2017/04/30    16:33

ブラジル元大統領、逮捕まで秒読みか

ブラジルそしてラテンアメリカの政治指導者を巻き込み、ラテンアメリカ全域に波紋のごとく広がった汚職事件「ラヴァ・ジャット(Lava Jato)」の真相が少しづつ明らかになっている。

世界20カ国に進出し、15万人の従業員を抱えるマンモス建設企業オデブレヒト社がブラジルを始めラテンアメリカの政治指導者、政治家そして官僚らに裏金をばら撒いていたのが震源地である。

その真相解明に協力しているのが、なんと、オデブレヒト社の三代目社長だったマルセロ・オデブレヒトである。彼はこの汚職金の分配の指揮を取っていた人物だったことから、彼以上にこの事件の全貌を知っている人物は他にいない。

彼は2015年6月に逮捕され、19年4カ月の実刑判決を受けた。そして今、10年刑を減刑してもらえるというのを条件に、この汚職事件を担当しているセルジオ・モロ判事の真相解明に協力しているのである。

この汚職事件の一番のカギを握っているのが2003年から2011年まで8年間、ブラジルの大統領を務めたルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ(通称:ルラ)である。何故なら、この汚職が始まったのはルラが大統領に就任した2003年から1年後の2004年からで、彼が率いる政府与党の労働者党(PT)とブラジル石油公社ペトロブラスの癒着がその発端であった。ペトロブラスのプロジェクトを全てオデブレヒト社が請負い、その入札価格を水増しして、その水増し分が受注に協力した政治家や官僚に謝礼として配られていたということなのである。更に、与党労働者党の幹部も恩恵を受けていた。

ブラジル市民の注目を集めているのはブラジルの経済発展の父と称されたルラ元大統領がどこまでこの事件に関与していたかということなのである。何しろ、彼の存在無くしてブラジルの2000年代の高度成長はあり得なかったからである。特に、貧困層の生活向上を目指した政策は、彼らから絶対的な支持を受けていた。ルラも貧困層出身で、誇れる学歴はない。労働組合で活躍し、組合委員長になった後、有識者らと一緒になって1980年に労働者党を創設した。そして、大統領戦に1994年、1998年と挑戦し敗退。しかし、3度目の正直とはよく言ったもので、2002年の選挙で勝利し、2003年から2011年まで大統領を務めた。

ルラは社会主義者であるが、隣国ベネズエラのチャベス前大統領と異なり、経済面ではマクロ経済を展開して企業の利潤追求を理解した。但し、彼は労働者の出身ということで、企業における労働者の雇用を保護するために、従業員の解雇という面では労働基準法で経営者にとって色々と厳しい条件がつけられた。

また、社会政策面ではボルサ・デ・ファミリアという貧困層を対象にした生活保護を実施した。この政策はディルマ・ルセフが大統領になり、経済が後退した時でさえもいぜんとして続けられた。何しろ、貧困層の多いブラジルにとって、この生活保護が労働者党への支持を堅実なものにする基盤なのである。

一部政治家や労働者党幹部らは既に逮捕されているが、ルラは5月3日に予定されている連邦地裁のセルジオ・モロ判事による質問に答えることになっている。同判事はその為に、実刑の軽減を条件にマルセロ・オデブレヒトからの供述を証拠資料の一部として準備しているのである。

3月にルセフ前大統領がルラに電話を入れて、彼が不逮捕特権を利用できるように首相のポストを用意しているというのをほのめかした二人の会話の内容が、メディアで公開されたが、それを許可したのがモロ判事であった。

モロ判事と同様に、ルラがこの汚職金を受け取っていたということを確信しているマルセロ・オデブレヒトの父親でオデブレヒト社の二代目エミリオ・オデブレヒトは「私の息子が刑務所に入るのなら、私の息子の独房と一緒にルラとディルマの2つの独房も用意せねばならない」と語ったほどだという。ディルマとはルセフ前大統領のことである(elmundo.es)。

4月13日、マルセロ・オデブレヒトはモロ判事の質問に答えて、ルラ元大統領が大統領の任期を終えた後、彼の老後生活の為に「4000万レアル(12億3000万円)の口座を用意した」と供述した。そして、ルラはもう大統領ではないが、労働者党内で影響力を依然持っており、この額を決めた時は、ディルマ・ルセフはまだ大統領だった時で、しかも、ルラは彼女のゴッド・ファーザーという位置にあったからであると説明して、この金額がルラのポジションに相応しい金額であるとした。この口座の呼び名は「Amigo」と付けられたという(infobae.com)。

ルラがその資金から現金が必要な時は、ルラ政権時の財務相だったアントニオ・パロツィーがマルセロ・オデブレヒトに「Amigoがお金が必要だ」言っていたという。それでマルセロは、それはルラのことだと理解して、その資金を用意し、それを差し引いた分を残金としたと述べた。ただし、ルラが直接マルセロにお金を求めることは全くなかったという。用意した上述4000万レアルの内で、2012年から2013年に支払った額は1300万レアル(4億5500万円)になるとマルセロはモロ判事に供述した(infobae.com)(EL POLITICO)。

また、マルセロは2010年のディルマ・ルセフが大統領戦に立候補した時の選挙資金として5000万レアル(17億5000万円)を用意したことも認めた(infobae.com)。

同様に、ルラが信頼している二人の人物を通して1億2800万レアル(44億8000万円)が渡されたとマルセロは供述しているが、それは労働者党に流れていると見られている(mundo.sputniknews.com)。

4月15日には、マルセロがブラジルではこれまで大統領選挙の選挙資金の75%は未公開の裏金が使われていたと供述した。さらに、ブラジルの選挙の4分の3は全て裏資金を使っていると述べ、裏金を使うことによってそれは他の候補者が資金を求めて来ないようにする為の手段でもあったと指摘した(hispantv.com)。

その容疑の調査対象には12人の州知事と1985年から昨年までの5人の大統領の選挙資金で、それが裏金によって賄われたとことになるということの解明である(hispantv.com)。

この事件には不審な出来事も起きている。今年1月19日に、この汚職事件の公判を担当することになっていたテオリ・ザバスキ判事を乗せた小型飛行機が墜落し、彼が死亡するという事件があったことである。不逮捕特権を有する現職議員らを裁くことが出来るのは唯一最高裁である。ザバスキ判事の死によって、最高裁での公判に遅れが生じることは必至である。しかし、3月には下院と上院の議員そしてテメル大統領の閣僚5人を含め83人が容疑対象になり最高裁で調査が進められることになった。

テメル大統領もこの汚職事件に関与していたことはいずれ表面化する。恐らく、今年いっぱいは、テメル大統領に政権を持たせ、来年予定されている大統領選挙の日程が早まる可能性が十分にある。

年内にテメル大統領まで容疑の対象にすると、低迷しているブラジル経済が更なる政治不信によって政治が尚更混迷するようになるからである。

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