2016/08/20    13:10

【習慣新書】『中国4.0』(文春新書)


『中国4.0』
エドワード・ルトワック・著
文春新書
本体780円+税


中国という困った隣人は一体何を考えて行動しているのだろう。それを分析した元シンクタンク上級顧問の書である。

ルトワック氏によると20世紀末から21世紀初頭にかけて、中国は世界の市場に平和的な形で参入した。氏はこの戦略を「中国1.0」(チュウゴクではなくチャイナと読みます)と呼ぶ。そして、それは極めて優れた戦略であり成功するかに見えた。

ところが、2009年にリーマンショックが起き、西側諸国のダメージを見てとった中国は、対外強硬路線に国家戦略を切り替える(これが「中国2.0」だ)。その直接的理由はゴールドマンサックスが予想した「今後(2009年)10年で中国の経済規模は米国を抜く」という予測だった。

ゴールドマンサックスはつまるところ営業マンであり、彼らの予測は投資商品を売るための予測に過ぎない。手慣れた投資家なら話半分に聞くところを初心な中国共産党指導者は真に受けてしまった。そして、あと10年で超大国になるなら超大国にふさわしい振る舞いをしなければならないと考え、彼らの伝統的思考=中華思想に基づいて対外強硬路線に変更したのである。

だが、中国の豹変により、それまで中国に友好的だった国々も態度を硬化させていく。今や太平洋は反中同盟で覆われている(チャイナマネーによってふらつく同盟国はあるが)。そこで、最近になった(2014年後半以降か?)中国は全方位を敵に回すのではなく、戦う姿勢を見せるところとは衝突をさけ、大人しくしている国に対してだけ侵略的に振る舞うという選択的攻撃戦略に切り替えた。筆者はそれを「中国3.0」と呼ぶ。

だが、それでも中国の苦境は変わらないだろう。中国が安定的に発展したいのならば、とりあえず南シナ海への進出を諦め、次の国家戦略「中国4.0」へバージョンアップすべきと著者は主張する。

ちなみに本書執筆段階=今年2月では、筆者には日本は戦う国の側に見えたそうだ。軍艦が領海に入っても何もしない現在の日本を見てルトワック氏は同じ評価を与えるだろうか。いずれにしても、現在、中国は「中国3.0」という選択的攻撃のスタンスを取っている。氏の見立てが正しければ、強硬姿勢こそが日本の平和に繋がるという帰結になるだろう。
 

※筆者のブログより転載しました。

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