2016/05/06    08:00

憲法9条のままで国を守る方法を真面目に考える

憲法記念日の恒例ともなっている各紙の世論調査では、今年、憲法改正に後ろ向きな意見が目立った。
 
日経新聞の調査では、憲法は「現在のままでよい」とする意見が、同じ質問での調査を始めた2004年以降で、始めて5割に達した。中でも、「平和主義が変質する恐れがある」という理由が、最も多く51%だったという。
 
朝日新聞の調査でも、憲法を「変える必要はない」という答えが55%になった。安倍政権が発足して間もない2013年の調査では、「変える必要がある」が54%で「変える必要はない」の37%を上回っていたが、二つの回答の割合は3年で逆転した。
 
悪夢のような民主党政権の記憶が急速に薄れていったせいなのか、あるいはいざ改憲に進もうとする首相の政権運営を見て不安に駆られたのか。国民心理の迷いが伺えそうだ。
 
このまま日本は、現在の憲法を改正しないままにする道を選ぶのだろうか。特に、北朝鮮や中国からの軍事的な脅威が高まりを見せると同時に、アメリカの有力な大統領候補が日米同盟の見直しを示唆する中で、軍隊を持たないと定めた憲法9条をそのままにしておくつもりだろうか。
 
私自身は憲法9条を改正すべきだと考えているが、もし国民の多数が改憲に反対なのであれば、憲法をそのままにしたままで、いかに国を守るかを考えなければならない。ここでは頭の体操として、憲法9条に手を加えないままで日本を守る方法について、試しに考えてみる。
 
まずは、これまでの日本政府がそうしてきたように、新しい事態に憲法解釈で対応していくという方法がある。政府の憲法解釈は、たとえ憲法9条があったとしても、日本は「自衛のための最小限度の実力」を持っていいというものだ。だから実は、政府が判断さえすれば「自衛のための最小限度の実力」として、日本が核武装をすることさえも可能である。
 
しかしそれでは、選挙を通じた民意の判断があるにしても、政府が自身の裁量次第で国防政策を決めていけるということになってしまう。法的なチェックのメカニズムがないのは、不健全な枠組みだろう。
 
第2の道としては、アメリカの51番目の州として併合されてしまうという手がある。これであれば、憲法を変える必要もなければ、安保条約や国防のややこしい問題を考える必要もない。日本に危機が迫れば、世界最強の軍隊である米軍が全力で守ってくれるだろう。なぜなら、日本はアメリカの領土だからだ。尖閣諸島に米軍が出動してくれるかどうかなど、考える必要もなくなる。実際に国会でも、こうした仮定の質問をした議員もいる。
 
一方で、日本人がアメリカ国民になるということは、自衛隊が米軍に編入されるということになる。このことは、日本人が戦争も含めたアメリカの世界戦略の片棒を担ぐことにもなり、それが広い意味で憲法9条の「平和主義」の考え方と合致するかは分からない。
 
3つ目は、憲法9条に縛られる政府や公務員は国防の任務を負わず、代わりに民間企業が請け負うという方法だ。「立憲主義」を守るように求める識者らは、憲法は政府や公務員を縛るためのものであって、国民は憲法を守らなくてもいいという主張を繰り返している(3日の朝日新聞の1面にもそうした意見を伝えるコラムが載った)。
 
この意見を“流用”するならば、政府は憲法9条を守らなければいけないため、本来なら軍事力を持ってはならない。しかし、国民の側は憲法を守らなくていいのだから、もちろん、9条を守る必要も義務もないことになる。だから、憲法9条を一字一句守って自衛隊を解散する代わりに、民間のSECOMやALSOK、全日警といった警備保障会社に委託して、防衛の役割を引き受けてもらえばいい(もちろん、装備を拡充してもらう必要はある)。政府が国費から防衛費を支出する代わりに、国民基金をつくって委託費はそこから支払うことにする。
 
こうすれば、憲法9条を徹底したとしても、国は守れるかもしれない。国民は、正規の軍隊を持てない政府の代わりに、いわば現代の傭兵に自分たちの身を守ってもらうのだ。
 
以上の3点の内容は、憲法9条を徹底的に守り続けたままで、いかに国を守るかを考えてみた「頭の体操」である。もしいずれの話も荒唐無稽で馬鹿げていると思われるなら、国民の総意で、はやく憲法9条を改正したほうがいい。

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