2015/09/06    08:00

国連の何たるかを遺憾なく示した、潘事務総長の中国軍事パレード出席

国連の潘基文・事務総長が、中国が北京で開いた「抗日戦争勝利70周年」を祝う軍事パレードに出席した。以前から、潘氏は歴史認識をめぐって日本を批判する発言をして問題になっていたが、再び「国連の中立性」をないがしろにする行動に出た格好だ。韓国人である潘氏は、2017年の韓国大統領選への出馬が噂されており、国連の官職を利用した選挙活動という色合いもにじむ。
 
また、式典ではダルフールでの虐殺に関与したとして、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出している、スーダンのバシル大統領も同席していた。逮捕状を出した側の国連トップが、追われる側と席を並べたのでは、国連の権威に自ら泥を塗ったに等しいだろう。
 
私はここで皮肉を込めて、中国での式典に出席した潘氏の勇気を、盛大に称えたいと思う。なぜなら、潘氏の行動は、国連が本質的に「戦勝国の戦勝国による戦勝国のための国際体制」であることを、端的に示したからだ。
 
第二次世界大戦の終結直後に創られた国連が、「敵国条項」を設けて、日本、ドイツ、イタリアなどを差別していることはよく知られている。アメリカのルーズベルト大統領は、米英中ソの四カ国が「4人の警察官」として世界の秩序維持にあたる構想を示しており、この4カ国にフランスを加えた5カ国が、そのまま国際連合の安保理常任理事国となった。「ファシズム」の国々が再び侵略を企てることのないように、集団で封じ込めておこうというのが、国連創立の下敷きになった考え方だ。
 
今回、習近平・中国国家主席は、式典での演説で、先の大戦が「反ファシスト戦争」だったと繰り返し強調した。当時、日本と戦っていない中国共産党がこれを言うのは問題があるが、「反ファシスト戦争の勝利」という発言の趣旨そのものは、国連が創設された時の理念を、実に忠実に訴えている。その意味から言えば、潘氏が「反ファシスト戦争」の勝利を祝う中国の式典に参加したことは、「戦勝国による戦後体制」を担う者としての、とても正直な行動だったと言えるだろう。
 
安倍晋三首相の訴えている「戦後レジームからの脱却」が、まさしく国際社会においても必要だということだ。終戦直後とは国際社会の力関係も様変わりしているにもかかわらず、国連は時間が止まったままになっている。敵国条項の撤廃や、安保理常任理事国の選び直しといった国連改革が必要であることは自明だろう。中国が70年前の戦争の話題に固執することを欧米はいぶかしがり、G7は首脳を送り出さなかった。そうであるならば、時代遅れの国連をどう改革すべきなのか、今回の潘氏の振る舞いを機に、国際社会でも議論が盛り上がって然るべきである。

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