2015/09/05    08:00

習近平国家主席「反ファシズム戦争の勝利」を強調 軍拡を助長しているのはアメリカの「反日」歴史観だ

アメリカ側の歴史観に立てば、第二次世界大戦は「ファシズムから民主主義を守るための戦い」だったということになる。戦時中に「ジョーおじさん」と持ち上げたソ連のスターリンが、ナチスのヒトラーと負けず劣らぬ独裁者であったことは、勘定に入らない。いや、歴史観を維持するためには、入れてはいけないのだ。
 
だから、日本とのいわゆる「太平洋戦争」もまた、「日本の軍国主義を倒し、民主主義を広めるための戦い」だったということになる。あくまでも、日本の民主主義は戦後にアメリカが持ち込んだのであって、「五箇条の御誓文」とともに始まった明治の時代に、日本が議会制民主主義を整え、大正デモクラシーの政党政治があったことなどは、こうした歴史観の中では無視されてしまう。
 
先の大戦を「日本のファシズムとの戦い」と位置づけるからこそ、アメリカは日本の首相が靖国神社に参拝することを、中国や韓国と一緒に嫌悪する。国を守るために戦った先祖を顕彰するという、主権国家として当然のことも、許されないというのだ。2013年に安倍晋三首相が靖国神社に参拝した際に、アメリカ政府が「失望」を表明したことは、記憶に新しい。
 
しかし、こうした歴史観が今や、中国の軍事活動に利用され、アメリカ自身の首を絞めようとしている。
 
3日に中国の北京で行われた軍事パレードは、まさにそのことを象徴していた。パレードの目的は、「抗日戦争勝利70周年」を祝賀すること。習近平・国家主席は演説の中で、「反ファシズム戦争の勝利」を大々的に強調した。中国の軍事パレードは、建国記念日である10月1日の国慶節に10年おきに行われるのが通例だが、習氏は「抗日戦争勝利」を口実に大々的なパレードを開き、国際社会に軍事力を誇示して見せたのだ。
 
「抗日戦争勝利」を中国が大々的に祝う光景は、日本にとって不快であることは間違いないが、なんのことはない、アメリカも日本との戦争を「反ファシズム戦争」と位置づけている。この点で中国とアメリカの歴史観は一致しており、中国はアメリカの歴史観を政治的に利用して、自らの軍拡を正当化しているのだ。
 
実際に、習氏は就任以来、アメリカに対して「新型大国関係」を提案するとともに、日本の安倍政権を批判。中国が「反ファシズム戦争の戦勝国」であるという立場を、繰り返し強調してきた。その背後には、“戦友”であるアメリカと協調して、再び日本を封じ込めたいという意図が垣間見える(当時の中国は、蒋介石の国民党政権だったが、中国共産党はそのことを無視している)。
 
アメリカが「日本のファシズムを打倒するために『太平洋戦争』を戦った」という自らの認識を変えない限り、中国は今後もアメリカの歴史観を利用して、軍拡を正当化し続けることだろう。それをアメリカは、座して見ているつもりなのだろうか。今回の軍事パレードが示したのは、アメリカが自身の覇権に挑戦しようとする中国の動きを本当に押し止めたいのであれば、「先の戦争は、反ファシズム戦争だった」という立場を転換する必要があるということだ。

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