2014/11/08    19:00

安倍外交は変節するか?

日中首脳会談が近く行われることになった。安倍晋三首相は、10日から北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせて、習近平・中国国家主席と公式に会談する。日中の首脳による会談は、安倍政権の発足以来、開かれておらず、約2年半ぶりのことになる。
 
日中双方は、会談で内政問題にプラスの効果を生みたいところだろう。中国は経済の減速が目立っており、特に日本からの直接投資は今年の1-9月期に前年同期比で半減している。日本との関係改善で、投資を呼び込みたいところだ。
 
一方の安倍政権も、スキャンダルによる閣僚のダブル辞任で、政権運営が苦しい。閣僚があと一人辞任すれば倒閣もあり得るという観測もある中で、建て直しのための一手が欲しいところだ。そこで、懸案になっていた日中首脳会談を実現すれば、外交成果をアピールするのに使える。
 
積極的に「中国包囲網」づくりに動く安倍政権はこれまで、中国との首脳会談を開いていないことを批判されてきた。また、特定秘密保護法の制定や、集団的自衛権の行使容認、昨年末の靖国神社参拝が一部マスコミなどの強硬な反発を招き、「ナショナリスト」というレッテルを貼られてきた。ここで日中首脳会談実現を通して、「日中友好」のジェスチャーを見せれば、こうした批判を和らげる材料になるという計算が働いたのかもしれない。
 

中国の詭弁に引っかかるリスクも?

しかし、会談では立場が異なる重要な問題は棚上げする可能性が高く、大きな成果につながる可能性は低い。加えて、さらに大きな不安要素もある。それは尖閣諸島の問題についてだ。
 
これまで中国側は、日本が尖閣諸島をめぐる領有権問題が存在すると認めるよう要請し、それを首脳会談実現の条件の一つにしてきた。しかし、日本側は、そもそも自国領である尖閣諸島に領土問題は存在しないという立場だ。
 
会談に際しての合意事項では、尖閣問題について、次のように合意したとしている。

双方は尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた
(外務省 「日中関係の改善に向けた話合い」 2014/11/07)

政府側の見解は、双方が「異なる見解を有していると認識し」たのだから、日本側は譲歩していないというものだ。しかし、気を付けなければいけないのは、中国が自国の都合のいいように、合意をねじ曲げる危険性があることだ。
 
日本側が、中国が「異なる見解を有している」ことを認めたということは、中国が尖閣に領土問題があると主張しているということを認めたという意味にも取れる。その結果、中国はこれを根拠に、日本が領土問題を認めたと宣伝する可能性も否定できない。
 

「日中友好」は支持率回復の魅力的なカード

今回、首脳会談が実現したとしても、中国の軍拡と東シナ海などでの軍事的な挑発が収束するわけではない。「偉大なる中華民族の復興」を掲げる習近平・国家主席にとって、反日政策は既定路線と言える。
 
国防強化や外交を通じた中国包囲網づくりに励んできた安倍首相にとって、支持が落ち込んできた時には、反対勢力の批判を和らげるための「日中友好」が今後も魅力的なカードになるだろう。しかし、最低限の対話は必要だとしても、気を付けるべきなのは、相手に対話してもらうために日本の立場を譲歩するような事態を避けることだ。
 
「(第1期内閣での)総理在任中に(靖国に)参拝できなかったのは痛恨の極み」と発言している安倍首相は、その危険性を十分に認識しているはずだ。日本の立場を守りながらも、日中での必要な対話を進めてもらいたい。

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