2016/10/05    13:25

メキシコの底力をはばむ麻薬カルテル

メキシコは世界で犯罪件数の多さではトップクラスの一つである。その要因は麻薬組織カルテルとそれに関係している多くの暴力グループが横行していることによるものである。メキシコの7月の犯罪件数は今年最高を記録した。8月23日付メキシコ電子紙「SINEMBARGO」からその内容を一部抽出しよう。

  •  7月の殺人事件の被害者: 1842人 (前年同期比26%の増加)。
  •  今年1月から7月までの殺人被害者は11257人。
  •  殺人事件の最も多い州: ゲレロ州、メキシコ州、ミチョアカン州、ベラクルス州、チウアウア州、バハ・カリフォルニア州。

ゲレロ州では7月は215人が殺害され、今年7か月で1267人が犠牲者となっている。
メキシコ州では7月に172人が殺害され、今年7か月で1204人が死亡。
ミチョアカン州では1月から7月まで678人が殺害された。

 
殺人事件のほとんど全てはメキシコで根を張る麻薬組織カルテルが関与している。その中でも一番名の知られたカルテルはシナロアで、その親分はホアキン・グスマン・ロエラ=通称エル・チャポである。彼は現在刑務所に収監されて公判を待っている。シナロアが年間に稼ぐ収入は凡そ30億ドル(3000億円)と推定されている(「infobae」)。

そもそも、メキシコでカルテルが犯罪組織として注目されるようになったのは1970年代であった。しかし、その当時は二つのカルテル、グアダラハラとデルゴルフォが存在して、メキシコの10州に勢力を張っていると公的レベルの報告がされただけで、連邦警察によるその取り締まりはなかったという。
 
その後、彼らは隣国、米国の麻薬販売市場を相手に成長して行った。1985年に米国の麻薬取締局(DEA)のエンリケ・カマレナ調査官がグアダラハラが秘蔵していた4000キロのマリワナを押収した。その3か月後にカマレナは彼らによって暗殺された。
 
この事件が切っ掛けとなって、メキシコ政府はカルテルが拡大するのを阻止する動きを始めた。と同時にその時に、米国政府からもメキシコ政府に圧力がかかり、当時のミゲル・デ・ラ・マドリード大統領はグアダラハのリーダーを逮捕する為の捜査を開始した。
 
カルテルが注目されてから40年が経過した今、ペーニャ・ニエト大統領政権下では主要9つのカルテルを加えて45のカルテルが存在し、組織は巨大化している。ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンのように、2015年に連邦警察のヘリコプターをロケットランチャーで撃ち落とすといった武器まで備えているのである。同様に、デルゴルフォは海兵隊と8時間の銃撃戦を行えるまで戦闘能力を備えた組織にまで成長している(「narcodata」)。

メキシコでカルテルが急成長した背景には国境を隔てた米国に2300万人の麻薬消費者がいる市場を抱えていることである(「narcodata」)。

そして、米国市場で得た販売資金の一部を同市場で武器の購入に充てる。そして、その武器を使ってメキシコ国内で犯罪を犯すというシステムで彼らは急成長したのである。

しかも、安月給の連邦警察官にも2倍の報酬を出して味方につけている。彼らの勢力拡大に鍵を握っている政治家も買収され、それに応じない政治家に待っているのは暗殺されることだけである。
 
勿論、カルテル同士の縄張り争いも激しい。つい最近、エル・チャポの息子がシナロアから分離したハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンに誘拐された。当初、殺害されるであろうと言われていたが、釈放された。恐らく、シナロアが持っている縄張りの一部譲渡が彼の釈放と引き換えに交わされたものであろうと推測されている。
 
カルテルの犯罪組織が蔓延る中で、メキシコ経済は米国市場に依存し続ける限り成長は約束されている。現在、米国市場が少し低迷を始め、原油価格も回復しない状態ではあるが、今年の上半期はGDP2%の成長を示した(「El Pais」)。
 
カルテルによる犯罪が減少し、治安の安全が確保されるようになれば外国からの投資はかなり期待できる。なにしろ、ラテンアメリカにおいてメキシコはブラジルに次ぐ2番目の経済大国としての底力をもっているからである。

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