2016/10/31    13:16

ユーロ通貨は終焉に向かっている

2012年にメルケル首相が発言している「2速度の欧州」というプランがある。中欧及び北欧と南欧では経済構造が異なり、発展の仕方も違う。それを二分割した経済ブロックにしようというプランである。特に、それがユーロ通貨と絡ませると、この問題が歴然とするのである。その中でも目立って問題になる国はギリシャとポルトガルである。この2か国がユーロ圏から離脱するのは確実であるとされている。
 
この2か国を合わせてもユーロ圏GDP比において、わずかに4~5%の比率でしかない。問題は、英国を除いたEUのGDPで3位に位置するイタリアがユーロ圏から離脱する可能性が高いのである。イタリアがユーロ圏から離脱すれば、ユーロ通貨自体の存続は困難となるのは確実である。
 
2001年にノーベル経済学賞を授与されたジョセフ・スティグリッツ教授がつい最近ドイツ紙「ディ・ヴェルト(Die Welt)」のインタビューで、ヨーロッパの経済の停滞がユーロ通貨とドイツに責任がある、とした上で、「数年内に、イタリアと数か国がEUから離脱するであろう」と述べた(「Hispan TV」)。
 
同教授は以前、ドイツがユーロから離脱すべきだという見解を披露したことがあるが、「イタリアの人たちはユーロ通貨に益々失望しており、同通貨がイタリアでは機能しないことに気づいている」と、同インタビューの中で語ったのである。更に、ギリシャがユーロから離脱することをドイツは既に承知しており、同様にドイツはポルトガルにも共同通貨の使用を止めるように助言していることも肯定しているという(「Hispan TV」)。
 
スティグリッツ教授がこのような発言をしているのも、根本的な問題はドイツ主導の緊縮策とユーロ加盟国の間で団結して問題に取り組む姿勢に欠けていることを指摘している。そして、この問題の解決方法として挙げているのが、ユーロ通貨を二つのブロック、北と南に分けて異なった通貨を流通させることであるとしている。すなわち、ユーロ通貨の解体である(「Hispan TV」)。

現在、イタリアでEU及びユーロ懐疑派が57.5%もいる、という。これは他のユーロ圏の中でも断突である。イタリアの経済の低迷は長く続いており、銀行危機はギリシャより深刻であると指摘したのはギリシャのバルファキス前財務相である(「el Microlector」)。
 
また、ユーロからの離脱が余儀なくさせられる、ギリシャでのユーロ懐疑派は25.2%、ポルトガルは9.8%だという。また、イタリアと同じくユーロから離脱を強く望んでいるとされているデンマークは28.1%、スウェーデン27.2%と懐疑派が占めている。すなわち、スティグリッツ教授が指摘している北と南のブロックにおいて、北のブロックの国でもユーロへの不信からの離脱を望んでいる国があるのである。
 
まだ騒がれてはいないが、EU及びユーロ懐疑派が多い国としてオーストリアの33.2%、フランス32.5%、オランダ23.4%、スペイン23.4%という順になっている(「Libre Mercado」)。

EUから離脱か否かの国民投票を仮に実施した場合に、離脱賛成の一番高い国はイタリアで、ほぼ50%に近い国民が離脱に賛成を示しているという。次に、フランスが40%を少々超え、スウェーデンが40%にわずかに満たない数になっている。いずれにしても、仮にイタリアがユーロからの離脱を決めれば、ドミノ現象が起きてユーロ離脱に傾く国が増えることは間違いない。
 
そもそも、どの国もユーロ加盟を決めたのは、それが国の経済発展に貢献すると判断したからである。しかし、南欧の加盟国の間ではユーロ加盟が逆に経済の後退を生む現象を生んでいる。しかも、加盟国の結束を促す「ヨーロッパ合衆国」を建国するような意識はそれぞれ加盟国の国民の間では皆無であると言っても過言ではない。
 
むしろ、デンマーク、スウェーデン、オランダなどはユーロ圏で経済力の弱い国に資金援助をすることを回避するためにユーロ圏からの離脱を望んでいるほどだ。例えば、ギリシャに支援金を供給しても、ギリシャの経済回復は期待できず、債権資金の回収は不可能になると判断しているのである。
 
投機家のジョージ・ソロスが指摘しているのは、ユーロ圏の加盟国の間で債権国と債務国に二分してしまうことは危険である、としている。それは、最終的に債務国が債権国の足を引っ張って、全域が危機に陥る危険性があるということなのである(「El Pais」)。
 
生活レベルの全く異なる国同士がひとつの共同通貨を流通させ、共通の金融財政政策を適用させるということ自体に問題があるというのは経済の素人でも容易に理解できる。それを現在のユーロ圏では実施しているのである。
 
同様にソロス氏が指摘しているのは、英国のEUからの離脱はEU解体の始まりである、としている(「El Economista」)。
 
英国のEU離脱支持派は、EUから離脱してEU法に左右されずに英国の国家の主権を取り戻す、としている。その背後で英国のEU離脱派がフランスやオランダのEU離脱派を鼓舞し、EUの解体を企んでいると指摘しているのは、2015年まで自由民主党党首で、キャメロン政権の副首相を務めたニック・クレッグ氏である。
 
EU解体の前に、まずユーロ通貨がその終焉に向かっているということである。筆者は日々ユーロ通貨を使用しているひとりだが、ユーロ通貨を導入したことに賛成する意見を聞いたことは一度もない。むしろ、導入しない方が良かったと後悔する意見は頻繁に聞く。

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