2015/09/30    10:00

アベノミクスの第2ステージは、失敗を認めるところから始まる

言魂の力というのは、確かに存在する。目標をつねづね口に出していれば、その確固たるイメージに向かって、現実が進んでいくことがある。いっとき流行った、いわゆる「引き寄せの法則」も、このことを教えていた。

しかし、だからといって、総理大臣が「GDP600兆円」と言ったところで、実際にGDPが600兆円になるわけではない。安倍首相はこのほど、自民党総裁に正式に再選された後の記者会見で、強い経済、子育て支援、社会保障の三つをアベノミクスの「新しい3本の矢」と位置付け、経済を優先した政権運営を行っていく考えを示した。その1番目に登場したのが、「GDP600兆円」という目標値だ。これを、2020年度にも達成するという。

この「GDP600兆円」という数字は、日本経済が名目で3%ずつ成長していったとしても、2020年度には到達できないほどの数字だ。しかし、ではそのために景気を抜本的によくするための改革の手があるのかと言えば、具体策は乏しい。さらには、2017年4月には再び消費税率の引き上げが迫っている。8%への増税の際にも、東日本大震災以来の経済ショックが日本を襲ったが、安倍首相はリーマンショックのような事態がなければ、予定通り引き上げに踏み切るとしている。再び増税によって人為的に不況をつくっても、政府の青写真のように経済が成長するだろうと、首相は本当に考えているのだろうか。いくら頭をひねっても、これについては、まったく私には分からない。

今回のプランは「アベノミクスの第2ステージ」と銘打ったものだが、いま必要なのは、ここまでのアベノミクスの失敗をまずは正直に認めて、政策を変更していくことだろう。そもそもアベノミクスは、デフレを脱却すべく金融緩和で経済に流れるお金の量を増やし(第1の矢)、政府が公共事業で率先してお金を使って経済を回転させ直し(第2の矢)、さらに規制緩和によって民間経済が順調に回っていけるようにする(第3の矢)ものだった。

しかし、「3本の矢」からなるこの計画は、財務省に抗しきれずに消費税率を引き上げ、せっかく始まった好況の循環を潰してしまったことで、実質的には失敗に終わった。そもそも、財務省が推進してきた増税は、アベノミクスの方程式にはなかった話で、これを挿し込めば経済政策がとん挫することはあらかじめ見えていたことだ。

もし「新たな3本の矢」が成功することがあるとすれば、それはたとえ政治的に極めて困難だとしても、消費税率引き上げの失敗を認めて、税率をもとに戻すなどの抜本的な減税政策と規制緩和策を取ることではないだろうか。安倍首相は「デフレでない状態まで来た」と経済政策の成果を誇っているが、そもそも2%のインフレ目標を掲げていながら、「デフレでない状態」で喜ぶのはごまかしでしかない。財務省が主導した消費税上げのシナリオを取り戻し、アベノミクスを本来のアベノミクスに戻す必要がある。それをしないままに、「第2ステージ」と看板をかけ直してみたところで、経済の好循環は始まっていかない。

ここで問われるのは、安倍首相が財務省に勝てるかどうかという点である。安倍首相は2018年を目標に、長期政権の実現へと向かおうとしているが、それを左右するのもこの点だ。アベノミクスを掲げてカムバックを果たした安倍首相にとって、経済の好調さは政権の生命線と言える。そもそも、どこの国であっても、経済が良くなっていかなければ、国民は政府に背を向ける。このほど、与党内のクーデターに近い首相交代があったオーストラリアが好例である。

それを考えれば、財務省に勝てるかどうかは、政権の命運を左右する問題と言える。宿願であった安全保障関連法案の審議では、野党やマスコミの執拗なネガティブ・キャンペーンによって支持率の低下に遭ったが、政権を引き倒しかねない最大の敵は、実は政府の中にいる財務省なのかもしれない。

安倍首相が外交と安全保障で堅実な政策を取っていることは確かであり、他に首相が務まりそうな人材は、現実的には他に見当たらない。重要なのは、安倍首相が財務省と対峙していけるだけの世論をいかにつくるかという問題だろう。これまでの増税策に加えて、財務省は先日も消費税上げの際の給付策にかこつけて、国民の経済活動を監視しようとするマイナンバー制の拡充を提案するなど、国民生活への配慮は見られない。一方で、大手メディアは、圧力が怖いのか財務省を面と向かって批判することは難しい。そうなれば、ネット世論を通じて国民の一人ひとりが気付いていくということ以外に、目下の処方箋は見当たらないように思える。「日本を取り戻す。」をスローガンに掲げた安倍政権は、今や自身の「アベノミクス」を取り戻す必要に駆られている。

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