2016/12/28    12:24

​今のヨーロッパは1930年代の金融危機が起きる直前にとてもよく似ている

ユーロ通貨の寿命はあと5年以内と予測している人物がいる。英国の資金管理専門会社バーンブラエ・グループのメロン会長だ。
 
彼は英国がEU離脱を決定することを予測した数少ない人物のひとりであるが、つい最近同氏はユーロ崩壊が間近に迫っていることに触れて「現行の形でのユーロは不適切なメカニズムにある。1年から5年の寿命だと考える」と述べたことは日本でも一部紙面で報道された(「Hispan TV」)。
 
同氏が指摘しているユーロの不適切なメカニズムというのは、例えば、経済レベルの異なっている国同士がひとつの通貨で国の財政・金融を賄って行くという無謀さだ。しかし、その経済政策の舵取りがブルッセルのEU本部でなされているという滑稽さである。
 
ユーロ加盟国はそれぞれ国家予算をブルッセルのEU本部に提出して承認を得なければならなくなっている。そして、ドイツ主導の緊縮策の実行が優先されているために、国によっては本来は景気刺激策が必要なのに緊縮策を実行せねばならないという矛盾である。
 
病人には栄養ある食べ物を食べさせねばならないのに、逆に徹底した粗食を勧めているようなものである。この馬鹿げたように思えることがユーロ圏では実際に行われているのである。
 
その修正策として米国のスティグリッツ教授が、ユーロ圏を経済レベルで大きく二つのブロックに分けて、それぞれのグループが異なった単位の通貨を流通させることを提案している。
 
北はドイツを軸にしたブロック。南はイタリアを軸にしたブロックである。特に、イタリアは現状のユーロ体制が続くのであれば、近い将来ユーロから離脱するのは確実である。何故なら、ユーロ懐疑者の一番多い国がイタリアで、それが過半数を既に超えて60%近くにまで至っているからである。
 
しかも、イタリアの銀行危機はギリシャよりも深刻だと想像されている。現状の緊縮策を基本にしたドイツ主導の政策ではイタリアの銀行危機はさらに深刻になっていくのは目に見えている。スティグリッツ教授は現状のままのユーロであれば、その寿命は10年以内と予測している。
 
メロン氏そしてスティグリッツ教授が指摘しているユーロ危機が生まれた根底にあるのはユーロという共同通貨を流通させたことである。その目的はドルに対抗できる通貨を生み出すことであった。
 
その導入が比較的容易であったのは、歴史的にヨーロッパの特に政治家の間の理想として「ヨーロッパ合衆国の建設」というのが存在していたからであった。だから、共同通貨の創設そして実施も比較的抵抗なく進めることが出来た。これは正にグローバル化の具体例であった。
 
そのグローバル化について最近になって市民の間で反対する動きが活発になっている。グローバル化が進めば進むほどその弊害が中流下層階級に及ぼすからである。そして体制派に属する富裕層や権力に癒着している企業は逆に益々豊かになって行った。
 
今回、トランプ氏を勝利に導いた原動力のひとつは学歴も乏しい労働者層であった。グローバル化で被害を被っている中流下層の有権者が彼に票を入れたのだ。
 
まさに、トランプ氏はグローバル化を潰す権家となったのである。企業が安価な労働力を求めてメキシコに工場を移転させようとした米国の空調大手キャリアの一部工場をメキシコに移転させる計画をストップさせたのであった。それには、勿論、経営者側に有利な条件をトランプ次期大統領は約束したはずである。この移転阻止によって、およそ1400人の従業員が解雇から免れることが出来たのであった。まさに、反グローバル化である。
 
反グローバルを掲げるトランプ氏の勝利はヨーロッパにすぐに影響した。特に、それがヨーロッパの極右政党を刺激することに結びついた。イタリア、オランダ、フランスでは極右政党がユーロ圏から離脱するための国民投票の実施を強く訴え始めたのである。
 
しかも。現在のヨーロッパは銀行危機に加え、各国の負債は増加の一途を辿っており、失業率も上昇している。その上、大半の国がGDPで1-2%の成長で、これは国家の現状を支えるのに最低限必要な成長率であり、国の実質経済成長には繋がらない。
 
それに加えて、ポピュリズムが台頭し、ナショナリズムを助長している。それに輪をかけるように難民の大量流入によって市民生活が脅威にさらされているのである。
 
このような現象をヨーロッパは歴史的に経験している。それは1930年代のヨーロッパである。この後、ヨーロッパは金融危機に陥り、ナショナリズムがそれに追い打ちをかけてヒットラーという「産物」を生んだのである。
 
当時の日本はデフレ経済の救出のために、歳出を国債で賄い、それを日銀におんぶさせた。その一方で軍事費は次第に増大して行った。国債も歯止めなく増大。戦後に待っていたものはハイパーインフレであった。そして国債は紙切れ同然になった。今のアベノミクスの行く末を見ているようである。

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