2015/12/06    08:00

中国の手に渡るかもしれなかったフランスの揚陸艦

ミストラル級強襲揚陸艦。


フランスのサルコジ政権下でロシアから総額12億ユーロ(1,560億円)で受注した2隻のミストラル級強襲揚陸艦が、9月23日にフランスのオランド大統領とエジプトのシシ大統領が電話会談を行い、エジプトへの転売が決まったことがスペイン紙『El Pais』でも報じられた。
 
ロシアへの欧米が課した制裁の影響で、この2隻もその対象となり、ロシアへの引渡しが出来なくなっていた。1隻は既に完成しており、もう1隻は今も建造中だ。ロシアがこの2隻を発注した目的はロシア太平洋艦隊に配属させる予定であったという。即ち、日本と領土問題を抱えている北方四島を含めたクリル諸島の防衛の為だと憶測されていた。この2隻の引き渡しに強く反対してフランス政府に圧力をかけていたのは米国である。フランスの国民議会のティエリー・マリアニ議員が米国の『HispanTV』広報紙の中でそれを明確にしている。

その影響で、フランスは他国への転売先を探さねばならなくなった。しかし、転売するには契約上ロシアの容認が必要だとされ、フランスはロシアと協議の末に、これまでロシアから支払われた前金9億5,000万ユーロ(1,235億円)の返済と、既に艦内に設置されていた兵器の解体とその返却費用の負担をすることで双方が合意したという。
 
日本ではこの出来事には当初から余り関心を示していなかったようだ。しかし、フランスはこの強襲揚陸艦を中国に転売する意向もあったという。スペインの防衛紙『インフォデフェンサ』が、フランス海軍が所有する同級の強襲揚陸艦「ディズミュド」が5月9日に上海に寄港したと報じたことでも分かるように、フランスは同類の揚陸艦を中国関係者に見せてより関心を誘う行動に出たのだ。
 
ミストラル強襲揚陸艦は海上の大型輸送艦であり、450人の兵士、18機のヘリコプター、4そうの上陸挺、60台の戦車を積むことが可能なため、島に上陸しての攻戦が容易となる。

これが中国の手に渡れば、最近中国が南シナ海の島を埋め立てして軍事基地を増やしているが、そこに常時駐留する兵士の数や武装配備を大幅に減らすことが出来ることになる。それは軍事支出の削減にもなる。また日本が防衛している尖閣諸島への上陸そして攻撃も容易となるという、日本の安全性にとって危険な取引が行なわれる可能性があったのだ。

EUは1989年の天安門事件以来、中国への兵器の輸出を禁止している。しかし、実際にはEUメンバー国は分からないようにして中国へ武器を輸出しているようで、この強襲揚陸艦についても軍艦ではなく、輸送船としての輸出は可能だという。しかし、中国への転売の可能性が具体的に生まれてくれば、米国がまたフランス政府に圧力をかけていたはずだ。
 
これまでこの2隻の揚陸艦の購入に関心を示した国は、ブラジル、サウジアラビア、カナダ、南アフリカ、アラブ首長国連盟、そしてエジプトだったとインフォデフェンサ紙が伝えている。エジプトのスエズ運河拡張工事が完成したセレモニーの時に、オランド大統領はそれに参加して、シシ大統領とこの2隻の転売の話を進めたというのだ。

フランスは今年ラファール戦闘機の受注をエジプトから受けており、しかもエジプトへの販売となるとロシアも米国も反対する理由がない。何故ならロシアはエジプトとの関係強化を計っており、米国もシシ大統領との関係改善に動いているからだ。
 
フランスのオランド大統領はサウジアラビアを介してレバノンに武器の輸出を決めたり、インドでも戦闘機ラファールの販売を実現させている。湾岸諸国もフランスの兵器の購入を優先させている。

大統領というよりも、武器商人としての能力の方が上のようだ。

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