2016/09/03    17:16

カテドラルの建設に人生をかける91歳の老人――スペインから

建設中のカテドラル。


バルセロナにあるガウディの作品、サグラダ・ファミリア大聖堂は彼が亡くなった今も建設が続けられている。交通事故で亡くなり、自分の目で完成を見ることが出来ないとは想像していなかったガウディであった。それとは反対に、自分は高齢でカテドラルの完成を見ることは出来ないと知った上で、今もカテドラルの建設に専念しているひとりの男がスペインにいる。
 
スペインの首都マドリードから20km離れたメホラダ・デル・カンポ市で半世紀の間カテドラルの建設に専念している91歳の老人がいる。名前はフスト・ガジェゴ(Justo Gallego)、通称ドン・フスト(Don Justo)。1250平方メートル(およそ競泳プール1つ分)の敷地内に高さ60メートルのカテドラルである。1964年からひとりでつくり始めた。月曜から土曜まで毎日10時間費やして、今も建設に専念している。本人は完成するまでまだ15-20年は必要だといって、自分の目で完成を見ることはできないと知っている。「完成を目にすることは出来ない。私は(体調も)悪い。もう91歳になる。出来るところまでやるつもりだ。後は家族や隣人が続けてくれるだろう」と述べている(「RT」)。

フスト・ガジェゴ・マルティネス氏。


彼は農夫だったが、27歳の時に神父になることを希望して修道院に入った。しかし、結核を患い他の修道僧に感染することを恐れた教会は彼に教会を離れることを勧めた。病から回復するや、決意したのは家族が持っている敷地内に神に捧げるものをつくることだった。それが,何んと、カテドラルという巨大な作品であった。彼には設計図はない。建築家でも左官屋でもない。その経験もなかったという。しかも、教育は内戦が原因で初等教育さえもまともに続けることが出来なかったそうだ。彼が曰く「すべて、私の頭の中にある。教会、お城、意味ある建物についての色々な本を見てインスピレーションを蓄積した」という(「RT」)。
 
最初は彼の両親が残した資産を売却して得た資金を元にしたという。そして、企業や個人からの寄付である。資金援助や材料の提供である。.ユニークなのは、材料として中古品や廃品を使っていることである。壊れてたレンガ、ガソリンの空缶、セメント、バスやトラックの使い古したタイヤ、自転車の車輪、日常使用するビンやその他多くの雑貨の容器などの中古が建材となった。
 
彼の作品の建設を続けるのに大きな助けになったのはエネルギー飲料水の企業であるアクエリアスが、2005年、彼とカテドラルをスポットに使用したことであった。そのモットーは「人間は予測できないことをやり遂げる」。普通の人が成し遂げている彼の偉業を称えるスポットであった。このスポットで彼は3万6000ドル(367万円)の収入を得ることが出来て、偉業を続行するに重要な経済的な支えとなったという(「Quaerendo-Invenietis」)。

ジャーナリストのダビッド・モレノ氏がドン・フスト老人を訪ねてた時に、最初に受けた印象は、彼との会話は容易ではないということであったという。高齢なので耳も遠く、喋るのも辛そうだが、それ以上に彼を疲れさせているのは、絶えることなく訪れる訪問者を相手にすることだという印象を受けたそうだ。彼は「皆さん、記者だけじゃないのだ。.バスで大勢の人が来ていつも同じ質問で、私は直ぐに疲れてしまうようになった」と述べた。どういう気持ちでこの野望のプロジェクトを始めたのかというモレノ氏の質問に対して、彼は「あなたはキリストを愛していないのですか?」と尋ね、「洗礼も秘跡も授かっているでしょう。もし、キリストを愛していないのであれば、それはあなたの罪だ」と述べた。そして「私はこれを建設できる手段はこれまで手に入れることが出来た。しかし、それ(手段)では無いのだ」と語ったという(「RT」)。
 
筆者にはそれは、彼の純粋な心から来る信仰の深さがこの偉業を続ける意志を生み出して来たように思える。それを裏付けるかのように二人が会話している最中に非常に短いスカートを身に着けた若い女性がカテドラルの中に入って来るや、ドン・フスト氏はその女性を近くに来るように言って、「あなたは神聖な場所にいるのです。もう少し身体を覆うような着こなしをすべきです」と言って注意を促したと、モレノ氏は記事の中で言及した。それに対して、その女性は予期しなかった彼からの忠告に、「単に建設中の建物だと思っていました」と答えたという。その時、直ぐに別の女性がスラックスをはいて中に入って来た。それを見たフスト氏は、「あの女性は適切な着こなしをしている」と答えて満足したという(「RT」)。

多くの市民が市役所に働きかけて、彼のカテドラルの近くに彼の名前を付けた公園もできた。彼はそれに感謝をしてはいるが、彼の名前を付けた公園が出来たことについて、注意が反れていると感じるているという。即ち、彼にとって公園は「単に憩いの場とでしかあり得ない。それに彼の名前をつけたからといって、そこには信仰に繋がるものは何もない」ということを言いたいのであろう。

彼の甥っ子の6人が可成り以前から建設に加わって、彼を支えている。そして夏場になるとボランティアも参加するそうだ。カテドラルのステンドガラスの製作を担当した職人アンヘル・ロペス氏も加わっている。ドン・フストの偉業を受け継いで行く人たちだ。
 

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