2016/09/04    13:10

コロンビア革命軍FARCとベネズエラ政権の麻薬密売での協力関係

反政府武装組織コロンビア革命軍(FARC「Fuerzas Armadas Revolucionaria de Colombia」)とサントス大統領が主導するコロンビア政府との和平交渉は4年の交渉の末に8月25日に遂に合意に至った。

この交渉は、コロンビアで半世紀続いている。この半世紀の間、コロンビアの国民は武装組織や麻薬組織による殺人、誘拐、ゆすりなど、あらゆる暴力行為の脅威に晒されていた。この半世紀の間に、22万人が暗殺され、45000人が行方不明、例えば、2000年には3572人が誘拐されたという(「El Pais」)。すなわち、一日に10人近くが誘拐されていた計算になる。これは関係当局に記録されている数字で、実際はこの数字を上回る誘拐が行われていたという。

その後、コロンビア政府軍も米国からの支援も手伝って強力となり、FARCと戦闘を繰り返して行き幹部が次第に殺害されていった。それによって、FARCは組織も弱体化して行き、半世紀の戦いによる疲弊から、2012年からコロンビア政府との和平交渉に本格的に応じるようになった。それが、今回の合意に結び付いた訳である。

このFARCがベネズエラのチャベス前政権時から双方が協力して、FARCが生産している麻薬がベネズエラ経由で密輸されていた事実の経緯を以下に言及することにしよう。この麻薬売買で得た資金が組織の維持費になり、またチャベス前政権そして現在のマドゥロ政権とこの密売によって富を得ているのである。

そもそもFARCがベネズエラ政府の特に国家防衛軍と協力していたことが発覚したのはある偶然の出来事からであった。それは2008年にコロンビア政府軍が隣国のエクアドルに越境してFARCの副司令官で戦略家だったラウル・レイェスら数十名が隠れていた場所を空爆して彼等を殺害したことに起因する。その時にラウル・レイェスが使っていたパソコンが見つかり、コロンビア政府はFARCの20年間の活動についての情報を手に入れることが出来たのである。その情報からFARCがベネズエラの防衛軍そしてカストロ政府と繋がりをもっていることが明白にされたのであった。

FARCが生産していた麻薬はベネズエラの領土を利用して米国や中米に送っている。そしてヨーロッパではスペインを起点にヨーロッパ全域に輸送しているのである。ベネズエラ政府は国家防衛軍の幹部らがこの密輸出に協力している。そして、彼等は今ではベネズエラから密輸出を容易にしてやる脇役の役目から、エル・カルテル・デ・ロス・ソレス(El Cartel de Los Soles)と呼ばれるベネズエラ軍人による麻薬組織にまで発展しているという。ベネズエラ議会の元軍人のカベーリョ議長は、この麻薬組織のリーダーのひとりと見られている。同様に元内務相でアラグア州のアイサミ州知事は中東のヒズボラのナスル・アル・ダインと麻薬売買で関係があると、FBIは2015年より見ているという(「Lainformacion」)。

麻薬で被害を受けている米国政府が動いたのは2008年である。チャベス政権の高官3人に対し、ベネズエラにおいてFARCの麻薬販売活動を容易にさせたという容疑で制裁を課した。さらに、ベネズエラの多くの軍人が麻薬輸送に関与していることが明確にされたのは、アラブ出身のベネズエラ人ワリッド・マクレの供述によるものであった。彼は麻薬の密輸の容疑で2011年にコロンビアで逮捕された時に、ベネズエラの高位の軍人や官僚高官らと8年間取り引きをしたと供述したのだ。彼曰く「ベネズエラから毎日、コカインを積んだ飛行機が5-6便ホンジュラスに飛んでいた」。彼はベネズエラのことを麻薬国家と呼んでいる。

さらに、防衛軍が関与していたこととして注目を集めた出来事があった。2013年にベネズエラのカラカスからシャルルドゥゴール空港に到着したエール・フランス便の中に、1382キロのコカインが発見されたことである。2億7000万ドル(275億円)相当の価格になるという。このフライトがベネズエラの地を離れるまで3ヶ所のコントロールを通過せねばならないことになっていた。この検査の怠慢で22人が逮捕され、その中には防衛軍の3人の下仕官と5人の軍曹がいたという(「Lainformacion」)。

またマドゥロ大統領の夫人の二人の甥っ子であるフランシスコ・フローレス(30)とエフライン・アントニオ・カンポス(29)も麻薬売買に関与していたことが発覚した。彼等は昨年11月に米国に800キロのコカインを密輸しようとしてハイチで逮捕された。FARCから手に入れる予定だったという。米国の麻薬取締局(DEA)が送った麻薬バイヤーになりすました人物と彼等は交渉してそれが発覚した(「infobae」)。

国家崩壊の寸前にあるベネズエラであるが、チャベス前政権から優遇されて来た軍人は政府の高官となり富と権力を享受している。そして彼等の配下にいる軍人もその恩恵を受けている。その統制管理をしているのは議会議長の軍人カベーリョだ。マドゥロ大統領は軍部に胡麻をすって自らの政権の延命を託すだけである。それが現在のベネズエラの政治の現況である。軍部によって政府はコントロールされて、マドゥロ大統領の政権転覆を狙ったクーデターも仕掛け難くなっているのだ。

一方の麻薬生産者FARCは、今回の合意から、組織は解体され麻薬生産も破棄することになっている。

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