2016/08/17    13:05

アメリカの次期大統領に期待を寄せないラテンアメリカ

米国の次期大統領候補ヒラリー・クリントンもドナルド・トランプもラテンアメリカでは期待されていない。現在のコロンビア、ベネズエラ、エクアドル、パナマを統合した「大コロンビア」を建国したシモン・ボリバルが1829年8月5日付で書いた手紙の内容がそれを上手く表現している。その手紙には〈米国は自由という名のもとに、アメリカ(ラテンアメリカ)を貧困で満たすことが摂理で運命ずけられているようだ〉と綴っている(「El Pais」)。正に、ボリバルのこの手紙の内容が現在のラテンアメリカをして両候補への期待の薄さを如実に示している。
 
イプソス(Ipsos)の世論調査によると、有権者の67%はクリントン候補は不品行だと看做し、トランプ候補には(同じ意味で)62%がそうだと答えたという(「RT」)。それを裏付けるかのように、以下にラテンアメリカの著名人の意見を伝えることにしよう。 

 

マリアノ・バスケス(ボリビアのジャーナリスト)

クリントンもトランプもどちらが選ばれてもラテンアメリカとの関係に変化は見られない。両者ともテロとの戦いということで中東への敵対的立場を強める。ボリビアとの関係もエボ・モラレス大統領が社会主義策を維持する限り両国の関係は冷え続ける。
 

マルセロ・コルシ(グアテマラの政治アナリスト)

二人ともラテンアメリカとの関係改善にはならない。強いて挙げるなら、クリントンの方が悪くはない。また嫌悪感も少なく、関係改善に期待はもてる。トランプではそれは全く期待出来ない。
 

アティリオ・ボロン(アルゼンチンのブエノス•アイレス大学の調査研究家)

二人ともラテンアメリカには都合の良くない候補だ。クリントンの方が弊害は少なく、動きも余知出来る。しかし、彼女はウォール街、軍事産業、イスラエルのロビイストである。ラテンアメリカにとって、どちらの政権も2世紀以上も前から(米国が)踏襲し続けている政治の遂行で良いとは思えない。

アルレン・アギロン(ベネズエラの社会コミュニケーター)

エネルギー資源の確保の為に好戦的な政治を両者とも維持する。
 

フアン・アルベルト•サンチェス•マリン(コロンビアの政治アナリスト)

クリントンはオバマ政権の継続と思われる。コロンビアが現在取り組んでいるコロンビア革命軍(FARC)との和平協定に継続して支持を得る良い機会だ。しかし、クリントンはイラクとリビアへの侵略支持者だった。またイスラエル政権への支持者で、ホンジュラスのクーデターも支持した。ベネズエラの政権瓦解を狙っている。ボリビアとエクアドルでクーデターを敢行させようとしたことなど、彼女はラテンアメリカの政治に影響を与えるには汚点をもっている。トランプは嫌悪と人種差別をより鮮明に煽るだけだ。

 
また意外な意見として、社会主義を推進して来たエクアドルのコレア大統領はトランプ候補を支持し、ラテンアメリカで漸進的な動きを活発化させるには良い機会だ、と指摘して、トランプが大統領になることを好意的に評価している(「RT」)。
 
オバマ政権下で、昨年から今年にかけてアルゼンチンとブラジルの政権交代は米国が背後から動いていたのは確かである。その陰にはウォール街のエスタブリッシュメントの影響力も存在していた。それを如実に見ることが出来るのは両国の新政権の財政担当はゴールドマン・サックスに以前勤務していた人物を起用されている点だ。この結果、ブラジルの中国とロシア主導のBRICS加盟が名目的な存在だけとなった。同様にアルゼンチンもフェルナンデス前大統領の政権下でBRICSへの加盟が取り沙汰されたが、マクリ新政権はそれに全く関心を示していない。

仮にクリントン政権が誕生すればこれまでと同じ外交が踏襲されることになる。ペルーの新大統領として就任したクチンスキー氏も世銀に長年勤務した経験をもつ人物で、米国の金融業界には精通しており、今まで以上に米国との関係は強まる可能性がある。

米国がラテンアメリカで次に政権の交代を望んでいる国としてベネズエラ、エクアドル、ボリビアがある。昨年8月の「HispanTV」電子紙はラテンアメリカの政権交代に米国は〈20億ドル(2200億円)を投入した〉と報じた。
 
一方の中国はラテンアメリカへの投資を通じて影響力を発揮しているが、同様にロシアもキューバ以外にアルゼンチン、ブラジル、チリ、ベネズエラ、ペルーなどでこれまで太いパイプを維持して来た。しかし、シンクタンク「Katehon」はクリントンが大統領になればトランプ以上に〈ロシアとの対立が顕著になる〉と指摘している。となると、ラテンアメリカにおいても両国の葛藤が具体的に表面化するはずだ。
 
クリントン候補は副大統領候補にバージニア州知事のティム•ケインを指名した。彼は若い時分にホンジュラスでカトリック教徒の奉仕ミッションに加わって現地で活躍した経験をもっている。また米国議員の中で珍しくラテン系出身ではなくて流暢にスペイン語を話す人物でもある。米国で現在スペイン語を日常生活に使っているヒスパニックが4000万人いる。しかも、クリントンが強硬派的なイメージをもっている中で、ケインの穏健派としての存在は重要であり、ヒスパニックの票を獲得するにも重要な役目を担うことになる。前回のオバマ大統領の再選でも彼がヒスパニックの票田の大半を手中に収めたことが勝利の重要な要因となった。
 
一方のトランプ候補が副大統領に指名したインディアナ州知事のマイク•ペンスはラテン人を魅了するにはこれといった特徴はない。トランプの豪言を常とする断定的な姿勢を中和させるかのようにペンスは謙虚な姿勢を前面に出しているが、ヒスパニックからの票の獲得には説得力に欠ける感じだ。

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