2015/04/23    08:00

【社説読み比べ】国立大学での「日の丸・君が代」 「大学自治の侵害」と騒ぐのは世界の常識から見てどうなのか

安倍晋三首相は、9日の参院予算委員会で、国立大学の入学式や卒業式で国旗掲揚と国歌斉唱を行うことが望ましいとの認識を示した。

次世代の党の松沢成文氏からの「ほとんどの国立大学で国歌斉唱を実施せず、国旗を掲揚しない大学も12から13ある」という指摘に対して答えたもの。安倍首相は、「学習指導要領がある中学、高校では実施されている。(国立大でも)改正教育基本法の方針にのっとって正しく実施されるべきではないか」と述べた。

改正教育基本法は、2006年12月に第1次安倍内閣の下で成立し、旧法にうたわれた「個人の尊厳」を継承しながらも、教育の目標に「国と郷土を愛する態度を養う」という愛国心や、「公共の精神」という規範意識が盛り込まれたものだ。(ハフィントンポスト 「『国立大でも国旗掲揚・国歌斉唱を』安倍首相が方針として掲げた、改正教育基本法とは」 2015/04/09)
 

朝日、毎日:学問の自由や大学の自治を脅かす介入


安倍首相の答弁を、国家による「不当な介入」と批判したのが朝日だ。大学は、「政府の意向や社会の価値観など一切に縛られ」ない機関だと述べている。

カネを出しているのだから、政府の言うことに従えといわんばかりの論法は乱暴すぎる。国が補助金を出している私立大にも同じことを求めるのか。

文科相は要請の根拠として、国旗・国歌法を挙げた。この法律が成立する際、政府は「国として強制や義務化をすることはない」と答弁したはずだ。

なのに文科省は小中高校の学習指導要領に基づき、国旗と国歌を徹底するよう求め、実際に全国の学校での実施状況を調べた。各地の教育委員会も処分を掲げて締めつけを強めた。

今回、文科省は国立大86校の卒業式や入学式を調べ、国旗掲揚や国歌斉唱を行ったのはどこかをつかんでいた。実態を調べていたこと自体、驚きだ。(中略)

大学は国の言いなりに教育を行う機関ではない。政府の意向や社会の価値観など一切に縛られず、自由で多様な研究を深めてこそ学問の価値が保たれる。

そんな敬意もなしに介入しようとする政権の姿勢は、大学の空気を一変させかねない。首相と文科相は猛省すべきである。
(朝日新聞 社説 「国旗国歌 大学への不当な介入だ」 2015/04/11)

毎日も、「所管官庁の要請は圧力になり得る」と警戒感を示した。

卒業式や入学式で日の丸掲揚、君が代斉唱をしない国立大学に対し、文部科学省は「適切な対応」を要請するという。

だが、要請が大学にとっては圧力と転じ、ひいては自由な教育・研究の土台である「大学の自治」に影を投じかねない。(中略)

「税金で賄われている」から掲揚・斉唱すべきだという観点にも疑問がある。

国立大は、政府の一律的な見解や制度に服すための機関ではない。何の分野にせよ、税金が使われているのだから従うべきだという発想は、状況を息苦しいものにし、活気ある自主性を損ねかねない。

日の丸、君が代は多くの国民に親しまれている。だが、国民が押しつけを是としているわけではない。(中略)

しかし、どの世界であれ、所管官庁の要請はしばしば圧力に転化する。例えば、厳しい財政下、文科省は国立大改革と競争力強化の一環として、積極的に取り組む大学へ運営費交付金を重点配分するなどの方針を打ち出している。

むろんそれと国旗国歌問題とは無関係のはずだが、こうした状況の中で出される要請は大学にとって、負荷になりはしないか。
(毎日新聞 社説 「国旗国歌の要請 大学の判断に任せては」 2015/04/11

東京新聞も、少子化で経営の難しい時代の大学に対して、交付金をチラつかせて干渉するのは許されないと述べる。また、10年以上前の天皇陛下のお言葉を引用して政府を牽制した。

大学の自治は、憲法が定める学問の自由を守る砦(とりで)である。教育研究はもちろん、人事や予算、施設管理といった学内の運営に対する外野からの干渉は許されない。だからこそ、九年前の教育基本法の改正では、大学の自主性、自律性の尊重を義務付ける条文が盛り込まれたのではなかったか。

安倍首相の念頭には、基本法がうたう国と郷土を愛する態度を養うという目標があったのかもしれないが、国旗掲揚や国歌斉唱の形式を強いたところで、愛情が育まれるとも思われない。

法的拘束力があるとされる小中高校の学習指導要領には掲揚や斉唱を実施する決まりがあるが、それが招いた教育現場の混乱はいまだに尾を引いている。

二〇〇四年の園遊会での一幕があらためて思い出される。

東京都教育委員だった棋士の故米長邦雄氏が「日本中の学校で国旗を揚げ、国歌を斉唱させるのが、私の仕事です」と語ると、天皇陛下は「やはり強制になるということでないことが望ましいと思います」と返されたのだった。(中略)

少子化も進み、大学の経営環境は厳しい。国立大は法人化されてからも、国からの交付金に頼らざるを得ず、国にとってはグローバル化や競争力強化といった注文を付けやすくなっている。

それよりも、大学は世界の平和と人類の福祉に貢献するという原点を忘れないでもらいたい。真理を探究し、新しい価値を創造する。日本の未来のためにも、自治の精神を貫く気概を持つべきだ。
(東京新聞 社説 「大学と国旗国歌 自主自律の気概こそ」 2015/04/17) 

日経も大学の「自主・自立」を危惧


左派メディア3紙に加えて、今回は日経も、大学の「自主・自立」を危惧している。「グローバル化」と「愛国心」が矛盾するとは思えないが、国旗・国歌の問題のような「お節介」は止めよと述べている。

大学は社会のなかの聖域ではない。いわゆる「大学の自治」に制約があるのも確かだ。それを前提に考えても、政府のこの方針は穏当ではあるまい。国立大に対し、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱を求める動きだ。(中略)

しかし学習指導要領に定めがある初等中等教育と、大学とは根本的に違う。大学はその運営も教育・研究の中身も自主性、自律性が尊重されるべき存在だ。世界中から人を受け入れる空間でもある。大学のグローバル化が急務となるなかで、国公立、私立にかかわらず画一的な統制はなじまない。

2006年の教育基本法改正では、大学の自主・自律の尊重について新たに条文が追加された。首相が「基本法にのっとって」と述べたのは、同法の「わが国と郷土を愛する」のくだりを指しているようだが、大学についての条文にも目配りがほしいものだ。

下村文科相は、各大学への要請は「強制ではなく、お願い」だという。しかしまさに首相が「税金によって賄われている」と述べたように、国立大への交付金のさじ加減は文科省が握っている。そこからきた「お願い」は大学を萎縮させる効果が十分にあろう。

大学に対する政府の役割は、入学式をどう営むかといったお節介でなく、教育・研究の水準向上や多様性確保である。政府はこの問題で、これ以上の口出しは控えるべきだ。国立大学協会など大学サイドでも、きちんと対応を議論すべきではないだろうか。
(日経新聞 春秋 「自主・自律あっての大学だ」 2015/04/14)

読売、産経:国旗国歌を敬うのは国際的な常識


これらの批判に対する疑問を投げかけたのが読売だ。「国旗・国歌が国民の間で広く定着している状況を考えれば、式典で掲揚や斉唱を促すのは妥当」だと主張している。

疑問なのは、今回の要請方針に対し、「大学の自治を脅かしかねない」といった批判が出ていることだ。強制力のない「お願い」によって簡単に揺らぐほど、大学の自治はもろいのだろうか。

要請をきっかけにして、大学における自由な研究活動が妨げられるとも思われない。

国立大学の運営が税金で賄われていると指摘し、適切な対応を求めた首相の発言をとらえ、大学への圧力と受け止める声が上がっているのも理解に苦しむ。

「国旗を掲揚しなければ、国からの交付金が減らされるかもしれない」と大学が萎縮することを心配しているようだ。だが、予算配分は大学の規模や機能強化の取り組みに応じて決められる。国旗・国歌の扱いとは無関係である。

自国や他国の国旗・国歌に敬意を表すのは、国際社会における常識であり、当然のマナーだ。

政府がそうした教育を求めるたびに、あたかも統制強化のごとくとらえる議論が起きるのは、世界でも日本だけだろう。

国際常識を身に付けた人材を育成する観点からも、各国立大学の良識に期待したい。
(読売新聞 社説 「大学の国旗国歌 要請で自治が脅かされるのか」 2015/04/16)

産経は、「国旗と国歌に敬意を払う教育がなぜいけないのか。それを妨げる方が問題である」とし、「大学の自治を損なうものでもない」と述べる。

大学人にあえて言うまでもないことだが、国旗と国歌はいずれの国でもその国の象徴として大切にされ、互いに尊重し合うことが常識だ。小学校の学習指導要領解説書にも書かれている。

人生の節目の行事で国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは自然であり、法的根拠を求めるまでもない。まして「大学の自治」を損なうものでもない。

実施できないのは、国旗国歌に背を向ける一部教職員らの反発が根強いからだろう。学長の判断で適切に行ってもらいたい。

小中高校での国旗掲揚、国歌斉唱をめぐっては反対する教職員との板挟みで平成11年に広島県の高校校長が自殺する痛ましい事件が起きた。これをきっかけに国旗を日の丸、国歌を君が代と規定した国旗国歌法が制定された。

国旗国歌に敬意を払う国際的な礼儀に背を向け「強制」と批判することこそ恥ずかしい。

国歌の斉唱時にあえて起立せず式を混乱させる教員が相変わらずいる。自然に敬うことを妨げる動きがあるから東京都などで教職員に起立斉唱する職務命令が出されている。

祝日に国旗を掲げる家庭も少なくなっている。普段から国旗と国歌を敬う教育を大切にしたい。
(産経新聞 主張 「国旗国歌 背向ける方が恥ずかしい」 2015/04/14)

朝日社説では『国旗掲揚や国歌斉唱を行ったのはどこかをつかんでいた。実態を調べていたこと自体、驚きだ』と、まるで文科省が“特高警察”であるかのような表現で書いていたが、産経は『同(松沢)氏の求めで文部科学省が各大学に聞き取り調査した』と書いている。いったいどちらが事実なのだろうか。

国旗と国歌を尊敬し、大切にすることを子供に教えるのは、世界的に見ても当たり前のことである。国旗がその国そのものを象徴するものだからこそ、逆に他国を侮辱するために国旗を燃やしたりすることが行われる。

戦後70年の今年は、日本国民として、「日の丸・君が代」への思いを深めてみる良い機会ではないだろうか。

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