2016/05/30    08:00

「基地があるから事件が起きる」は正しいか

沖縄で、行方が分からなくなっていた20歳の女性会社員の遺体が見つかり、米軍の元兵士が死体遺棄容疑で逮捕された事件は、衝撃を与えた。容疑者は被害者に対する性的暴行や殺人についても供述しており、事件の残虐性には目を覆いたくなるものがある。女性は結婚を控えて交際相手の男性と同棲中だったという。それを考えても、とても痛ましい事件だ。
 
この事件に対しては、抗議集会が相次いで開かれている。県民の怒りが爆発するは、当然のことだろう。「怒るな」と言う方がおかしいほどの恐ろしい事件だからだ。
 
とはいえ、今回の事件を受けて、翁長雄志・沖縄県知事や抗議活動を展開している人々が、「基地があるからこうした事件が起きる」という前提から、沖縄からの米軍基地の撤去をさらに声を大にして求めていることには、問題のすり替えが潜んでいる。
 
こうした事件が起きるのは、本当に「基地があるから」だろうか。犯罪発生率の数字を見れば、「米軍関係者も人間なのだから、ときどき道を外す人がいる」という理由の方が、より実情に合っているのではないかと思えてくる。
 
米軍準機関紙の「星条旗新聞」は、1972年以降、日米地位協定に該当する米軍の人員が起こした犯罪件数は、5,896件だったと伝えている。件数だけを見れば多いようにも感じるが、同じ期間の犯罪発生率は、沖縄県民が1万人当たり69.7件に対して、米軍関係者は27.4件で半分以下だという。また2014年には、米軍関係者の犯罪は過去最低レベルを記録したという。
 
しかし、たとえ米軍関係者による犯罪率が低かろうとも、事件が起きるたびに、地元の反米感情は盛り上がる。いくら対策を講じようにも、「とにかく出て行って欲しい」と思われていれば、何をしても効き目がないことになってしまう。「星条旗新聞」の記事は、「低い犯罪率にもかかわらず、沖縄で米軍は勝ち目のない状況に置かれている」というタイトルだが、沖縄で反基地活動家に取り囲まれている米軍の苦悩が、まさに伺える。
 
加えて問題なのは、「米軍基地の撤去」ばかりを主張する議論だろう。もし本当に米軍が出ていくのであれば、その分、日本は自分の国を自分で守れるだけの体制を整えなければならない。だから、「米軍出ていけ」と主張するのであれば、「自分の国は自分で守ろう」と、セットで呼びかける必要がある。
 
ここでも問題なのは、「基地があるから犯罪が起きる」という短絡的な発想だ。もし仮に、米軍撤退後に自衛隊が沖縄に基地を置くことになった場合に、「米軍基地があるから犯罪が起きる」という主張は「自衛隊基地があるから犯罪が起きる」という話に、容易に置き換わる。いくら自衛隊が対策を講じても、「軍隊は悪」と考えている人たちには通じない。そして、一部の人々は、「自衛隊駐留で、沖縄は植民地にされたまま」と言って、「琉球独立」論を唱え続けるかもしれない。
 
すべては、「防衛のための軍事は必要である」という一点が共通認識にならなければ、解消されない問題だ。しかし、少なくとも翁長知事は、むしろ「琉球独立」の片棒を担ぐかのように振る舞っている。
 
23日に首相官邸で安倍晋三首相と会談した際には、伊勢志摩サミットで来日するオバマ米大統領との直接交渉する機会を要求したという。安全保障は中央政府が責任を負っている問題であって、本来なら県知事が口を挟むべき分野ではない。にもかかわらず、翁長氏は政府を飛び越して外国の首脳との「直接会談」を求めた。おそらく、翁長氏の意識の中では、自身が日本の首相だという勘違いが起きているか、あるいは、沖縄はすでに独立しており、「『沖縄国』の首脳である自分はオバマ米大統領と話ができる」と思い込んでいるかのどちらかだろう。
 
いずれにしても、今回の事件をきっかけに、「基地があるから犯罪が起こる」という声が盛り上がることは、正しいこととは思えない。これは、沖縄県民を侮辱しようとしているのでも、痛ましい事件があったことをごまかそうとしているのでもない。「米軍は出ていけ」と言うなら、「自分の国は自分で守ろう」と主張するのが正論だと思うからである。もし「米軍に任せていては、大切な私たちの命が守れない」と思うのであれば、「私たち日本人が、自分で自分の国を守るにはどうしたらいいか」を考えるべきである。

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