2015/06/28    20:51

同性婚の問題が日本の安全保障にとってとても重要なワケ

米最高裁が26日、同性婚を全米で認める判断を下したことで、オバマ大統領は「すべてのアメリカ人にとっての勝利」とコメントするなど、同性婚を支持する人々の間で歓喜の声が広がった。ホワイトハウスでも、性的マイノリティ(LGBT)への理解を意味する虹色で建物がライトアップされ、リベラル色の強いオンライン・メディアのハフィントン・ポストも、ツイッターのアイコンを虹色に変えた。

日本では、憲法第24条が「結婚は両性の合意に基づく」と規定しているため、現在のところ、同性婚は憲法上、認められていないと考えられる。実際に、昨年には青森県で、同性カップルが提出しようとした婚姻届が、憲法の規定を理由に受理されなかったという出来事もあった。

一方で、憲法学者らの間では、憲法の解釈次第では、24条を改正しなくとも、同性婚が認められるのではないかといった議論も行われている。

この問題が興味深いのは、安全保障をめぐる議論との関連だ。現在、衆院で審議されている安全保障関連法案は、憲法の解釈を変えることで、これまで認められないとしてきた集団的自衛権を日本も行使できるようにしようとするものだ。マスコミは憲法を改正しなければ、集団的自衛権は認められず、法案は違憲だという立場からの報道を、連日繰り返している。
 

二重基準を試すリトマス紙

同性婚を容認するかの議論は、日本ではまだ下火だが、今後、広がっていく可能性は十分にある。気になるのは、その際にマスメディアでどのような論評が行われるかだ。集団的自衛権は解釈改憲では認められないとしたマスコミは、同性婚についても同じ立場から改憲が必要と報じるのか、あるいは解釈の仕方によって認められると報じるのだろうか。ここに、マスコミの二重基準(ダブル・スタンダード)を検証するリトマス紙が隠れている。

政府は今回の安保法案が、現憲法や過去の政府の判断の枠内に収まるという説明に腐心してきた。集団的自衛権を認められないとした過去の見解の論拠を、逆の立場で使ったり、あるいは本件について判断していない最高裁判決を持ち出したことで、矛盾を突こうとするマスコミからの集中砲火に遭った。

一方で、同性婚を合憲と見なす意見としては、憲法24条の「両性」が「男男」「女女」も含んでいると解釈することも可能だという意見や、24条の規定は戦前の家制度を脱却して男女平等を推進することが目的であって、同性婚については規定していないと考えられるという意見などがある。

しかし、前者については、「男男」「女女」は「両性」ではなくて「同性」だと反論することもできる。後者については、該当の条文が「婚姻」について定めている以上、規定は全ての種類の「婚姻」について当てはまるため、結婚は男女の間でなければならないと主張することもできるだろう。
 

集団的自衛権と同性婚で立場は変わるか

つまり、どちらの立場に立つことも可能であるため、どのように報道するかはマスコミの編集方針と「報道の自由」に任せられている。私が興味を持っているのは、マスコミ各社が同性婚の合憲性(あるいは違憲性)をどのように議論し、集団的自衛権についての論評との整合性を取るかという問題だ。同性婚は現憲法が成立する際に想定していなかった問題だが、それは集団的自衛権も同じである。

同性婚をめぐる議論は、一見すると個人の自由の問題であって、安全保障とは何の関係もないように見える。しかし、もし仮にマスコミが「集団的自衛権は憲法解釈では認められないが、同性婚は認められる」という立場に立つとするなら、その立場の違いを、読者や視聴者にキチンと説明する必要が生じることになる。同性婚と憲法について、各社がどのような報道を展開していくのか、ウォッチしていく必要があるだろう。

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