2016/09/22    13:00

中国がシリア内戦に直接介入することが濃厚になっている

中国人民解放軍海軍の空母「遼寧」。


シリア紛争でアサド政権を支えているイランとロシアに中国が加わる可能性が出て来ている。中国がシリア紛争に直接介入することが濃厚になっているというのだ。

シルクロードを建設する中国にとって、シリアの都市パルミラやダマスカスはその中継地となる。シリア紛争の早急なる解決はシルクロード建設には必要である。また、中国政府にとって国内でイスラム族による独立運動が過激化するのも警戒している。その対象にされているのがウイグル族である。この民族から数百人がイスラム国で戦っているという。彼らが中国に戻ってテロ活動を開始するのを阻止すべく、彼らを撲滅させるのも中国のシリア紛争介入の目的のひとつでもあるという。
 
8月に入って中国軍の国際協力部のトップのGuan Yufei提督がシリアを訪問している。その目的はシリア軍の医療部門のスタッフの教育指導を約束したことであったとしている。しかし、その協力は既に4年前から軍医の半数が中国で教育を受けていることで実施されている。同提督が今回の訪問の成果として発表したことは氷山の一角に過ぎないと、中東政治アナリストのティアリー・メイサン氏が指摘している。武力介入をする前の似たようなケースとして、2012年にロシアはシリアに協力を約束してから、その3年半後に具体的に武力介入を始めたことを挙げた(「Voltaiernet」)。
 
中国のシリア内戦への直接介入を容易にさせているのは、中国がロシアと準同盟関係にあるからである。そもそも、その関係を結ばせたのは米国である。米国がウクライナを自国の勢力圏に加えようとしてEUに協力させてウクライナでオレンジ革命を遂行。それを阻止しようとするロシアに対して欧米は経済的制裁を課した。その結果、ロシアはヨーロッパとの経済発展を諦めて、アジアに視線を向けた。それが中国との相互の経済協力に結びついた。ロシアと中国を連携させてはいけないということは米国外交の鉄則であった。それをさせたのはオバマ外交の失策である。
 
昨年9月には中国の航空母艦「遼寧CV16」がシリアのロシア軍港タルトゥース港に一時停泊した。ロシアと中国の連携の現れであった。
 
米国はシリアでアサド政権の打倒を目指していたが、武力介入すると脅しておきながら、武力介入をせずにアサド政権と戦う為に反政府武装組織を送り込んだ。それには米国に忠実だったサウジアラビアなどアラブ諸国を落胆させる結果となった。しかも、反武装組織の間でもアサド政権と戦う以前に武装組織同士の戦いも生まれた。
 
イランはイラク、シリア、レバノンと結んでペルシャ新帝国とでも呼べるようなイラン勢力圏を構築することを目指している。その意味で、アサド政権の支援を続けねばならない。イランのその分子であるヒズボラを通してアサド政権の支援を積極的に進めた。その後、イラン革命防衛隊もシリアに武力介入した。
 
結局、5年近く続く内戦は終止符を打つ可能性から益々遠のく結果となった。それがロシアを武力介入させる道を作った。ロシアはソ連の時代からシリアとは軍事同盟を結んでいる国である。しかも、ロシアは地中海に面した軍港として唯一、シリアのタルトゥース港をもち、それを手放すことは絶対に許されないことである。
 
ロシアの武力介入によって、シリアのアサド政権を支えるロシアとイランは協力関係を強めた。そして、中東に関心を強めている中国は、イランとは制裁下にある時から積極的に原油の輸入を行って信頼関係を築いていた。そして、中国とは準同盟関係にあるロシアもシリア内戦に直接介入している。中国に取って、シリア内戦に参入する為の下地は揃っているのである。
 
しかも、それは間接的にサウジラビアの反武装勢力への支援を抑制させる効果もあることから、ロシアとイランは中国の参入を歓迎している。原油価格の減少で財政難にあるサウジアラビアにとって、中国は原油の輸出で非常に重要な顧客である。サウジアラビアが反政府武装勢力への支援を続ければ、中国はサウジアラビアからの原油の輸入を減らすことが可能であると迫ることができる。減少させた分をイランからの輸入に切り替えることが可能であるからである。サウジラビアはそれを承知している。
 
最終的に意味することは、シリア内戦における米国の孤立である。しかも、トルコがシリアに直接武力介入を始めて、米国が支援するクルド武装組織とも対峙するようになっている。片や、ロシア、イランそして中国の連合は今後もアサド政権の支援を続けることになる。

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