2015/09/11    08:00

パレードの陰で、アラスカ沖に船を出した中国海軍 その狙いは?

盛大に開催された、北京での軍事パレードとは対照的に、中国海軍の船がベーリング海で初めて確認されたことについては、あまり関心をもって報じられていない。
 
米国防総省は2日、中国海軍の艦船5隻がアラスカ沖を航行しているのを、初めて確認したと発表した。艦船は国際法を順守して航行しており、問題はなかったというが、米ウォールストリート・ジャーナル紙は、船がアメリカの領海に侵入する場面もあったようだと伝えている。
 
興味深いのは、この艦船がアメリカ沖に現れたタイミングだろう。オバマ米大統領は2日までの3日間、アラスカ州に滞在しており、北極海についての国際会議に出席し、地球温暖化について訴えていた。3日に軍事パレードを開いた中国は、習近平・国家主席が今月、アメリカを公式訪問する予定になっている。
 
ハーバード大学のノア・フェルドマン教授は、アラスカ沖に艦船を出した中国の狙いを、次のように分析している。

米海軍は北極海で目立ったプレゼンスではなく、沿岸警備隊もそれほどの規模を示していない。
 
今月のワシントンへの公式訪問を前にして、習は、アメリカが権利をはっきりと主張していない場所や時を狙って、中国は国益を積極的に追及するというシグナルを、オバマに送ったに違いない。習は、中国はアメリカの領海を侵してはいないと言うことができるので、オバマにとっては5隻の船団についての問題を持ち出すことは難しいだろう。
(Noah Feldman “What's Going on With China's Military?” Bloomberg View 2015/09/06)

フェルドマン教授はまた、オバマ大統領が中国に対する「封じ込め」という言葉を使うことさえ避けて、どっちつかずの対応を取ってきたと批判。「封じ込めにはリスクが伴う。しかし、封じ込めしないことによるリスクの方が大きい」と論じ、中国に対する圧力を強めるべきだという立場を示している。
 
米中関係をめぐっては、米政府の連邦人事管理局が中国からのサイバー攻撃を受けて、2000万人以上の個人情報が流出する問題が起きている。また、中国による南シナ海での挑発行為などもあって、共和党の大統領候補の中には、習氏の公式訪問を見直すべきだという声すら出ている。こうした中で、オバマ大統領が習氏にきちんとした姿勢で対応できるかが問われている。ここで、例えば「地球温暖化でさらに協力を加速できた」などとお茶を濁すようであっては、「アジア回帰」の看板倒れに拍車がかかることだろう。
 
今回の中国の軍事パレードについて、日本のメディアでは、中国が同時に30万人の兵員削減を発表したという話題を見出しに立てて、大きく扱う向きも一部に見られた。しかし、増強した海軍力を、近隣の西太平洋のみならず北極海にまで、中国が展開しようという野心を持っていることは明らかであり、習氏がいくら「平和発展の道」と述べても、それをそのまま信用できる余地は限りなくゼロに近い。

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