2015/11/16    14:07

プロフ画像をトリコロールにしたみんなの関心をどう生かせるだろう――パリのテロ事件に思う

フランスのパリで、「イスラム国」による痛ましいテロ事件がありました。犠牲になられた方々に、心から哀悼の意を捧げます。
 
日本でも多くの人々が、Facebookのプロフィール画像を、続々とフランス国旗のトリコロールに変え、事件を悼む気持ちを表明しています。6月にアメリカの連邦最高裁が同性婚を認める判決を下した際も、タイムラインには虹色のプロフ画像があふれましたが、こうした大きな出来事の際に、世界の人々が「団結」を示すことができる手段を提供するFacebook社の素早さには、感心するばかりです。
 
ただ、今回の事件に対するリアクションを見ていて、私がふと思い出してしまったのは、ナチスのアイヒマンが言ったとも、ソ連のスターリンが言ったともされる、「一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」という言葉でした。
 
パリで100人以上の人命が犠牲になった一方で、シリアでは内戦の始まりからこれまでに、20万人を超える死者が出ています。アメリカなどが介入を放置してきたことが、内戦が長引く原因になったことも事実ですが、この問題についての関心は一般に日本では、これまでそれほど高くなかったのが現状ではないでしょうか。観光地として馴染みがある「花の都」で100人が亡くなれば、それをみんなで悼むが、遠い中東の国の内戦で数十万の単位で人が死んできたことは、そこまで注目されてきたとは言えない。この差はなんだろうか、という問題です。
 
私がここで言いたいのは、プロフ画像をトリコロールにすることがいけないとか、そういう問題ではありません。世界の遠い場所で起きている出来事に、私たちが普段から問題意識を持つためには、どのような仕組みが必要なのだろうかと、あれこれ考えてみたいのです。私たちが世界の問題に、当事者としての意識を持つためには、何が必要でしょうか。
 
たとえば、新聞を見れば昨日、今日と、パリからのレポートで溢れています。しかし、たとえば15日付の朝日新聞では、国際面でテロリストが難民に紛れていると懸念されてきたと指摘しつつも、隣のコラムではヨーロッパ総支局長が、欧州は国境を閉ざすべきではないと事件の初報のタイミングで、早くも釘を刺していました。今回の事件をきっかけに、移民や難民の受け入れを躊躇する議論が広がることを見越して、先手を打ったということでしょう。
 
社の意見は意見として尊重しつつも、そこでふと考えるのは、果たしてもし今後、日本でも同じような事態が起きたとして、朝日新聞は同様の強いスタンスで同じ主張を言い続けることができるだろうか、ということです。遠い国での出来事については、「テロは許せない」「鎖国はすべきでない」と言うことができる。しかし、いざその事態が私たちの身に降りかかったら、どうだろう。私たちは変わらぬ信念を持って、「テロは許せない」と言うことができるだろうか。これは偶然、朝日新聞を読んでいて考えついたことで、同紙だけではなく社会全体で考えたい問題だと思っています。
 
そして、世界の問題について「私だったら」を考える、「どういう原則で考えるべきか」を考える。それを続けていくことが、前述した「世界の遠い場所で起きている出来事に、私たちが普段から問題意識を持つためには、どのような仕組みが必要なのだろうか」という問いの、きっかけになるのではないでしょうか。
 
プロフ画像が続々とトリコロールに変わっていくところを見れば、普段はあまり話をしないとしても、本当は多くの人々が、実は世界の問題に関心を持っていて、何か関わりたいと思っているのだということが分かります。では、プロフ画像を変える以外に、多くの人々が加われるような仕組みを、何か創れないだろうか。私にも、まだ答えはありません。でも、Facebookのトリコロールはそうした問いを教えてくれました。

なお、「イスラム国」は今回のテロ事件について、「退廃した西洋文化」を攻撃するとしてロック・コンサートの会場やサッカー場を狙いました。何もかも「退廃した文化」と言って爆破されたのでは、たまったものではないですし、一言で言えば、”It’s none of your business”という話です。テロを撲滅する取り組みは、国際社会として、続けていく以外にありません。

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