2016/10/21    16:19

台湾から日本へのラブコール――蔡総統のインタビューから見えた期待感

5月に台湾の新しい総統となった蔡英文氏に、米ウォール・ストリート・ジャーナルと日本の読売新聞が、今月に入って、それぞれ単独インタビューを行った。

関係の深いアメリカと、アメリカの最も重要な同盟国でもあり、中国の拡張主義への対応に関して利害が一致する日本のメディアを通じ、西側諸国に向けて「中国の圧力には屈しない」と主張した形だ。

蔡氏は「私たちが過去にした約束は変わっていない。前向きの姿勢も変わっていない。しかし、中国からの圧力には屈しない」とし、「衝突と対立という古い路線には戻らない」と述べた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル「蔡総統、台湾は中国の圧力に屈しない」2016/10/05)

 

蔡氏は、海洋問題をめぐる日台協力の初の枠組み「海洋協力対話」を月内にも開始する方針を明らかにした。日台間の摩擦要因となっている沖ノ鳥島(東京都小笠原村)の漁業資源についても議題とし、日本との海洋協力の推進に強い期待を示した。(中略)

また、経済については「中国大陸に依存しすぎていた」との認識を示し「日本と共に東南アジアや南アジアでの協力、発展の機会を追及したい」と、日本との経済協力の拡大に意欲を示した。

一方、中国の習近平政権との関係については「台湾と台湾人が圧力に屈することはない」と述べた。
(読売新聞 「蔡総統、漁業資源協力に期待…月内にも海洋対話」 2016/10/07)


中国政府は台湾との公式の連絡ルートを断絶するなど、蔡政権に対する露骨な嫌がらせを行っている。中国本土からの旅行客も激減しており、観光業から蔡政権への抗議の声も上がる。中国政府は、中国市場に大きく依存している台湾経済の状況を利用し、台湾を窮地に追い込もうとしているようだ。蔡総統は、そうした企てを打破するためにも、日本との経済協力態勢を発展させたいと考えていることが、インタビューからもうかがえる。

しかし、問題は、日本やアメリカが台湾との協力強化に、思い切って動けるかどうかだろう。アメリカの次期大統領候補であるドナルド・トランプ氏もヒラリー・クリントン氏も、これまで台湾についてほとんど何も語っていない。また、日本の安倍晋三首相も、総統選勝利の直後に祝意を述べたものの、その後は、日台関係について取り立てて言及していない。

中国は、周辺に領土を拡張しようとする際に、さまざまな既成事実を積み上げて実効支配の状況を作り、自国に組み入れるという手法を用いる。尖閣諸島を乗っ取ろうとするかのような艦船の動きで、太平洋に進出しようと、じわじわと範囲を広げている。

そうした中国の動きに対して対応を迫られている安倍政権にとっても、台湾に反中国・親日政権が誕生したことは、大きなチャンスであると言える。

フィリピンのドゥテルテ新政権は、中国との関係修復を模索中で、東アジア・東南アジア情勢はますます混迷の度合いを強めている。その中で、最も経済的に豊かな日本が、地域の安定のために強い政治的リーダーシップを発揮することが期待されているのではないだろうか。

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