2016/04/15    08:00

タクシー初乗り運賃、実験的に引き下げへ――「外国人のため」でいいのか?

国土交通省が音頭を取って、7月から東京都の一部地域で,タクシーの初乗り運賃改定のための実証実験が行われる。

外国人観光客や高齢者などの近距離移動の需要を調査し、初乗り運賃の大幅な引き下げを目指しているという。

海外からの観光客の増加を意識した措置のようだ。

訪日外国人観光客が急増するなかで、海外の主要都市と比べた日本の初乗り料金への割高感が強まっているためだ。ただ、引き下げはタクシー会社の大幅な減収につながる可能性があるため、2016年度に実証実験を行って効果を検証する。(中略)

国交省幹部は料金引き下げについて、「潜在需要は大きく、これまでのような値上げしては利用者が減る『負のスパイラル』から抜け出せる可能性がある」と期待を寄せる。料金引き下げで利用者数が大幅に増えれば、売り上げ増につながる可能性もある。
(毎日新聞 「タクシー初乗り料金 国交省が引き下げ検討 海外価格差是正」 2016/02/13)


規制緩和はいいにしても、「諸外国では」という、「出羽の守」がまたもや顔を出して、日本の硬直化した制度を変える口実にされているのが気になる。国によって、状況はそれぞれに異なるので、価格だけを比較しても参考にはならないだろう。

外国人観光客の増加を当て込んでの「民泊」推進も、既存の厳格な旅館業法を無視するような特例措置だが、外圧を利用して世論の反発をかわそうという意図が透けて見える事例の一つだ。外国人がいなければ、日本の社会は自力では変わらないのだろうか。

NHKの報道によると、「初乗り距離=2km」という規定で残っている一番古い記録は、昭和11年だそうだ。自家用車など、まだほとんど普及していなかった戦前の規定が、21世紀の日本でまだ残っていることに、驚きを通り越して呆れてしまう。

実は、国交省がタクシーの初乗り運賃を改定しようとしている背景には、大阪で訴訟が続いている「ワンコイン・タクシー」問題があるとも言われている。

大阪では小泉政権時代の規制緩和ブームにあやかって、「初乗り500円」のタクシーが激増。しかし、「料金の安さを長時間、長距離での営業で補う営業形態は乗務員の労働超過につながり、乗客の安全性が脅かされかねない」との理由から、近畿運輸局が「下限割れ運賃」を厳しく規制し、違反すると営業許可取り消しの罰則を科すようになった。

さらに、2014年1月には、運輸局が「運賃の上限・下限」を設定し、この範囲外の運賃は認めないという「タクシー特別措置法」も施行された。

これに対して、格安運賃で営業しているタクシー会社が訴訟を起こし、大阪地裁が「国の裁量権の乱用」だと、国側に敗訴を言い渡す事例が、昨年2件出ている

これを受け、国土交通省は、国主導の運賃規制に勝ち目が無いとみて、初乗り運賃の値下げに舵を切るつもりではないかと言われている。

最近では、スマートフォンのGPS機能を利用して、すぐにタクシーの配車ができるアプリができたり、様々なカーシェアのサービスも増えつつある。「タクシー初乗り」にどこまでもこだわっていては、時代の変化に置いていかれてしまいそうだ。

法律や規制にその場しのぎで細かく手を入れる前に、大昔の法律が現代の実情に合っているのかを考え、法律を新しく作り直していくプロセスが必要とされているのではないか。そしてそれは、外国人旅行客のためより、まずは国民の幸福のためである。

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