかっただろう。今回の広島での会合で、G7外相は揃って平和記念公園と原爆ドームを訪れ、核兵器による被害について思いをめぐらせた。
 
これについて中国側は、「(原爆によって)無辜の市民が受けた苦痛は同情に値する」としながらも、「軍国主義の道を再び進まないという日本政府の決心を世界に向けて表明することが、広島での外相会合開催の目的であることを望む」と、外務省報道官が述べている
 
アメリカの原爆投下による民間人殺害を批判しながらも、日本に釘を刺したかったのだろう。今後、オバマ米大統領が広島を訪問する可能性も出ているが、中国としては、日米の和解が進むよりも、「軍国主義によって、原爆投下を招いた」と日本が考えていてくれた方がいいという雰囲気が伝わってくる。あくまでも、日本は「加害者」でなければならないということか。
 
外相会談の広島開催については、韓国の世論でも似たような反応がある。15日付の朝鮮日報の論説は、「広島は原爆の被害を象徴する都市だ。オバマ大統領の広島訪問は、日本が被害者だという印象を与えるもので、まだ反省と謝罪が終わっていないアジアの加害国だという事実を覆い隠す結果につながる可能性がある」と論じている。
 
ここでも、日本は絶対に「加害者」でなくてはならず、「被害」を主張できるような余地を許してはならないとでも、言っているかのようだ。しかし、戦争では、勝った側にも負けた側にも一片の正義はあるのであり、ましてや「被害者」「加害者」という色分けにこだわっていては、歴史を見る目を誤らせてしまう。
 
核兵器の被害の大きさと残虐性については、事実を誰も曲げることはできない。抑止力としての核兵器はこれからも重要であり続けるだろうが、実戦で使用された場合の悲劇については世界が共有すべき、共通の記憶ではないか。広島での外相会合に対する中国や韓国のリアクションを見るにつけても、両国の歴史認識の異質さが、いっそう際立つ印象を受ける。
 
広島での外相会合を終えて、次に注目されるのは、オバマ大統領が「伊勢志摩サミット」の際に広島を訪問するかどうかだ。オバマ氏の訪問をいちばん嫌がるのは、中国や韓国かもしれない。

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