2015/09/28    10:00

”冷戦”が続く黒海 ロシアとNATOの駆け引きの場に

黒海に位置するグルジアのポチ港。

黒海は地政学的に重要な位置にある。現在6カ国(ロシア、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニア、トルコ、グルジア)が黒海に面して存在している。

ソ連の崩壊後、米国は北大西洋条約機構(NATO)を通して黒海の支配を目論んでいるという。それまでの黒海は、ソ連と、その影響力の配下にある諸国とトルコが平穏な均衡を保っていた。黒海は戦略的に重要な位置を占めるからである。
 
黒海は、嘗てソ連が指揮下のワルシャワ条約機構とトルコが属するNATOの二つの勢力圏の間に挟まれた外洋に繋がる海として存在していた。ワルシャワ条約機構のメンバー国は黒海沿岸の70%を占め、トルコの30%を占めるNATO勢力に勝っていた。

その一方で、戦略的にはボスポラス海峡とダーダネルス海峡を領有するトルコが属するNATOの方が優位な位置にあった。なぜなら、この二つの海峡を封鎖すれば、黒海は外洋と繋がらなくなるからである。即ち、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニア、グルジアは外洋に出る経路が閉ざされ、完全に内陸国となってしまう。そして、クリミアのセバストポリに基地をもつロシア艦隊も孤立することになる。
 
上述6カ国の背後には、黒海に直接面していないが、黒海の存在に大きく影響を受けている国としてアゼルバイジャン、アルメリア、モルダビアがある。そして、これらの国には独立を求めて活動している自治州の存在がある。

モルダビアの沿ドニエストル自治州、グルジアのアブハチアと南オセチア自治州、アゼルバイジャンとアルメリアの間のナゴルノ・カラバフ自治州がそれぞれ独立を目指して、地理的に所属している国と紛争を抱えている。これらの自治州の市民は、その大半が親ロシア派である。即ち、独立国家となれば、ロシアの影響下に入ることを望んでいる国だ。
 
1991年のソ連の崩壊によって、黒海を挟んでの両勢力の均衡が崩れ始めるのである。ブルガリアとルーマニアはワルシャワ条約機構からNATOに移った。この2カ国には米国の駐屯基地も既にある。グルジアもNATOに加盟する姿勢をもっており、米国は2002年からそれに応える動きをしていた。

しかし2008年にロシアとグルジアが抱える南オセチア問題で紛争になったため、今のところ加盟は見送られている。しかし、同国の2つの港、スクミとポチには既にロシア艦隊が自由に寄港出来るようになっているという。
 
そして、ウクライナでは、クリミアはロシアに併合されたものの、それ以外の地域では紛争が続いている。ウクライナ紛争がこれからどのような展開になるが不明であるが、ロシアは親ロシア派のルガンスク地方とドネスク地方を手放す意向は毛頭ない。

かつてワルシャワ条約機構に属していた、黒海を囲む国がNATOに加わる中、今度はNATO加盟のトルコが、ロシアと黒海の海底を通して天然ガスのトルコへの輸入パイプラインの建設に合意した。しかし、米国がその後トルコに圧力を掛けて、この計画を中断させている。天然ガスパイプラインを通してトルコとロシアとがより緊密な関係になれば、地政学的に米国は完全に不利になる。
 
一方、NATOに加盟を望んでいるウクライナが黒海の海底油田の開発に関心を示している。しかし、それがトルコの領域に関係しているため、トルコは反対している。

そして黒海を挟んでの両勢力の拮抗が激しくなる中で、カスピ海の天然ガスと石油をヨーロッパに輸送する経路も黒海を挟む地域の情勢に依存するようになっている。
 
スコットランドのジャーナリストであるニール・アチャーソン氏が、「黒海を囲む国同士は統一されたり分離したりしたが、信頼し合うというよりも嫌悪していたふしもある」と指摘し、「黒海から受ける印象は悲しく、それぞれが異なった文化への不信をもち、それが永久になくなることがないようだ」と述べている。また、米政治学者のジョージ・フリードマン氏は、「黒海は米国の対ウクライナとシリア・イラクの作戦上の重心となるべきである」という。その理由として、「戦略上、黒海はこの2つの地域の中心的位置にあることからだ」と指摘している。

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