2016/11/09    16:42

トランプ氏が米大統領に当選――問われるマスコミのあり方

現地時間の8日に投開票が行われたアメリカ大統領選は、事前の世論調査の結果を覆し、共和党のドナルド・トランプ氏が当選した。トランプ氏はフロリダ州など勝敗を決するとされる激戦州で勝利し、劣勢をひっくり返した。ニューヨーク・タイムズ紙など複数の米メディアが報じた。
 
不動産業で成功し、人気テレビ番組の司会を務めたことでも注目されたトランプ氏は、政治経験を持たない「アウトサイダー」として選挙戦に登場。メキシコとの国境に壁をつくるといった厳密な移民制限を打ち出し、不法移民を「レイプ魔」と呼ぶなど過激な発言が取りざたされたが、白人有権者などの支持を集めて、共和党の公認候補争いを突破。
 
本選挙では、退役軍人や女性についての発言で批判を浴び、一時は支持率を落としたものの、民主党のクリントン候補が国務長官時代に私用サーバーで電子メールをやり取りした問題が再燃したこともあって、最終盤に盛り返した。
 
クリントン氏は世論調査でリードしていたこともあって、一時は大統領選と同時に行われる上院選に加勢するなど余裕を見せていたが、結果的に敗北を喫してしまった。同氏には、クリントン財団への献金問題や、電子メール問題などで、「信用できない」「嘘つき」といった印象が付きまとい、選挙戦でそれを払しょくすることはできなかった。
 
今回の選挙戦は、新聞やテレビがトランプ氏の「暴言」を大々的に報じて批判を浴びせ、全米の新聞の95%がクリントン氏への支持を表明するなど、マスコミは圧倒的にクリントン氏を推した。しかし、実際の選挙では、全米の有権者の半数がトランプ氏に票を投じ、実際に勝利したのはトランプ氏だった。国民の半数が支持する候補を、マスコミが大挙して袋叩きにしたということである。
 
問われるのは、民主主義の旗手であり守り手であるはずのマスコミが、誰を代表しているのかということだろう。イギリスがEU離脱を決めた6月の国民投票の後、主要メディアでは有権者の無知を嘆くような論評が相次いだ。今回のトランプ氏の大統領当選についても、同様の議論が盛り上がることが予想される。しかし、メディアが国民の無知や無教養を嘆けば嘆くほど、むしろ浮き彫りになるのは、彼らの傲慢さの方である。今回の大統領選挙は鮮やかに、マスコミと民意のかい離を暴き出してしまった。
 
日本にとっては、トランプ氏の大統領当選によって、安倍晋三首相の真価が問われることになる。首相官邸はクリントン氏の勝利を期待していた節があり、安倍首相は9月の国連総会に出席した時に、クリントン氏と会談している。日米同盟の見直しを主張するトランプ氏をけん制する意図があったのだろうが、トランプ氏が不快に思ったとしても不思議ではない。トランプ政権との関係をいかに構築するのかが、安倍外交の大きな課題となる。トランプ氏が反対するTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の行方も焦点だ。
 
一方で、トランプ大統領の誕生は、日本の国防体制の強化にとってプラスに働く可能性もある。トランプ氏は日米同盟の見直しを示唆し、日本の核保有を容認する発言まで行っている。憲法9条があることで、アメリカ依存の国防政策を取ってきた日本にとっては、自分の国を自分で守るための体制づくりを進める必要性に、これまで以上に迫られることになる。
 
また、トランプ氏はロシアのプーチン大統領を称賛する発言を繰り返している。日本がロシアとの関係強化を進めるためには、経済制裁を主導するアメリカの顔色をうかがう必要があった。しかし、トランプ氏の当選によって、こうした力学も変化する。北方領土問題の解決を見据えて、ロシアとの交渉を進めたい安倍首相にとっては、追い風になるだろう。
 
トランプ氏は『交渉の美学』を自伝のタイトルにするほど、自身のビジネス感覚と交渉力を売りにしている。選挙戦で繰り広げた主張をどこまで現実路線に修正していくのかも未知数だ。日本にとって問われるのは、安倍首相の交渉力である。安倍政権が東京オリンピックを見据えて長期政権を目指すうえで、最大の鍵を握るのは、トランプ政権との付き合い方かもしれない。

TOP NEWS

解明されてきた真相

2017/08/30  12:24

どうしてバルセロナでテロが発生したのか。

今そこに危機があるのに

2017/08/25  08:00

地球外からの攻撃に人類は一致団結できるか

Appleより優秀な人材が集結?

2017/05/16  14:05

電気自動車の先端を行くテスラモーターズ

早急に業務時間改善と意識改革を

2017/05/31  14:05

教員は子供の成長に寄与することが本来の仕事

ACCESS RANKING

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

3

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

8

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

9

次世代の党、杉田水脈議員の国会質問が素晴らし

専業主婦は怠け者なのか?

10

赤本はあるけど、予備校には通えない

”目標”を突破せよ!・・・防大受験最前線

1

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

6

指揮官である首相の参拝は中曽根首相以降、朝日

靖国神社に参拝する防大生

8

補償金3億ドルを無償で韓国に渡した1965年

軍人遺族らが韓国政府をついに提訴!!「日本の補償金返して」

9

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

10

次世代の党、杉田水脈議員の国会質問が素晴らし

専業主婦は怠け者なのか?