2015/09/28    13:00

朝日新聞は、沖縄とチベットを同じにしていないか?

少し古くなるが、23日の朝日新聞は、興味深い紙面構成で、考えさせられるものがあった。1面の天声人語では、沖縄県の翁長雄志知事がスイスの国連人権理事会でスピーチを行ったことを好意的に紹介し、2本の社説のうち一つでチベットの人権問題を扱っていたからだ。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対してきた翁長氏は、日本政府を飛び越えて積極的な”外交”を展開しており、5月末からは米ワシントンを訪問している。今回のスピーチで翁長氏は次のように述べ、日本政府を痛烈に批判した。

私は世界中の皆さんに、辺野古への関心を持っていただきたいと思います。そこでは、沖縄の人々の自己決定権が、ないがしろにされています。(中略)70年間で、アメリカ軍基地に関連する多くの事件・事故、環境問題が沖縄では起こってきました。私たちは自己決定権や人権を、ないがしろにされています。自国民の自由、平等、人権、民主主義すら守れない国が、どうして世界の国々とそれらの価値観を、共有することなどできるでしょうか。
(ハフィントン・ポスト日本版 「翁長雄志知事が国連で演説『沖縄の人々は、人権をないがしろにされている』(日本語訳全文)」 2015/09/22)

ここで重要なのは、翁長氏が用いた「自己決定権」という言葉だ。一見すると、「沖縄のことは沖縄で決める」という緩やかな響きがあるこの用語は、「民族自決の原則」という意味を含んでおり、沖縄独立を目指すグループが積極的に使っている。それはつまり、「それぞれの民族は自らの国を持つ権利を、基本的人権として有している」という意味だ。「自己決定権」という言葉をこのスピーチで使った翁長知事は、沖縄の人々は日本人によって差別されている少数民族であり、独立する権利があるということを、実質的に訴えたということになる(参考)。

このように考えれば、翁長氏は闘争的で大変なことを言っているのだが、このスピーチを「異例」と表現した「天声人語」のリアクションはこうだ。

翁長雄志(おながたけし)知事はスイスに飛び、国連人権理事会で異例の発言をした。「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」。米軍基地の集中という構造的な差別の存在を訴えた▼普天間飛行場の移設は安保問題であり、人権を扱う場での発信は理解されない。政権はそう見ている。しかし、「自国民の自由、平等、人権、民主主義」も守れないのか、という知事の主張には普遍性がある。世界に届くのではないか
(朝日新聞 天声人語 2015/09/23)

朝日新聞はこれまでも、翁長知事を応援するようなスタンスを取ってきたが、ここでも同氏のスピーチを「世界に届くのではないか」と称えている。しかし、翁長氏の発言が「沖縄は少数民族で、独立する権利がある」という意味であるなら、「世界に届くのではないか」では済まされない。「自己決定権」という言葉の持つ危険なニュアンスに、もっと気づく必要があるし、もしすでに気づいていながらこうした報道をしているなら問題だろう。

ちなみにこの日の朝日新聞の社説のひとつは「チベット50年 民族に真の自治を」という見出しで、チベットの人々の人権を無視する中国政府の政策を批判している。

チベットの文化が大事にされてきたとは言いがたい。自治区内で漢族人口の比率が高まり、学校では標準中国語教育を浸透させている。何よりも、人々にとって大事な心のよりどころであるチベット仏教の寺院や僧侶への監視を強めている点が懸念される。(中略)チベットではダライ・ラマの写真や動画を所持することは取り締まりの対象だ。信仰に関する事柄も政治的に解釈される。そうした弾圧への抗議で焼身自殺する僧侶が後を絶たない。
(朝日新聞 「チベット50年 民族に真の自治を」 2015/09/23)

中国共産党によるこうした圧政が進行しているチベットのような人々こそが、真の意味で「自己決定権」を求めるべき人々ではないだろうか。一方で、米軍基地が沖縄に集中していることは事実だが、それによって沖縄も含めた日本全体としての安全が守られているというプラスがあるのであって、一方的な人権侵害だから独立させろというのは、論理が飛躍している。翁長氏の述べた「自己決定権」というロジックは、沖縄の状況を信教の自由さえも許されないチベットなどと一緒くたにするに等しく、看過できない。

翁長氏のスピーチについての天声人語と、チベットの自治についての社説が同じ日に載ったのは、単なる偶然なのかもしれない。しかし、2つの記事を通じて翁長氏のスピーチについて考えれば、「沖縄とチベットは同じか」「日本政府はチベットを弾圧する中国政府と同じか」といった疑問が湧く。沖縄独立派の意見を代弁してしまっている翁長氏の行動の危うさに、日本全体が気付くべきである。

TOP NEWS

早急に業務時間改善と意識改革を

2017/05/31  14:05

教員は子供の成長に寄与することが本来の仕事

Appleより優秀な人材が集結?

2017/05/16  14:05

電気自動車の先端を行くテスラモーターズ

中身を見て判断すべきでは

2017/06/14  08:02

聖書の一句を載せる与党~政教分離の意味とは

ACCESS RANKING

2

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

5

補償金3億ドルを無償で韓国に渡した1965年

軍人遺族らが韓国政府をついに提訴!!「日本の補償金返して」

6

北朝鮮にとっては絶好のチャンス

大統領の弾劾は、韓国の「終わりの始まり」か?

7

ミレニアム・ファルコン?!

バルト海に眠るは・・・UFO・・・?

9

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生