2016/11/03    13:25

モディ首相によるインド外交の変化と、日印関係の重要性

10月15~16日に、インドの都市ゴアでBRICSの首脳会議が開催された。インドとロシアの個別のトップ会談ではロシアからインドへミサイルシステムS-400の供給やヘリコプターKa-226の共同生産などが確認された。さらに、ロシアがインドで原子力発電所を5基建設することや、天然ガスのインドへの供給の為のルートの調査と開発も相互の合意の中に含まれた。両国はロシアがソ連の時代から70年以上の間強い絆を維持している。

しかし、インドはモディ首相が誕生したことによって、ロシアとの太いパイプは維持しながらも、新たな外交が展開されている。これまでの「非同盟主義」から脱皮して多極外交を展開しているのだ。

同盟主義運動はインドの初代首相ネール氏が提唱して1950年代に国際政治で大きな影響を及ぼした政治理念であった。すなわち、米ソ冷戦下のどちらの軍事ブロックにも参加しないということを信条とした。

しかし、現実の国際政治において、この政治理念を守り通すことは難しく、その後インドはチベット問題から中国との関係が悪化して中印国境紛争を引き起こし、敗北。そしてソ連からの支援を受けるようになった。この時からソ連との関係が発展したのである。一方、当時のライバルのパキスタンは米国と関係を結んでいた。

2014年5月にモディ首相が誕生すると、インドは多極外交を展開し始めるのである。その根底にあるのは長年継続していたソ連そして現在はロシアとの関係を尊重しながらも、それに捉われないこと。又インドの発展に脅威となっている中国を牽制しながら自国にとって有益な外交を展開することに方向転換している。

その主な具体化を米国との関係強化と、中国をライバルと見て外交展開をしていることに見ることができる。例えば、習主席がモディ首相に「アジア経済の二つのエンジンとして発展を指導して行く為に協力パートナとなる必要がある」と認めた書簡を送ったが、インドはアジアの繁栄に一緒に成長して行くことを拒否したとシンクタンク「katehon」が自らの論説の中で述べている。

また、モディ首相の多極外交の一端として窺えるのは、紛争の絶えない隣国パキスタンのシャリフ首相を首相就任宣誓式に招待したことである。そして、シャリフ首相はその招待を受けた。それは両国が今後も対話の姿勢を持ち続ける事の表れでもあった。

また米国との関係強化の一貫として、昨年1月にオバマ大統領がインドを訪問し、6月にはカーター国防長官が、そして、今年も8月にケリー国務長官がインドを訪問している。また、モディ首相は今年6月に米国を訪問し、オバマ大統領と7度目の首脳会談を行った。

この相互の動きから、貿易取引の拡大、民生用原子力協力、クリーンエネルギーの開発、環境保全、そして防衛技術・貿易イニシアティブ(DTTI)の合意から武器及びテクノロジーの共同開発、戦闘機と航空母艦のエンジンとデザイン開発と生産などで両国の協力が約束されたのである。更に、サイバースペースでの連携やサイバー安全と防衛そしてテロリストの撲滅への協力などでも合意が交わされた。このような米国との外交の展開はモディ首相が誕生する以前には存在しなかった(「El Pais」「Hispan TV」「La Vanguardia」)。

米国にとっても、中国を包囲するためにインドは強力な味方として期待できる。インドにとっても、米国との関係強化で、例えば、南アジア協力連合(SAARC)にオブザーバーとして参加している中国がインドの主導権を奪おうとしているのを牽制できるようになる。

また、これまでのインドのソ連からロシアという長期間続いた絆にくさびを打ち込んでロシアへの依存度を軽減することにもなる。インドはこれまでソ連そしてロシアを頼りに中国を意識して見ていた。しかし、ロシアが中国と連携関係を結んだことでインドは新たな外交を迫られたことになった。

一方のロシアは中国に大量の自然エネルギーを供給しているのと同様に、中国と並ぶ消費人口を抱えるインドにも同様に自然エネルギーの供給を期待している。ロシアはインドに年間で1000万トン或いは日毎20万バレルの原油を提供できるとアプローチしたという(「katehon」)。

この提案ができるのも、インドの兵器の7割はソ連そしてロシア製であるという両国には長い良好な関係が存在しているからである。また、インドにとっても、ロシアが主導するユーラシア経済連合の中央アジアへの接近はロシアを無視しては展開出来ないという事情も熟知している。

しかし、インドにとって相手が中国となると対抗意識が強くなり、ロシアとの関係のような友好関係は期待できない。例えば、中国はパキスタンのグアダル港の運営権を手に入れた。それは、ヨーロッパに繋がる新シルクロードから派生した中国とパキスタンの経済回廊と位置づけしたものだ。

それに対抗して、インドはイランのチャバハル港の開発に投資して、パキスタンを通過せずにアフガニスタンそして中央アジアに繋がる回廊の開発に向かっている。これまで、インドは資源が豊富な中央アジアに行くにはパキスタンを通過せねばならないという事情がある。チャバハル港への投資で、それを回避できるようになる。

またイランが中国に自然エネルギーの供給の為のパイプラインを建設しているが、それをパキスタンに繋ぐ計画にもなっている。それに対して、インドは将来チャバハル港からパキスタンを経由せず海底パイプラインでイランから自然エネルギーの輸入を計画している。

また、この港湾開発によって、イランから中央アジアそしてロシアを経由して北ヨーロッパに繋がる南北輸送回廊の建設計画に加わることが出来るようになる。それは、ヨーロッパに繋がる回廊として中国の新シルクロードに依存しなくて済むようになる。この南北輸送回廊はスエズ運河に対抗するものでもあるとも見られている。スエズ運河よりヨーロッパに向かうのに距離的に短くなるのである。

このようなインドの動きから、日本は中国を牽制する意味でインドとの関係強化がより重要となって来るのである。インドは中国との差異を調整できるのは両国が加盟しているBRICSと上海協力機構(OCS)であるということも知っている。

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