2016/12/29    12:25

オランダの首相候補は移民ぎらい

オランダ自由党のウィルダース党首(右)。


現在、ヨーロッパでは極右政党への支持者が増えている。ヨーロッパの景気の低迷に加え、中東やアフリカからの移民・難民が大量に流入したことで、これまでの社会体制が崩れて行く姿を前にして極右政党が支持を高めている。そして、米国で反体制派とされるトランプ氏が勝利したことも、ヨーロッパの極右政党を勢いづける要因になっている。
 
トランプ氏が大統領選で勝利したことを受けて、オランダの極右政党、自由党のウィルダース党首は「米国は(公約してその後)修正する政治から解放された。米国民は自由で民主的な国であり続けたいという望みを表明した。今、ヨーロッパでそれを実現させる時が来た。我々も同じことをやろう」と述べた(「GATESTONE INSTITUTE」)。

まず、ヨーロッパで国会に議席を持っている、あるいは次期総選挙で必ず議席を獲得することが確かな極右政党を以下に挙げてみよう。
 
イギリス独立党(英国)、国民戦線(フランス)、ドイツの為の選択肢(ドイツ)、北部同盟(イタリア)、自由党(オランダ)、ヨビック(ハンガリー)、フラームス・ベランフ(ベルギー)、黄金の夜明け(ギリシャ)、真のフィンランド人(フィンランド)、デンマーク国民党(デンマーク)、進歩党(ノルウェー)などである。
 
以上の極右政党の中で特に注目すべき政党が二つある。オランダの自由党とフランスの国民戦線である。この二つの政党の党首ウィルダース氏とル・ペン氏がそれぞれ首相そして大統領になる可能性があるからである。この両者の中で、今回はウィルダース氏のことを取り上げてみたい。
 
現在、オランダのルッテ首相は同氏が率いる自由民主国民党と労働党による連立政権で成り立っている。しかし、最近は自由党が支持率ではトップの30%を維持しているのである。それは、オランダの下院150議席の内の33議席に獲得するに相当すると予想されている。
 
この議席では下院の過半数にはまだ遠く及ばない。しかし、政党支持率ではトップであり、しかも、現在連立政権を構成している労働党のジャッキー・モナシュ議員が離党して新しい政党を創設した。この新政党が、3月の総選挙で少なくとも20議席は確保できると予想されている。この新党が自由党と連携する可能性があるのである。この2党が連携すれば、過半数の議席に至るまでの不足の議席は少数政党の多いオランダでは容易に見つけられる可能性がある(「El Mundo」11月23日付同11月29日付)。
 
ウィルダース氏が党首の自由党が支持率を上げているのは次のような理由からである。

オランダは人口1680万人の国で、これまで歴史的に多民族を多く抱えて来た。特に、モロッコやトルコなどからの異文化の民族が多く移民して来て、それをオランダは容易に受け入れていた。そして、彼らはオランダ国籍を取得し仕事を見つけ、本国から家族らを呼び寄せてオランダに住むようになった。
 
しかし、異文化で育った彼らはオランダ社会に同化することなく、オランダにいても自国にいるような生活を維持しているのだ。そして、彼らの回教徒の寺院なども建設された。オランダ文化に同化し、彼らに対し、オランダ人と同様に社会保障を提供して来た。
 
ところが最近になってヨーロッパに難民が大量に流入するようになると、オランダもEU加盟国ということで、シェンゲン協定にも基づいて難民の流入をオランダ国境でコントロールできなくなっている。この難民の流入が動機となって、これまで長年オランダにおとなしく住んでいるモロッコ人なども同類の視線で見られるようになった。しかも、この不況時には彼らの職場も本来はオランダ人が働く場所だと見られるようになり、モロッコ人がオランダ人の職場を奪っているという受け取り方が社会に根付くようになっている。
 
この様な社会現象が起きている中で、自由党のウィルダース党首は「オランダは一つ問題を抱えている。それはモロッコ人と呼ばれる人種だ」と発言してモロッコ人の存在を煙たがっているオランダ人を扇動する(「El Mundo」)。

ウィルダース党首が外人への憎悪を表明し、市民を扇動したという罪状で10月末にスキポールの裁判所で公判が始まった時に、彼は裁判官を前に「私はあなた方の前にひとりでいるが、私の言うことは多くの市民の声だ。しかも、それは自分の国を愛する人たちの声だ。あなた(裁判長)はそれを良く知っているはずだ。ひょっとして、あなたの運転手もそうかもしれない」と言って、3月の選挙戦を意識した口調で答えたという(「El Mundo」)。
 
移民、特にモロッコ人を非難する彼の発言には次のような発言もある(「GATESTONE INSTITUTE」)。

「オランダの犯罪者で10人中の6人は移民だ。その囚人の中で、10%はモロッコ人だ。モロッコ人の若者はオランダの若者に比べ 5倍も犯罪を犯す疑いがある。それを指摘しない政治家は何の役にも立たない。私がそうなることはない」
 
「モロッコ人10人中の7人は、オランダの法律よりもイスラム規約の方がより重要だと思っている。オランダに住むモロッコ人の最低でも一人はイスラム教を守る為に暴力を使うことが容認されていると考えている。すなわち、(オランダに住む)10万人以上がそうなのだ」
 
「我々の国でムスリム人が増えている問題を政治家は過少評価している。ムスリム人はオランダを豊かにはしないと3分の1のオランダ国民は考えている。それが正しいのだが、(政治家の)誰もそれを聞き入れようとしない。唯一、私だけだ、それを受け入れるは」
 
「私が政権に就いたら、美しい我が国を守ってみせる。それにはムスリム人から解放されることで唯一可能となる。それが私の政治の核になるものだ」

彼の、外人、特にモロッコ人を憎悪する発言は枚挙に尽きない。このような思考の持ち主が一国の首相になることは危険である。しかし、それが現実となるかもしれない。

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