2015/11/08    13:45

今度は日米が台湾と首脳会談を――習近平が自ら開けたパンドラの箱

シンガポールで7日に行われた初めての中台首脳会談をオーバーに表現するとすれば、「“国共合作”による選挙対策」というところだろうか。
 
台湾では馬英九総統の親中路線への批判が強く、来年1月に行われる総統選挙では、民進党への政権交代が有力になっている。国民党が中国との安定した関係を維持できる政党であることをアピールし、政権を維持することは、中国の習近平・国家主席と台湾の馬総統にとって、共通の利害ということになる。そこで、今回の会談が実現した。
 
馬氏にとっては、中国との関係強化を実現したという、自身のレガシーを遺したい狙いも露骨にのぞいた。5日の記者会見では、会談がまだ開かれていなかったにもかかわらず、中台会談の「定例化」を早くも提案するほどの、前のめり具合だった。
 
そもそも、中台はお互いを正統な政府と認めていないため、両首脳は肩書きを飛ばして「習さん」「馬さん」と、不自然にも呼び合わなければならなかった。準備期間が短かったうえに、共同宣言や協定を交わすこともせず、選挙対策のために「とりあえず会った」という印象はぬぐえない。
 
しかし、今回の会談が、中台統一に向けた本格的な動きの始まりになるのだとすれば、警戒が必要だ。問題は馬総統の任期が切れる5月20日までに、中国共産党政府と国民党政府が、中台統一を加速させるような「二の矢」「三の矢」を放つのかどうかである。こうした懸念について、5日の産経新聞は李登輝・元台湾総統の発言を紹介しながら、次のように論じている。

「馬英九が何をしでかすかわからない」。李元総統のこの発言が、謎を解く鍵となりそうだ。月刊誌『WiLL』12月号の櫻井よしこさんとの対談で、出てきた。李氏が危惧するのは、次期総統が就任する前に、馬総統が「和平協定」を中国との間で強引に締結することである。それによって、台湾が「一つの中国」を認めてしまえば、後戻りができなくなる。
 
中国とすれば、統一への道筋さえつけてしまえば、もう総統選の結果に一喜一憂する必要がなくなる。馬総統が政治的遺産を残すために、そんな暴挙に出ないよう祈るばかりだ。李氏の心配が的中すれば、台湾は大変な負の遺産を背負い込むことになる。
(産経新聞 「台湾の選挙が気になる中国 11月5日」 2015/11/05)

中台の「貿易サービス協定」に反対する学生が立法院を占拠した事件が象徴するように、中国との経済的な結びつきを強める政策を取ってきた馬総統の路線は、国民から愛想を尽かされてしまった。しかし、将来的な中台統一を目標とする国民党としては、たとえ総統選で敗れるとしても、次の政権に「タガ」をはめるような枠組みを何か残したいところだろう。「中国の夢」の実現に向けて中台統一を成し遂げたい大陸側にとっても、それは同じだ。台湾の民意を無視するかたちでの中台統一に向けた動きが出てこないか、警戒する必要がある。
 
一方で、アメリカや日本にとっては、今回の会談をテコとして生かし、いかに台湾を国家として認めていくかが重要になる。中台双方の出方に注意しながらも、今回の出来事を外交的にプラスへ転じていく方法を探ることが重要だ。
 
台湾を自国の一部と見なす中国政府にとってはこれまで、台湾の総統と首脳会談を開くことはタブーだった。それは、中国との外交関係を結ぶ代わりに台湾との国交を捨てた日本やアメリカにとっても同じだ。しかし今回、中国の国家主席が自ら台湾総統と会談したのだから、日本やアメリカにとっても、台湾との首脳会談を開く口実が生まれたことになる。そうした意味では、日米は今回の会談を、様々な外交的な交流を活発化させて、台湾との国交正常化へ向けて動き出すキッカケとすることもできる。
 
今回の会談は国民党が台湾に逃れてから初めて行われたという意味で、歴史的なものだった。しかし、その「歴史的会談」という言葉の本当の意味は、まだ決まっていない。今回の会談は後世の歴史に、「中台統一の嚆矢となった」と書かれるのか、あるいは「台湾の孤立が終わるきっかけになった」と書かれるのか、それは中国と日米の綱の引き合いによって決まる部分が大きい。もし後者ということになれば、習氏は今回、自ら「パンドラの箱」を開けたことになる。日米は台湾との国交正常化に向けて歩みを進めるべきである。

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