2016/03/31    12:14

増税のためにドカンと経済対策?――政府の頭を換えなければ、景気は良くならない

安倍晋三首相が、10%への消費税率引き上げを再度、延期するのではないかという観測が強まっている。5月18日に発表される1~3月期のGDP速報値も踏まえ、同月26日、27日の伊勢志摩サミットの前後で延期を決めるのではないかという報道が出ている。
 
もっとも、首相自身は、リーマン・ショック級の経済ショックが起こらない限り、予定通りに増税に踏み切ると述べているが、増税延期を決めるとともに、夏に衆参同日選を実施するのではないかという憶測は、以前から飛び交っていた。
 
最近でも、「国際金融経済分析会合」にコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授と、ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授を呼び、低迷する世界経済の現況について意見を聞いている。二人のノーベル経済学賞受賞者は、ともに日本が増税に踏み切れる環境にないことを述べた。
 
前回、2014年に消費増税の延期を決めた際にも、安倍首相は有識者を招く「点検会合」を開いて意見を聞いていた経緯がある。今回の会合も、増税延期に向けた地ならしではないかという見方が強い。
 
実際に、前回の消費増税から消費が思うように回復しない現在、消費税率をさらに引き上げれば、日本経済がさらなる低迷に陥ることは目に見えている。個人消費は増税前の2013年度には316兆円だったが、増税を受けて14年度は307兆円に減り、15年度も304兆円と、依然として回復していない。
 
こうした経済状況を考えれば、消費税率の引き上げを延期するのは、当然の判断と言える。増税の延期はおろか、景気対策を求める声も高まっており、日経新聞の世論調査では55%に上っている。また、世界経済のけん引役が不在の中で、日本に財政出動が期待されているという国際的な“ご近所付き合い”の事情もある。
 
しかし、増税をただ見送っただけで、消費が活発になるわけではない。景気対策も単に需要を先食いしてしまうだけなら、問題の先送りに過ぎなくなるだろう。本当に景気を回復させたいのなら、転換する必要があるのは、「増税のために景気を良くしたい」という政府の考え方ではないだろうか。
 
政府与党からは「増税のために環境を整える」という言葉が、繰り返し聞かれる。安倍首相は2月に国会で、「10%への引き上げを確実に行うための経済状況を作り出すという決意の下、経済財政運営に万全を期していきたい」と述べている。いわば、「増税のために景気を良くしたい」と言っているに等しい。
 
同種の発言では、石原伸晃・経済再生相が「社会福祉目的税である消費税を引き上げられる環境をつくるのが私の仕事だ」と述べ、連立を組む公明党の山口那津男代表も「来年の(税率)引き上げができる環境を作るよう努力すべきだ」と発言し、経済対策の実施を求めた。
 
どうやら、政府与党の幹部は、「増税のために経済対策を打ちたい」と思っているようだ。しかし、「これから税金を上げる」と予告しながら経済対策を打ったとして、国民は進んでお金を使おうとは思わないだろう。何しろ、これからさらなる増税が待っているとすれば、いくら政府の経済対策で一時的に景気が上向くとしても、将来に備えて貯蓄を増やそうとするのは当たり前の心理だ。
 
そして、「増税のための経済対策」という考え方については、さらに大きな疑問がある。そもそも、経済対策とは何のためにあるのだろうか。そして、経済対策に使われるのは、一体誰のお金なのだろうか。政府与党の幹部の発言は、まるで「増税のために景気をひとまず水増しする必要があるため、パーッとお金を使いたい」とでも言っているようにも聞こえる。
 
30日の朝日新聞は、「官邸幹部の一人」が「景気対策を10兆円規模で一度にドカンとやればいい」と話したと伝えている。「ドカンとやればいい」と口で言うのは簡単だが、そのお金は国民が納めた税金ではないのだろうか。つまり、消費税率を上げて国民の稼ぎをさらに召し上げるために、国民が納めた税金を「ドカンと」使って景気対策をやるということだ。こうした考え方の持ち主が経済運営にあたっている限り、日本の景気は低迷を続け、大盤振る舞いによって財政赤字が減ることはないだろう。
 
消費の伸び悩みと景気の停滞は、世界経済の減速や、増税前の需要の先食いなど、様々に説明される。しかし、根本的にネックとなっているのは、経済が本来的に国民のものであることを知らない、政府の考え方ではないのか。

TOP NEWS

解明されてきた真相

2017/08/30  12:24

どうしてバルセロナでテロが発生したのか。

今そこに危機があるのに

2017/08/25  08:00

地球外からの攻撃に人類は一致団結できるか

Appleより優秀な人材が集結?

2017/05/16  14:05

電気自動車の先端を行くテスラモーターズ

早急に業務時間改善と意識改革を

2017/05/31  14:05

教員は子供の成長に寄与することが本来の仕事

ACCESS RANKING

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

3

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

8

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

9

次世代の党、杉田水脈議員の国会質問が素晴らし

専業主婦は怠け者なのか?

10

赤本はあるけど、予備校には通えない

”目標”を突破せよ!・・・防大受験最前線

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

6

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

8

補償金3億ドルを無償で韓国に渡した1965年

軍人遺族らが韓国政府をついに提訴!!「日本の補償金返して」

9

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

10

次世代の党、杉田水脈議員の国会質問が素晴らし

専業主婦は怠け者なのか?