2015/09/07    13:00

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

競争社会では必ずライバルが存在する。スペインそして世界を代表するアパレルの王者ZARAにもスペインでライバルがいる。マンゴー(MANGO)だ。1984年にイサック・アンディック(62)が創業したアパレル企業だ。

マンゴーも日本市場に出店している。日本市場でのMANGOの店舗数はZARAに比べ可成り少ないが、世界規模で見ると2014年の統計ではZARA ショップだけを見ると2,085店に対し、MANGO は2,220店舗とある。ZARAはインディテックス(INDITEX)傘下のブランド企業で、ZARA以外に7社のブランドを持ち、インディテックス全体で6,683店舗をもっている。一方のMANGOは4つのブランド企業を配下に持ち2,700店舗を有している。
 
MANGOの日本での進展が遅れた要因には、最初の日本市場への導入に日本のある卸商社との合弁が失敗したからだ。その卸商社のファッション嗜好は旧態依然のもので、MANGOのそれとは全く異なったものであった。MANGOの日本市場についての無知が最初の導入失敗の要因である。しかし、現在MANGOは日本市場を独自の開発で発展させている。
 
MANGOを創業したイサック・アンディックはトルコのイスタンブール出身のセファルディム系ユダヤ人で、16才の時に家族と一緒にバルセロナに移住した。それは1960年代の後半だった。17才になって、ヒッピーシャツを売ったのが、MANGOが誕生する礎石となった。露天市場などにも出て販売した。そしてアフガニスタンから刺繍の入ったコートの輸入を始めた。買った車にそれを満載してスペイン全国を行商した。完販するまでバルセロナには戻らないという一徹精神を押し通した。そして靴も販売アイテムに加えた。

彼のアパレル販売事業は軌道に乗り、1984年にバルセロナの中心街のパセオ・デ・グラシア通りに最初の店を開設した。1年経過した時点でバルセロナに5店舗、そしてバレンシアに1店舗を構えるまでに成長。そのあとも進展を続け、10年後にはスペイン全国で100店舗を有するまでになった。1995年から外国への出店を計画し、現在に至るまで世界の105国に進出し、13,000人の従業員、そしてバルセロナ県パラウ・デ・プレガマンス市にあるハンガーデザインセンターにはデザイナーなど30カ国から成る600人のスタッフが働いている。その8割は女性だ。
 
MANGOというブランドを選んだ理由は、イサック・アンディックが1984年にバルセロナの最初の店を開設する時に、彼はフィリピンを旅行した時に美味しく、フレッシュで、当時はまだ充分に知られていなかった果物マンゴーを思い出し、店の名前をMANGOと名ずけたという。「果物マンゴーは世界どこでもマンゴーと呼ばれている。訳す必要がない」というのが選んだ理由だったという。
 
ZARAが世界で誕生するアパレルデサインを真似て、止むことなく市場に新しいアパレルを数多く安価に提供して行くのと比較して、MANGOはオリジナリティーなデザインの追求とリーゾナブルな価格の提供を基本にしている。その意味で著名デザイナーと契約する場合もある。しかし、世界の高級有名ブランドとは異なり、飽くまで大衆向けのアパレルを提供している。MANGOの価格はZARAに比べ一般に高い。しかし、デサイン感覚が豊かで品質と品格をもったものを提供し、購買層もヤングから中年女性まで幅広い層に合うアパレルを提供している。更に、ZARAとの違いは、トータルファッションを重視している点だ。MANGOの店では靴、バッグ、ベルトなどアクセサリー的な商品も数多く販売している。ZARAはこの点ではアクセサリー的商品の数は非常に少なく、飽くまでアパレルの提供が主体だ。
 
またZARAを含め、インディテックスは売上の22%がスペイン国内での販売であるが、MANGOではその比率は、19%となっている。主要生産地は中国、インド、トルコ、韓国、香港である。
 
インディテックスではZARAを含め8つのブランドで赤ん坊のファッションからヤングそしてホームファーニシグまで揃え、消費者の需要をカバーしている。MANGOのスタート時には女性対象のアパレルだけを提供していたが、2008年からはMANGO MANのブランドを創設してメンズものも販売開始、そして子供服MANGO KIDSと大きいサイズの女性ファッションアパレルブランドVIOLETAもスタートさせている。VIOLETAブランドの店は昨年スタートして既に90店舗を構えている。
 
ZARAと同様に、納期の迅速さは世界のトップレベルだ。バルセロナ県パレッツ・バジェス市に2008年に構えた24,000m2の配送センターからは1時間に30,000着を仕分けして目的地に配送出来る体制になっている。現在、年間で9,000万着を生産し市場に供給している。この配送能力はライバルに比べ5-7倍の処理能力があるという。更に2022年までに395,000m2の配送処理センターを3段階に分けて建設する計画があり、そこでは1時間に75,000着の配送処理能力を備えることになるという。
 
MANGOの計画の中に世界の隅々の消費者まで届く為の広告のインノベーションを研究している部門がある。その具体化として、バルセロナのUPFビジネススクールに世界40カ国から学生140人が集まってのセミナーも2014年に開かれた。
 
創業者のイサック・アンディック氏もZARAの創業者アマンシオ・オルテガ氏と同様に公の場に姿を現すことを避けている。しかし最近は、イベントで表彰授与式などに姿を見せるようになっているが、僅かの頻度だけだという。また彼はスペインが誇るアストゥリアス皇太子賞財団のスポンサーでもある。この財団は、社会科学、文学、技術研究などのそれぞれの分野で活躍した人を対象に毎年皇太子賞が授与される。2011年には福島原発事故で活躍した日本の警察、消防隊、自衛隊の関係者が授与されている。
 
「成功の秘訣は情熱と希望と規律だ」ということをアンディック自身が語ったという。
 
MANGOが誕生したバルセロナはカタルーニャの独立気運が高まっている都市である。バルセロナ市内では70%の市民が日常カタラン語を話して生活している。MANGOのある店でひとりの訪問客がカタラン語で質問した時に、店員が理解出来なくそれに答えられなかったとして、その訪問客がそれを不満として投書したという。

それに対して、MANGOは「店員がカタラン語を話さねばならないということは我社の必須条件ではありません。寧ろ、バルセロナの店でも中国語かロシア語が話せる店員を募集しています」と答えたそうだ。バルセロナは世界を代表する都市のひとつだ。世界各国からの訪問客があるので、MANGOはそれに充分に応えたいという姿勢を示したのである。しかも、ロシアと中国市場はMANGOが最も力を入れて出店を増やしている市場でもある。

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