2016/12/19    13:49

キューバでは貧困が多いのに、フィデル・カストロは富豪だった

キューバの首都・ハバナの旧市街。


「生きている間、常に自分の主義を貫いた。考えた通りに生き、考えていることの為に生きた」
 
この様に語ったのは、11月26日に亡くなったフィデル・カストロの人物像を伝えたウルグアイの前大統領ムヒカ氏の言葉である(「Sputnik News」)。
 
フィデル・カストロはラテンアメリカの革命の父とされているが、富豪家だったのは知られていない。キューバ革命を達成してから現在まで多くのキューバ国民は貧困生活の中にあるのとは対照的だ。1997年のフォーブスの富豪者リストの中に彼は加えられた。当時既に、1億5000万ドル(168億円)の財産をもっていたという。彼の富はその後も増え、現在9億ドル(1035億円)の財産をもっているとされている(「OK diario」)。

米国資本がまだキューバで存在していた1954年のキューバの一人当たりの国民所得は世界31位だった。それがカストロ兄弟による革命以後、2014年には103位まで落ちているのは意外と知られていない(「Diario de la Marina」)。共産主義革命によって私有物の存在を否定し、企業もすべて国営化したことによって、生産性が下降して行った結果である。
 
それとは反比例してカストロファミリーは富を増やして行ったのである。カストロはコチノス湾の南にカーヨ・ピエドゥラという名の島を所有し、そこには20の豪邸、3台のヨット、それにヘリコプターが1機用意されていたという。結婚は二度したとされているが、8人の子供がいる。しかし、愛人も多くいたという。
 
ボディーガードは常に10人連れ、その二人はカストロと体型が同じで血液型も同じであったという。好みのウイスキーはシーバス・リーガル。ノーベル文学賞のガブリエル・ガルシア・マルケスはこの島を訪れたひとりだった。17年間、彼のボディーガードを務めた人物が米国に亡命して亡くなる前に一冊の本にしたことからフィデル・カストロの人物像が明確にされたのであった(「La Information」「Infobae」)。
 
フィデル・カストロは健康上の問題から2006年に弟のラウル・カストロに政権を移譲した。そして、2008年にラウル・カストロが国家評議会議長として正式に就任した。しかし、フィデル・カストロの存在は常にラウル・カストロの政治に陰で影響した。
 
19世紀後半からキューバ人によるスペインからの独立運動が活発になっていた。彼らは米国に亡命して、キューバ独立運動の活動をしていた。米国にとってもフロリダから僅か150㎞先にある国を支配することに関心を持っていた。そして、キューバ独立運動に米国が支援を始またのであった。スペインと米国戦争が勃発し、米国が勝利。それ以降、キューバは米国の勢力下に入り、米国の資本家はサトウキビから砂糖の生産に従事するようになる。その一方で、政治は汚職などで安定性を欠き、軍人バティスタの二度の介入があったが、最後は米国資本家と癒着し、キューバで上げる富は米国に持って行かれていた。

この現状を改革したいとフィデル・カストロは弟のラウル・カストロら同志が集まって武力蜂起したが敗退。投獄され、その後恩赦となってメキシコに亡命。そこで、チェ・ゲバラと友誼を深め、ゲリラ戦の訓練を受けて、1956年に再度ヨット「グランマ号」に乗ってキューバに上陸し、抵抗の末に1959年にバティスタを国外に逃亡させた。ここにカストロ兄弟によるキューバ革命の第一歩が始まるのであった。ちなみに、ヨット「グランマ号」の名前は現在、党の機関紙Granmaの名前になっている。

カストロのキューバ革命で、米国人が経営する中小企業5万社が没収され、それは全て国営化された。その影響で、多くの米国人らは国外に亡命した。1961年には、米国はキューバとの国交を断絶した。それ以後、昨年のオバマ大統領による国交回復まで国交断絶の時代が続くのである。この半世紀の間に米国では11人の大統領が誕生している。その一方で、キューバはカストロ政権が続いている(「El Pais」)。米国との国交が断絶される前の1959年からカストロはソ連との関係を強めるのである。

それ以後、ソ連が崩壊するまでキューバの経済はソ連に依存した状態が続くのであった。キューバのGDPの35%、そして貿易取引の85%がソ連との関係によるものであった。ソ連は1960-1990年の間に650億ドル(715億円)の資金をキューバに提供して来た、その60.5%は贈与、そして39.5%は借款。しかし、その返済は実質されていない(「Diario de la Marina」)。この資金はどこに消えたのか。キューバの経済を発展させることには貢献していないからである。

しかし、ソ連が突如崩壊すると、1990年8月から120か月間、キューバは悲惨な状態に陥ったのであった。品不足で4000%値上がりしたものもあったという。1993-1994年には、よく知られるようになった「筏」による米国への亡命者は35000人に上ったそうだ。この2年間だけでなく、その後もキューバ経済危機の間に国外への亡命者は増加の一途を辿った。向かう先は米国のフロリダであった。その首府マイアミには現在キューバからの亡命者が100万人いるという。マイアミはキューバ革命が勃発した当時から主義を異にするキューバ人の亡命先であった(「El Pais」)。

1999年になると、ソ連に代わってベネズエラにチャベス政権が誕生してキューバに支援の手を差し伸べるのであった。現在のマドゥロ政権はキューバに日毎に10万バレル前後の原油を廉価で提供している。チャベス政権時には原油価格が高値で、ベネズエラも景気が良く、日毎14万バレルを提供していたという。キューバは供給される原油の20%は転売しているという。それで、僅かの利益を得るようにしている。また、キューバからベネズエラには医師の派遣を行っている。現在、およそ35000人程度のキューバの医者がベネズエラで働いている。この派遣によってキューバは70億~90億ユーロ(8000億円~1兆円)の外貨収入があると見られている(「ESTILO」)。

キューバが熱心に海外に医師を派遣するのは人道的というよりも外貨を稼ぐ為である。アフリカのエボラ熱の時もキューバから医師団を派遣している。また、ブラジルでもキューバの医師が医療活動を展開している。
 
中国はラテンアメリカには積極的に投資をしているのであるが、意外にキューバとはこれまで取引は多くない。また、ロシアが最近ソ連の復活を思わせるように積極的にキューバに接近しており、ロシアの軍港基地の建設もキューバ政府に打診しているという。また、キューバはベネズエラからの原油の提供が減少して、国内で原油が不足している関係から、ロシアに安価に原油を提供してくれるように依頼している。
 
米国がトランプ氏が1月から大統領になると、彼はキューバの反政府派をも支援すると表明しており、オバマ大統領が切り開いたキューバとの関係に幾分か後退が見られるかもしれない。しかし、トランプ次期大統領は米国の企業家から圧力を受けており、経済を優先するのか、政治を優先するのか大統領に就任してから早々にその決定を下さねばならなくなるであろう。
 
しかも、トランプ氏自身もキューバとビジネスをしている関係から、選挙キャンペーン中に言っていた大使館を撤退させるなどの発言は単に口先だけで終わるものと思われる。現在のキューバの輸入食料の80%は米国から輸入している。キューバとの関係が疎遠になれば、キューバは他国から食料を輸入する可能性もある。
 
オバマ大統領のキューバとの国交回復によって米国人の観光者が急増している。また、キューバがテロリストの支援国のリストから外された。これによって、キューバは外国からの金融支援や貿易取引も容易になった。これまでのオバマ大統領の活躍によって、53人の政治犯が釈放された。しかし、まだ100人はいると推定されている(「ABC」)。
 
ラウル・カストロは2018年に政権を譲ることは既に表明している。その後継者が誰になるかはまだ明確にはされていない。革命当時のベテランは党の執行部には僅かしかいない。若い世代に譲るものと見られているが、その中でも有力視されているのが、ラウル・カストロが評議会第一副議長に任命したミゲル・ディアス・カネル氏である。それには軍部の支援が必ず必要で、その支援無くしては後継者にはなれないとされている。フィデル・カストロのいなくなったキューバでは、ラウル・カストロの影響力は倍増するように思える。

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