2017/03/03    13:05

英国のユダヤ人がポルトガル国籍取得に向かっている。

英国でEU離脱(Brexit)が決まってから、これに関係した話題は尽きることがない。最近の話題は英国に住むユダヤ人の間でポルトガルの国籍取得の申請者が急増しているということである。一昨年の申請者は僅かに5人であったが、国民投票でBrexitが決まった昨年は300人がそれを申請したという。この申請が急増したのは英国がEUから離脱すると、現在の英国政府の姿勢から判断して、英国は移民の入国をコントロールする方針である。それは逆に言えば、英国人がEU圏内を自由に移動できなくなることを意味するものとなる。それを嫌う英国のユダヤ人がEU加盟国のポルトガルの国籍取得に動いているのである(elpais.com)。
 
では何故、ポルトガルの国籍を取得しようとするのかという疑問が湧く。その解明にはヨーロッパにおけるユダヤ人の500年前の歴史まで遡らねばならない。
 
ローマ帝国で紀元4世紀にカトリック教が認められ、そして国教となると、ユダヤ教徒は迫害を受けるようになった。ユダヤ教徒の間でそれを逃れる為に大きく二つの流れが起きた。ひとつはスペインとポルトガルがあるイベリア半島に逃れたグループ、そしてもうひとつはドイツの方に向かったグループである。イベリア半島に向かったユダヤ教徒を「セファルディム」と呼んでいた。そして、ドイツの方に向かったユダヤ教徒を「アシュケナジム」と呼んだ。
 
その後、ローマ帝国はイベリア半島に住むユダヤ人には市民権を与え、ユダヤ信仰も許した。しかし、6世紀にイベリア半島を支配した西ゴード王国が589年にカトリック国家になるに及んで、7世紀初頭にはイベリア半島に住むユダヤ人に改宗を義務づけた。これが要因となって多くのユダヤ人が国外に逃れた。しかし、8世紀の初めにイスラム軍がイベリア半島に侵入し支配するようになると、彼らはユダヤ人にもユダヤ信仰を許した。その後もイベリア半島ではイスラム王朝が栄え、首都のコルドバは10世紀にはヨーロッパでも最大の都市となり、政治・経済・文化の中心都市として発展した。そこではユダヤ人もイスラム指導者の為に優れた能力を発揮した。当時の繁栄の象徴として現在も残っているのがモスクである。
 
その一方で、11世紀からスペインの北部地方から領土回復運動「レコンキスタ」が起きて、その余勢からカトリック国家のカスティーリャ王国のイサベル女王とアラゴン王国のフェルナンド王が結婚してスペインの母体が出来上がり、領土回復に南下を続けた。そしてイスラムの最後に残っていたグラナダのナスル王朝を1492年に陥落させた。この時点で、またユダヤ教徒が迫害されて追放されることになるのである。その数は10万人とも20万人とも言われている。彼らの一部はポルトガルに移動、それ以外に地中海の対岸のイスラム圏にも移住したという。それから5年後にはポルトガルからも追放された。その多くはオランダに移動したという。小国であるオランダが成長したのもポルトガルから逃れたユダヤ人が商業で活躍し、後の東インド会社の創設もユダヤ人が関係しているのである。
 
さて、今から500年前にスペインとポルトガルから追放されたセファルディムのユダヤ人の子孫が世界に散在しているが、スペイン政府は500年前にユダヤ人を迫害し追放したことへの償いとして、セファルディムのユダヤ人がスペイン国籍の取得を望む場合はそれが受理されるとした法案を2015年6月に議会で承認させたのである。もちろん、既に所有している本人の国籍は放棄する必要がないとした。スペイン語、スペイン文化、スペイン風習などについての本人の認識評価をセルバンテス協会が行った上でスペイン国籍を付与するとした。そして、この法案が実施されてから3年間有効とし、事情によっては延長も可能とした。同様の法案がポルトガルでも承認された。但し、ポルトガルの場合は、その受理期間を無制限としたのである。
 
英国のユダヤ人はスペインの有効期間3年間とポルトガルの有効期間無期限を比較して、彼らの多くがポルトガルの国籍取得を選んだのである。更に、ポルトガルでは永住権の取得として、住居を構えればゴールドビザが付与されることになっている。ユダヤ人でなくても、英国人はこのビザ取得の為にポルトガルでの住宅購入者も増えているという。これまでは、ゴールドビザに関心を示していたのは中国人だけだったそうだ。
 
英国にはセファルディムのユダヤ人が35万人いるという。今後も、彼らの多くがセファルディムであるという何かの証明をもって、ポルトガル国籍の取得に向かうはずである(elpais.com)。

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