2015/11/30    14:53

村山元首相に、感謝しています。

村山富市元首相は、何と素晴らしい人だろうか。いや、彼のような存在こそが、日本の言論の自由を体現しているのだ。
 
もちろん、これは、どこかの国を念頭に、皮肉を込めて書いている。
 
韓国ではこのほど、慰安婦問題を扱った『帝国の慰安婦』という著書を書いた朴裕河(ぱく・ゆは)世宗大教授が在宅起訴された。同書の中で、慰安婦を「売春婦」と呼んだり、彼女らが日本軍と「同志的な関係」にあったと表現したりしたことが、活動家らの怒りを買ったらしい。元慰安婦の女性ら10人が昨年告訴し、地検がこのたび起訴に踏み切った。
 
慰安婦のおばあちゃんたちの名誉のためとなれば、どんな学問も法律もお辞儀をし、問題があれば土下座までしなければならない。そうしなければ、「親日」で「売国」だとみなされ、国内で生きていくことも難しくなる。それが、現代の韓国ということだろう。
 
しかし、産経新聞の支局長の裁判を延々と続け、報道の自由について懸念が出ていた折、親日派の処分のためなら起訴しても大丈夫と踏んだのだとしたら、国際社会の感覚とあまりにもズレている。日米の学者ら54人は26日に、今回の起訴に抗議し、言論の自由や民主主義の良識を求める声明を発表した。
 
驚いてしまうのは、この声明に対して、韓国国内が驚いていることだ。ここで村山元首相のご登場である。声明に賛同した54人の中には、村山氏をはじめ、「河野談話」の生みの親である河野洋平・元官房長官、元朝日新聞主筆の若宮啓文氏など、韓国が「良心的」だと思ってきた日本人の名前があったのだ。
 
大手紙・朝鮮日報は、東京の特派員が記者会見を取材し、次のように書いている。

この日、日本の知識人らが挙げたのは、朴教授の本が正しいか、間違っているかという問題ではなかった。この人々は、思想信条の自由があるべきだと主張した。「韓国社会にその自由があるのか」と問い掛けた。そんな話をしているのが日本の右翼ではなく、善良な人たちであることに戸惑う記者会見だった。
(朝鮮日報 「【記者手帳】朴裕河氏起訴に抗議する『良心的』日本人」 2015/11/27)

韓国が考えるべきなのは、村山氏や河野氏が、なぜ今日でも堂々と日本各地で講演したりできるのかということだろう。韓国的な基準で考えれば、歴史問題で日本の立場をおとしめた村山氏や河野氏は、朴教授のように名誉棄損で起訴されてもおかしくはないはずだ。あるいは、元慰安婦を侮辱したとされる人々が、ナヌムの家で土下座させられたりするように、靖国神社で土下座させられても不思議ではない。しかし、日本はそういう社会ではない。
 
「親日」「反日」と反目しあう前に、言論や表現の自由が認められていて、あらゆる人が自分の考えを述べることができる。そうした価値を、大事に思っているということだ。たとえ韓国から見て「親友」のように思える“良心的”な日本人であったとしても、自身が歴史問題で韓国の主張を代弁する前に、言論の自由があることをわきまえている。日本人を、「右翼」と「良心的」とに分ける前に、こうしたことに思いをいたすべきではないのだろうか。
 
私は「村山談話」の内容には賛同しないが、図らずも今回は村山元首相の存在が、日本の言論の自由を示すことになった。村山氏が「良心的」だと思うなら、その人が今回の声明に賛同したことの意味を、いま一歩考えるべき時である。

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