2016/05/02    11:21

成長を求める声は、どこに向かえばいいのか

アメリカ経済の減速感が強まっている。
 
米商務省が28日に発表した今年1~3月期の実質GDP(速報値)は、年率前期比0.5%の増加にとどまった。2015年10~12月期の1.4%増から減速し、市場の予測も下回る結果になった。原油安が設備投資の減少に影響したほか、中国など低調な海外経済の影響を受けて輸出が減少したことなどが、原因と報じられている。
 
今回の発表に対して、ウォールストリート・ジャーナル紙は、リーマンショックからの回復を自画自賛するオバマ大統領を批判する社説を書いている。
 
冒頭では、「アメリカ人はいつ、1%や2%の経済成長が満足できるもので、賃金が弱々しい上昇になるのは避けられず、われわれ全員がただ肩をすくめてこの国への期待が小さくなるのに慣れるべきだと、決めたのだろうか」と、オバマ政権下での力強さを欠いた経済成長に疑問を投じた。
 
その上で、アメリカ経済の成長が7年前から2.5%を上回っておらず、3%以上の成長は2005年以来であることを指摘。これほどの低迷期は1930年以来だと嘆いている。
 
海外経済の不調による影響を受けているといって他の誰かに責任転嫁するよりも、オバマ政権の経済政策を検証して、力強い経済成長を取り戻すべきだという主張である。
 
翻って日本のことを考えてみれば、安倍晋三首相の自民党は2012年の衆院選の際に、名目3%の経済成長と、2%のインフレ目標を掲げて、政権にカムバックした。どちらの目標も、現在のところ達成されていない。消費税の増税によって景気がダメージを受け、金融政策を一本やりで続けていてもインフレ率が思うように上がらない状況だ。
 
しかし、興味深いのは、こうした目標に達していないことに対して、責任を問う声が盛り上がる気配がないことだ。野党側は「アベノミクスによって格差が拡大した」と言いはすれども、経済が順調に成長していないことには批判が向かない。そしてその格差批判でさえも、自民党以外に政権を託せる有力な政党が見当たらない中で、空々しく響く。消費税の増税を見送るかどうかという議論も、増税が既定路線になっている中で、それをどこまで後ろ倒しにできるかという話でしかない。
 
この国はもはや、成長を諦めたのだろうか。『下山の思想』に続いて、『下り坂をそろそろと下る』というタイトルの新書が、広告に踊っている。成長の約束を果たせない与党と、成長に見向きもせずに分配を訴える野党が空論を戦わせる中で、民間の活力によって経済をこれからも成長させていこうという国民の声があるとすれば、それはどこに向かえばいいのだろうか。

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