2016/12/01    15:07

レーガン政権の財務状況――やっぱり”棚卸し”は難しい

前回に引き続き、今回も税金について書きたいと思います。

前回の記事で、レーガン政権における財政赤字の原因は、国防予算ではなく社会保障予算にあるということを簡単に指摘しました。今回の記事では、これについてより詳しく取り上げていきたいと思います。

 

■公的な情報から見るレーガン政権の実態


アメリカ合衆国行政管理予算局(Office of Management and Budget)という行政機関が公表しているヒストリカル・テーブル(Historical Tables)というものがあります。



ヒストリカル・テーブルは、これまでのアメリカの財政状況とこれからの見通しを一覧にしたものです。ここからアメリカの①収入、②支出、③支出の大まかな内訳を見ることができます。これは、政府がとった経済政策の結果を見ることができるということを意味しています。統計は、経済政策の根拠ではなくて経済政策の結果であり、国民が政府に経済を任せてよかったのかどうか判断する指標になるのです。

さて、ヒストリカル・テーブルのTable 1.1—SUMMARY OF RECEIPTS, OUTLAYS, AND SURPLUSES OR DEFICITS (–): 1789–2020—Continuedを見ると、国家の収入と支出を見ることができます。

レーガン政権が始まった年、すなわち1981年の連邦の収入は5992億7200万ドルであったのに対して、レーガン政権が終わった1989年の連邦の収入は9911億400万ドルにまで増えています。これは減税によるものであり、減税によって税収が増える何よりの証明となります。

しかし、財政赤字も1981年の789億6800万ドルから始まり、1986年の2212億2700万ドルを最高として1989年には1526億3900万ドルに落ち着いているため、増えていることがわかります。

ただし、財政赤字はレーガン政権時から増え始めたのではなく、元々アメリカは建国時から財政赤字でした。特に第一次世界大戦後の1920年から大恐慌の翌年である1930年までは財政黒字が続きますが、1931年から財政赤字に転落。1947年に財政黒字に戻すも、1950年には再び財政赤字に転落、それ以後は1956〜1957年、1960年、1969年に断片的に財政黒字になったものの、1998年まで財政赤字が続くのです。(1998〜2001年の財政黒字はクリントン政権時の増税による)
 

■財政赤字について考える


次に財政赤字そのものについて考えてみましょう。従来の説明では、財政赤字が増えたその原因は軍事予算の増大であるとされています。これは果たして本当かどうか調べてみましょう。

ヒストリカル・テーブルのTable 3.1—OUTLAYS BY SUPERFUNCTION AND FUNCTION: 1940–2020—Continuedを見てみましょう。これは執行された予算の内訳です。ここでわかることは、本来手をつける必要がある部門はどこかということです。アメリカの連邦予算の内、最もウエイトが高いのは国防予算ではなく社会保障予算なのです。

1981年の内訳を見てみると、連邦予算6782億4100万ドルの内53.4%、3620億2200万ドルは社会保障予算なのです。

レーガン政権初期(1981年)と末期(1989年)の連邦予算全体、国防予算、社会保障予算の伸びについて比べてみましょう。

連邦予算は、1981年の6782億4100万ドルから、1989年には1兆1437億4400万ドルにまで増えました。1.69倍、4655億300万ドルの増加です。

国防予算は、1981年の1573億1300万ドルから、1989年には3035億5500万ドルにまで増えました。1.92倍、1462億4200万ドルの増加です。

社会保障予算は、1981年の3620億2200万ドルから、1989年には5686億4300万ドルにまで増えました。1.57倍、2066億2100万ドルの増加です。

ここまで来ればお分かりかと思いますが、レーガノミクス最大のガンは国防予算ではなく、社会保障予算だったのです。レーガン大統領は就任時に「棚卸しをしよう」と主張しましたが、必ずしも上手くいっていなかったことがわかりました。

次回の記事では、なぜ棚卸しが難しいのかについて考えてみたいと思います。

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