2016/11/01    08:28

自民党の総裁任期が「3期9年」までに――何が本当の問題なのか

ときどき誤解されがちだが、政党というものは、公のものではあっても、国の機関ではない。選挙で勝利して国会で政策を議論して実現させるための私的な団体である。だから、政党をつくるのも自由だし、そのトップをどのように決めるのかも自由である。党内で選挙をやってもいいし、党外の意見を聞いてもいい。くじ引きでもじゃんけんでも、もしくは“神のお告げ”であっても構わない。ただし、選挙で勝利する上で、有権者の理解を得られるならば、という条件付きだが。
 
そういった意味では、自民党が総裁の任期を、「2期6年」から「3期9年」に延長したことそのものは、問題ではない。政党が政党として決定したことに、外部から口を挟むのは、結社の自由や政治参加の自由の妨げにもなり得るだろう。
 
だから、安倍首相が独裁制に近い長期政権を築こうとしているとして、自民党の総裁任期の延長を批判する声もあるが、これは微妙に論点がずれている。これは自民党の任期の問題というよりは、日本の政治制度の問題だと思われるからだ。
 
安倍晋三総裁が率いる自民党は、国政選挙で勝ち続け、民進党をはじめとする野党がいくら連合を組もうとも、容易にはかなわない状況が続いている。一強多弱の長期政権による安定した政治は、長らく首相が1年ごとに交代してきた時代に比べれば魅力的に見えるかもしれないが、一方で、野党との論戦を通じた政策のチェックや権力の歯止めが働きにくいという弊害もある。
 
こうした状況を生み出したのは、二大政党制を目指して導入された小選挙区制度によるところが大きい。小選挙区制では、各選挙区で1人しか当選者が出ないため、全国で合算すると一つの党が雪崩をうったように勝つケースが多くなる。小党は押しつぶされ、強いところのみが残る。政権が強いうちは安定するが、ひとたび世論の針が逆の方向に振れれば、今度は正反対の価値観を持った政権が生まれることもある。自民から民主へ、民主から自民への政権交代劇で、こうした光景が繰り返し現れた。
 
もしも、議論を通じて様々な意見をぶつけ合い、その中から最善のものが生まれるということが、民主主義の価値だとするならば、小選挙区制度の見直しの議論を真剣に始めるべきなのではないだろうか。

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