2016/10/04    12:43

金を買い進める中国とロシア

中国は今年4月に上海の自由貿易区に金取引所を開設した。世界最大の金の生産国であり、また今後も金の保有高を増やす意向が強い。金相場にも影響力を持ちたいとしている。そのためにも、世界の外人投資家にも金市場を開放した。後は、それにどれだけの自由化を持たせるかである。
 
処で、世界に存在している全ての金の量は意外に少ない。171,300トンで、それは20メートル四方の床面積に高さ6・7階建てに相当する壁面を作れば、その立方体の中に世界の全ての金が収まるのである。その僅かな量の金を世界各国は争って手に入れようとしている。何故なら、世界で最も信頼性が高く高価であるからである(「Rankia」)。

この金を求めて中国とロシアが活発な動きを見せている。何故であろうか?その理由は、世界の金融取引におけるドル支配に終止符を打つためである。そして、自国の金保有高を高めて、もともと弱い通貨である人民元とルーブルが多量に保有する金に裏打ちされてドルに代わる国際通貨として信頼性を高めることが狙いである。特に、世界のリーダー国になろうとしている中国は人民元がドルに代わる世界の基軸通貨になることを望んでいる。
 
その第一歩として、10月から人民元がIMFの特別引き出し権(SDR)の準備通貨となる。ドル、ユーロ、円、ポンドに次ぐもので、国際通貨としての仲間入りを果たすことになる。この決定には米国は表向き時期尚早として強く反対していた。しかし、世界最大の金融取引市場を持つ英国はヨーロッパにおける人民元の取引の中心市場になることを狙って、人民元のSDR取得の必要性を強く主張していた。米国と英国のこの見解の相違も長年同盟関係以上の深い絆を感じていた両国の間に溝が出来るひとつの要因となった。
 
米国はドルを金本位通貨とさせた体制を1971年に崩したあと、石油とリンクさせて「石油ドル本位制」を確立させた。特に、原油の最大生産国であるサウジアラビアと合意して、支払いは常にドルであることを義務づけた。その他の原油産出国もそれに従った。それによって、ドルへの需要は保障された。しかし、今この体制も崩れ始めている。それ以外の通貨でも原油が取引されるようになっているからである。
 
特に、ドルからの離脱を徹底して追及しているのが中国とロシアである。ロシアは昨年8月に中国向け原油の輸出ではそれまで最大の輸出国であったサウジアラビアを追い抜いた。そして、天然ガスは中国の需要の30%をロシアがこの先30年間担うことになっている。2015年のロシアからの原油と天然ガスの支払い決済の6%は人民元またはルーブルで行なわれたという。今年はその比率が13%にまで増えると予測されている。これもドル離れの具体例である(「katehon」)。

しかし、中国とロシアの連携は古いものではなく、最近からである。2011年にモスクワでG8が開催された時でさえ、プーチン氏は当時首相でヨーロッパから参加の首脳らを前にリスボンからウラジオストックまでの共同市場の構築を提案していたほどである。そこには中国との連携の可能性は存在していなかった。しかし、その後の米国主導によるウクライナへの干渉でロシアと対立が顕著になると、米国はEU加盟国を加えてロシアに制裁を課した。これが動機となって、ロシアは貿易市場をアジアに向けたのである。それが発端となって、ロシアの中国への天然ガスの大規模な輸出に結びつくのである。また、中国も新シルクロードの建設でロシアの影響力の強い中央アジア諸国との協力が必要で、そこから両国の間で貿易取引や投資が活発となった。
 
中国とロシアの連携が確立されると、アジアインフラ投資銀行(AIIB) も設立された。これを機会に、両国が協力して国際金融取引で使用される欧米支配によるSwiftコードについても、独自のコードの創設を検討しているという。Swiftコードを使っての為替取引は一日に60億ドル(6060億円)にも上ると推測されている。AIIBには57か国が創設メンバーとして参加している。そしてまだ参加を希望している国が多くあることから、新しい取引コードの創設は難しいものではない(「katehon」)。
 
またAIIBがドル離れを見せた具体例として、ミヤンマー、ラオス、ベトナム、コンボジア、タイ国に115億ドル(1兆1600億円)相当の借款を人民元にて最近提供している。これが、AIIBの第一号の人民元による借款だという。次にインドンシアにも8億1100万ドル(820億円)相当の人民元借款を提供している。インドネシアはこれまで日本人が歴代総裁を務めるアジア開発銀行(ADB)の顧客であったが、同銀行は融資には色々と国内政治にも関与するような条件を提示して来るので敬遠された。AIIBにはそのような条件は存在しないという。AIIBは欧米支配のIMFや世銀(WB)から逃れて人民元の普及を計ったものであるのは明白である。
 
また、中国とロシアは自国が所有している米国債を売って金の保有高を高める努力を続けている。例えば、昨年12月と今年1月の2か月間にドル換算にて180億ドル(1兆8000億円)相当の米国債を売却したという。ロシアは2014年2月から2016年2月まで金の保有高は1035トンから1352トンに増えた。同期間、中国は1054トンから1708トンに増やした(「katehon」)。

米国の8133トンやドイツの3381トンの金の保有高に比べればまだ低い。しかし、中国もロシアも金の生産国であることも記憶しておく必要がある。因みに、昨年の両国の金の生産量はロシア295トン、中国490トンとなっている(「el Microlector」)。
 
中国はロシアでの金の発掘にも投資をしている。現在、発掘に占める中国の参加の割合は3%くらいであるが、近い将来10-15%まで増えると予測されているという(「sputniknews」)。 
 
中国とロシアのドル離脱化を支援する意味で、上海協力機構への加盟入りが期待されているイランも自国の原油の輸出には人民元やルーブルで取引を開始している。そして、今年2月から他の国との取引にドルの決済は止めて、ユーロでの取引に応じるとした(「katehon」)。
 
ロシアと中国が基軸になって両国が影響力をもつ上海協力機構(SCO)そしてユーラシア経済連合の加盟参加国を主体にドルからの離脱を計っている。しかし、問題はその中心に位置する中国の経済がどこまで健全であるのか不明であることである。中国経済がいつ破綻してもおかしくないと言われるようになっている現今である。ドルに代わるほどに人民元が信頼性をもつのはまだほど遠いように思える。

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