昨年に引き続き、忙しいにも関わらず、万難を排して今年2015年も防大の開校祭に行ってしまった。(昨年の開校祭はこちら)
戦いのパワーが枯渇してくると、あの機動力と整然とした秩序に触発されて奮い立ちたくなるのだ。
(まずは日の丸に旭日旗。ここでは当たり前)
(そして迷彩・・・これを見ると自分の中の”男スイッチ”がオンになる。)
防衛大学校の学園祭にあたる開校祭は、毎年、11月中旬の土日に行われる。三浦半島の南端に位置する丘の上一面の広大なキャンパスが、はるばる日本中からの、いや、留学生の家族らしき人達も見受けられたから、海外からの見学者も含め、人で埋め尽くされる。
防衛省下の大学校であるから、プログラムは、ここならではのものばかりだ。
訓練展示(戦闘訓練の実演)、学科別の展示、クラブにあたる校友会活動の展示、留学生による国別の模擬店や展示、記念式典に観閲式、パラシュート降下、伝統の棒倒しなど盛りだくさんの見どころがある。何を見ても、すべてが国を守るという使命に直結しているのが最大のポイントだ。
特に日曜の午後の棒倒しは、外国のメディアをはじめ、ニコニコ生放送ほか、多くのメディアがカメラをズラリと並べる最大に盛り上がるイベントだ。”取っては投げ、ちぎっては投げ”の肉弾戦だから、今年は負傷者が出て、素早く救護担当の学生がかけつけ、担架でサッと運んでいった。聞くところによると、こんなことは練習時からいくらでもあるらしい。女子学生も”銃後”の守りについて、偵察活動などをするという。何もかもが訓練なのだ。
校友会(クラブ)の展示では、武道や応援団以外に茶道や絵画などもある。東京湾を見渡す絶景の丘の上に茶室があって、大の男がチンと座ってお茶をたてる。はて、なぜ防大に茶道部が?実は、自衛隊は芸術や文化活動を重視している。駐屯地でも、みごとな書道を展示することがよくある。静と動のバランスをとることは精神にとって大切なことなのだ。
空を飛ぶものはなんでも好きで、個人的に関心があるのはパラシュート降下。パラシュート部がある大学は日本で防大だけである。
(体育館での”パラ部”の展示)
高度1300メートル上空で、風の向きと強さに合わせ降下ポイントを決める。そして、芥子粒ほどのヒトガタがグライダーからポロポロと投げ出されたかとおもうと時速200㎞という猛烈な勢いで落下する。人が空から降ってくるのを見るのは、心を無にしないと、あまりの非日常的なシーンだけに恐怖心に支配されてしまう。10秒ほど落下し、パラシュートが開くまでは、見る方も呼吸が止まっている。
(開いたら、大きなどよめきが・・。)
グライダーには扉がない。そこから初めて空中に飛び出すときのことをちょっと想像してほしい。どうしても知りたくて聞いてみた。なんと、体も飛んだが、記憶の一部も飛んでしまったらしい。しかし一度やってしまうとクセになるのだとも。
予備のパラシュートも含めると大変な重量だ。しかし、習志野の陸上自衛隊の第1空挺団はそれに武器も携行して潜入するのが任務なのだ。
さて、防大には多くの留学生がいる。主にアジア地域からだ。彼らには、1年生になる前の1年間、日本語を学ぶ0年生という期間がある。その後の4年間は日本人と同じカリキュラムである。合計5年間、日本人学生と同じ釜の飯を食い、裸の付き合いをするのだ。
彼らは祖国に帰ればかなりのエリートである。おいそれと会える人ではなくなる。しかし、5年間、汗と泥にまみれた仲間でもある。何らかの事態が生じたとき、国を超えて電話一本で一気に青春時代の「お前と俺」がよみがえるのだ。こういった人脈が各国に存在するということは国家にとってどれほど重要なことだろう。
彼らが各国のブースを設けて、お国の紹介をしている。各国の重要人物の卵たちで、いずれは直に話すことのできない人物となってゆくのだが、まだ若くてカワイイ学生なのをいいことに、あれこれ話してみた。
(東ティモールのブース・・・民族衣装や伝統的な家などが展示されていた)
東ティモールの留学生は、きれいな日本語で、母語の原語の種類の多さ、テトゥン語という共通語・ポルトガル語・英語・日本語が話せることや、ほとんどの人がカトリックであること、現在、母国は安定していることなど話してくれた。また、東ティモール産出の天然ガスは、すべて日本向けだそうだ。
祖国には士官学校がないから、各国の士官学校に留学生を送り出しているのだという。かつての日本もそうだった。江戸時代後期から日本は、英、独、仏など西洋の軍隊に見習ってきた。
毎年、インドネシアのガムラン、タイのムエタイ、モンゴルの馬頭琴や踊りなどが披露されるが、これらを見ると、茶道をはじめ、自衛官は趣味が多い方がいいというのがよくわかる。(後編に続く・・・)
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