2015/08/22    17:00

「出羽の守」、毎日の記事で自己主張 女性進出、日本は遅れ

「出羽の守(でわのかみ)」というのがいて、マスコミの世界に、ときどき出没する。特に悪さをするわけではない。「あの国では」「この国では」と言った上で、「一方で、日本では」と、批判するよくある書き方である。私自身も、ときどき「アメリカでは」などと書くこともあるので、あまり大きな声で批判しようとは思わない。

しかし、この「出羽の守」の自己主張がとても目立った記事が最近、目についたのでご紹介したい。19日付の毎日新聞に載った、台湾の総統選挙の記事である。来年の1月の総統選では、二大政党の国民党、民進党ともに、女性候補を擁立している。そこで「政界への女性進出」にスポットを当てた記事である。文中には、次のようにある。

アジアでは近年、政界での女性の躍進が目覚ましい。韓国では2013年に朴槿恵(パククネ)氏(63)が韓国史上初の女性大統領に就任。ミャンマーでは11月の総選挙でアウンサンスーチー氏率いる最大野党「国民民主連盟(NLD)」の優勢が伝えられている。

一方、日本では女性の政界進出は遅れている。国会議員に占める女性比率は、昨年12月の衆院選で女性議員が増えたものの全体に占める割合は9・5%。主要7カ国(G7)では最下位。日本以外の6カ国(36・5〜19・4%)に大きく水をあけられている。

こうした現状を改革するため超党派の議員連盟は、衆院選の比例代表で女性議員の比率を高めるための公職選挙法改正案をまとめ、各政党に男女同数の候補擁立を努力義務として求める法案の国会提出を目指している。

一方、台湾はアジアの優等生。12年の立法委員(国会議員)選で女性が全議員に占める割合は33・6%。アジアでは東ティモールの38・5%に次ぐ高率だ。
(毎日新聞 「台湾総統選:政界、女性が主役 初の対決 議席、一定割り当て」 2015/08/19)

この箇所ではまず、アジアで「政界での女性の躍進が目覚ましい」と書いたうえで、「日本では女性の政界進出は遅れている」と述べており、日本がアジアの潮流から取り残されているという論調になっている。その上で、「台湾はアジアの優等生」とある。「優等生」という言葉を選べば、まさに「日本は遅れている」という印象を与える。

今回の記事は、記者やコラムニストが意見を書くコラムではなく、事実を伝えるいわゆる「ストレート・ニュース」の体裁を取っている。しかし、ニュース記事でも、書き方しだいで、記者やデスクの思想が出てくることがある。それを知らないまま読めば、「そうか、日本は遅れているのか」と、記事の思想を鵜呑みにしてしまいかねない。この記事は、その典型と言えそうだ。

ちなみに、リードの終わりには「台湾政界で女性が躍進する背景には、中央や地方選挙で候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる『クオータ制』がある。この制度を下支えに社会意識が変化し、女性が活躍しやすい環境がはぐくまれているわけだ」という一文がある。

日本に「そうせよ」と言っているわけではない。しかし、本文中で台湾を「優等生」と持ち上げ、「日本では女性の政界進出は遅れている」と書いてあれば、こうした「クオータ制」などの制度を、日本も見習ってはどうかというニュアンスの記事であることは、推定がつく。

一方で、クオータ制まで設けて、女性の国会議員を増やすという政策は、どうなのだろうか。確かに、男性だけで議論しているよりも、女性の議員がいたほうが、より多様な視点が出て、議論が深まるという意見には賛成する。だが数の制限を設けてまで、それを制度化すべきかといえば、疑問である。

その職業にはその職業に合った適性があるのであり、議員には議員としての資質の問題がある。それを有権者が判断して投票し、選挙で当否を決める。しかし、女性に一定議席を割り当てるとすれば、議員としての資質で、ある男性候補に及ばない女性候補も、割り当て数の関係で当選する場合もある。

問題は、その人の資質が職業に合っているかどうかであって、性別は関係がない。女性議員が少ないのを問題視するのであれば、立候補の障害となっている問題を解決すべきであり、男女の数ありきの議論は、行き過ぎた平等主義と言えないだろうか。

これは、企業の女性役員を2020年までに30%にしたいと目標を掲げる、安倍政権の「成長戦略」についても言える。様々な政策を動員して、女性が働きやすい社会を実現し、結果としてその数値に到達するのならいい。しかし、数値目標が独り歩きして、「なにがなんでも目標達成」となれば、本末転倒となる。とにかく女性を役員にしても、それで企業の業績が良くならなければ意味がない。

こうした「数字ありきの平等主義」は、一見、聞こえはいいが、気をつけないと場合によっては、社会の自由を知らず知らずのうちに奪っている場合がある。「男女平等」ではなく「男女公平」と、言い換える必要があるのではないだろうか。

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