2017/05/01    08:10

年間3000万人の観光客が訪れるバルセロナでホテル建設禁止例?!

ヨーロッパではフランスと並ぶ世界で屈指の観光国であるスペインの昨年の観光客は7500万人。スペインの中でバルセロナは最も訪問客の多い都市となっている。昨年は3000万人がバルセロナを訪問したという。
 
ところが現在、バルセロナでは、ホテルの建設を禁止する条例がバルセロナ市役所から出されている。その理由は、市民の生活向上と世界に誇れる観光都市にするためであるとしている。アダ・コラウ市長の説明では、ホテルはこれまで無秩序に建設されて来たそうだ。そこで、新しいホテルを建設する前に、市役所が計画している観光都市計画に沿った形で新しいホテルを建設したいとしている。

問題はその観光都市計画が具体化し市議会で承認されるまで既に1年半が経過しているということである。この間のホテルの建設は一切出来ない。しかも、バルセロナの歴史地区とされているシウター・ベーリャと呼ばれている古い町並みを残した地区は、仮にホテルが閉店しても、それに代わって新しくそこにホテルを建設することは出来ないとしているのである。
 
この様な条例を決め、カタルーニャ市議会で承認させたのは2015年6月から市長に就任したポピュリズム政党の党首アダ・コラウである。彼女が理想としている都市建設とは、ルーマニア出身の数量経済学者ニコラス・ジョージェスク・レーゲンの理論に基づくもので、「人間と自然の関係を均衡化させるには生産をまずコントロールしながら徐々に削減させていく。それを実現させる唯一の手段は市民生活を政府が強制的にコントロールすることである」という理論である(okdiario.com)。

分かり易く説明すれば、無秩序に観光都市として成長したバルセロナは、一旦その成長を留める必要があるということである。そして、市民生活の向上を図る為に、市政の完全なるコントロールの元に統制化された観光都市にするということなのである。その犠牲者の一つがホテル業界ということである。
 
この条例が理由で、38のホテルの建設プロジェクトが中止せざるを得なくなったのである。建設しようにも、市役所から建設の認可が下りないのであるから建設を諦めるしかない。期待されていた30億ユーロ(3450億円)の投資も、また雇用の創出も消滅した(larazon.es)。

この市の方針にホテル業者は強い憤りを隠せないでいるという。Barceló、Majestic Group、Nuñez y Navarro、Room Mate、Alting、One Shot Hotels、Grupotelなどホテルチェーンはバルセロナ市内にホテルの建設を予定していた業者だ。その多くがシウター・ベーリャの旧市街歴史地区にホテルの建設を予定していた。更に、彼らを憤慨させているのは、上述したように、この旧市街地区でどこかホテルが廃業したとしても、新たにこの地区でのホテルの建設は出来ないとしていることである(okdiario.com)。
 
バルセロナにはおよそ900のホテルが存在している。予定されていたのは11600のベッド数の増加で、それは現存の8%に相当するとされていた(eldiario.es)。

昨年、バルセロナのホテルでの宿泊者は1950万人と記録されている。これはこれまでの最高記録だという。その結果、市の財政に8600万ユーロ(98億9000万円)が歳入としてもたらされた。というのは、バルセロナでは五つ星のホテルは2.5ユーロ、四つ星は1.25ユーロ、それ以下の星数の場合は0.75ユーロが宿泊者が払う税金となっているからである(sabemos.es)。
 
市政の影響を受けているのはホテルだけではない。シウター・ベーリャの旧市街地区では、この先1-2年間、商店、カフェテリア、レストラン、スーパー、ディスクテーク、自転車等のレンタルショップなど観光客へのサービスに繋がる営業店の新規の開店は認可されないのである。これも、上述の数量経済学者の理論に基づいた、その地区の住民とその環境を調和させるために新たにそこに観光者を増やす要因となるものは設けないという考えなのである。市の方針としては2年間この政策を続けるとしている。
 
バルセロナの観光収入はカタルーニャ州のGDPのおよそ12%を担い、12万人の雇用がそれに依存しているのである。彼女の理想論に基づく観光都市計画はこの収入さえも犠牲にする構えである(ATRESMEDIA)。
 
また、観光客が安く旅行できるように、マンションの所有者がサイドビジネスとして彼らのマンションを民泊として提供することができるようになっている。その代わり、マンション所有者は民泊で得た収入を所得申告に加えるのが義務となっている。しかし、無秩序にその様なマンションが増加した結果、税金を納めない闇の宿泊マンションが増えると事態になっている。しかも、同じ建物に住む一般住民にとって、観光客の品行が悪いといった不満もあって、市役所はこのサイドビジネスで得る収入の税金を値上げし、また闇マンションがあればそれを隣人が市役所に密告するようにと促すようにもなっている。
このようなマンションに宿泊する者は若者が多く、容易に風紀を乱し、隣人にとって迷惑であるのは充分に理解される。そうであるが故に、エコノミーホテルの増設も尚更必要なのである。しかし、アダ・コラウ市長には「企業ビジネスは悪である」という考えしか受け入れられないようである。
 
彼女は現在世界的に流行している反体制派を掲げて政治活動をして市長のポストを勝ち取ったわけであるが、どこの国においても理想論ばかり先にひとり歩きするポピュリズム政党が国の発展に貢献しているのは稀である。彼女の市長としての任期はまだ2年残っている。バルセロナ・オリンピック以後、市内のインフラを整備し、観光都市としての発展をプラニングした結果が現在のバルセロナである。これまでの努力が、彼女の反体制を基本にした政治で一挙に後退するかもしれない(okdiario.com)。

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