2016/06/05    08:00

解散総選挙を求めない野党は、野党たりえるか

1日の国会会期末を前にして、野党4党は5月31日に安倍内閣に対する内閣不信任案を衆院に提出、否決された。民進党の岡田克也代表らは、安倍首相が消費増税を予定通りに実行できなかったことなどから、アベノミクスは失敗していると批判している。
 
新聞の見出し風に言うなら、参院選を前にして野党が「対決姿勢」を強めたということになる。しかし、逆に目につくのは、その肝心の野党の「対決姿勢」がどこかに行ってしまっていることの方である。
 
野党側は不信任案提出に際して、安倍内閣に対して内閣総辞職を求めた。興味深いのは、彼らはあくまで内閣総辞職を求めたのであって、解散総選挙を要求しなかったことだ。
 
今回の不信任案は、消費税率の引き上げを二度と延期しないと宣言していた安倍首相が、その約束をなしにして、改めて消費増税の延期を決定したことが理由だ。普通なら、首相の「約束違反」を厳しく糾弾し、「解散総選挙で国民に信を問え」と言うのが、野党の仕事のはずだ。だがその仕事を、野党4党は果たさなかった。
 
もちろん、熊本の震災から日が浅いことや、前回の衆院選からの間隔が短いなどの理由はあげられる。だが最大の理由は、いま解散総選挙が行われたところで、もはや安倍自民党に対する勝ち目は彼らにはないということだろう。衆院解散と衆参同日選に踏み切れば、自民・公明の与党は議席が減ることが予想されたが、まるで歯が立たない選挙を戦わされる野党の方が被るダメージの方が大きい。
 
だからこそ彼らは、衆院解散ではなく、あくまで内閣総辞職を求めた。「内閣総辞職を求める」というセリフは、字面の上では勇ましく聞こえるが、選挙の「対戦相手」が強すぎて勝ち目がないので、「替えてください」と言ったまでのことである。
 
まるで、「大谷翔平が相手では打てないから、予告先発を替えてください」と試合前に申し出るようなものである。あるいは、「ジョコビッチ相手では試合にならないから、トーナメントを組み直してください」でもいい。
 
衆参同日選をめぐる今回の政局では、消費増税の延期の是非と、それに対する安倍首相の説明の仕方にばかり焦点が集まった。しかし、野党が戦えない状態であることの方が、この国の民主主義にとって、よほど大きな問題であるように思える。

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