2016/09/09    12:08

新パナマ運河、出だし1カ月の活況――LNG船の輸送コスト減で日本にもプラス

パナマ運河の様子。閘門を閉め、閘室の水位を変えることで、高低差のある場所の間の船舶の航行を可能にする。


6月26日にパナマ運河の拡張工事の完成を祝う式典が開かれた。2009年からほぼ7年の歳月をかけて完成。40カ国から10000人がこの拡張工事に携わったという(「El Pais」)。この式典日の最初に通航したのは9400本のコンテナーを積んだ中国コスコグループの船であった。
 
完成から1カ月の間に55隻の船舶が通過し、通航料の売上は2000万ドル(20億4000万円)〉が運河庁に計上されたという。通航料で最初に最高金額を支払ったのは商船三井の船MOL Benefactorで829,468ドル(8460万円)であった。しかし、その丁度1週間後の7月8日には香港商船旗MOL Beyondが、10218本のコンテナーを積んで通航料として837,203ドル(8540万円)を支払い〉、商船三井の記録は破られた(「La Vanguardia」)。
 
運河庁は平均して1隻の通航料は50万ドル(5100万円)と見ており、一日に38隻の通航を近い将来計画しているという(「americaeconomia」)。現在、コンテナー船とLNGタンカー船とで170隻の通航の予約があるが、この先2-3か月は一日2隻を通航させるだけの予定だという(「eldiario」)。

その理由は従業員に新しい作業内容に慣れてもらうという意味もある。運河は、閘室の水位を変えることで船を上下させ、水位の違う場所で船の航行を可能にする。これまでの通航路では両端から牽引車によって船を引っぱる作業を行っていた。しかし拡張された通航路では、船をタグボートで引っぱるという方法へと変化している。しかし大型船では、各閘室の中で、閘門までの距離に十分な余裕がない。それは船幅と閘室の側面壁との間も同様に狭い。そのため、タグボートを操作するチームは慎重な運転と技術が必要であり、慣れる必要がある。

世界の海上物資の通航量の6%を担うパナマ運河の拡張の完成は、例えば、日本には大きな変化をもたらすことになる。液化天然ガス(LNG)のタンカーが通航可能になるからだ。

日本はこれまでLNGはオーストラリア、マレーシア、カタール、アラブ首長国連邦などから輸入して来た。しかし、今後は価格的にも競争力のあるアメリカ東部のシェール天然ガスの輸入を予定している。従来、この輸入が足踏みされていたのはパナマ運河を通航できないという理由からであった。その代案は大西洋から地中海を経由してスエズ運河を通航しての輸入であった。その場合には航海日数は37-40日となり、パナマ運河経由だと25日。比較して2週間程度の航海日数の差が生まれ、それは輸送コストに影響する。

しかも、アラブ諸国からの輸入は政情の安定と航海上の安全性が危惧されていた。それがアメリア東部からの輸入にはその不安は一切存在しないし、輸入コストも大幅に削減されると見ている。またコンテナー船についても輸送経費の節約から現在大型船が世界で主流になっているが、パナマ運河の拡張で13500TEU(20FTコンテナー13500本)までの大型コンテナー船が通航可能になった。

人口350万人のパナマ共和国にとって、運河からの収入は同国GDPの6%を担っている。この運河拡張で歳入は大幅な増加が期待されている。13100人が働いている運河を更に発展させる為に太平洋と大西洋の港の設備などインフラも更に充実させて行く予定になっている(「okdiario」)。
 
パナマ政府は、拡張工事には歴史的に繋がりの深いスペインの企業に依頼するというのが当初からの願望であったという。公開入札から落札したサシールグループ(Sacyr)は予想以上の難工事で工事の後半にはこのプロジェクトから利益をあげるのは難しいという結論に至っていたという。その見返りに運河の第4の橋やパナマ市内の地下鉄の拡張工事の受注が出来れば良いという考えでいたようだ。サシール社はスペインの建設業界の大手3社のひとつで世界トップ20社のひとつでもある。

この入札にはスペインから大手他社も参加した。しかし、サシールの一番の強敵は、三菱商事と大成建設を連れた米国のバクテル(Bachtel)であったという。ウイキリークスが当時の在パナマ米国大使があらゆるコネクションを使ってバクテル社の受注に動いていたのが明白になっている。最終的にサシールが受注した理由は高い技術力に比べ見積もった価格が一番安価であったという理由からである。結局、この安価での見積もりが後に損失を生む要因ともなった(「libremercado」)。
 
「スペインブランド」の調査委員会の高官カルロス・デ・ロス・モンテロス氏は、サシール社は、運河庁と建設費用の差額の負担についてサシールグループは示談中であると述べた。しかし、その反応は今のところ良くない。多額の損失が補填されない可能性がが強い。しかし、サシールが今回の拡張工事で披露した能力と技術力に関しての「スペインブランド」へのイメージダウンはまったくない〉と同氏は述べた。損失額の一部だけは運河庁が既に支払う約束をしている。

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