2016/08/24    13:59

フィンランドがNATOに加盟すれば、ロシアからの脅威は倍増する

フィンランドがNATOに加盟するのではないかという憶測が飛んでいる。7月1-2日とプーチン大統領がフィンランドを訪問した。何故、フィンランドを訪問したのか?

7月8-9日とポーランドの首都ワルシャワでNATO首脳会議が予定されているからで、プーチン大統領はその前にフィンランドを訪問して加盟を躊躇うように牽制する為であった。フィンランドの国民の間でもNATO加盟を巡って賛成派と反対派に分かれている。

プーチン大統領はヘルシンキ訪問中に、「フィンランドがNATOに加盟すれば、フィンランド軍は中立であることを放棄することになる。そしてロシアとの国境沿いにフィンランド軍が配備される。1500kmある国境をそのような状態にしておくことを我々が容認すると思いますか?」と述べた。それに対抗する処置をロシアは取るということを意味するものであった(「Hispan TV」)。
 
人口530万人のフィンランドは歴史的に1809年-1917年までロシアに属した時代もあった。戦後はソ連圏にあっても、議会制民主主義を維持し、資本主義経済を実践した。しかし、中立性を維持する為にNATOにもワルシャ条約機構にも加盟しなかった。その姿勢にソ連も欧米も尊重した。しかし、ソ連が崩壊するや、フィンランドは欧米に接近し、1994年にはEUに加盟した。2000年にはユーロ通貨も導入。しかし、NATOへの加盟だけは保留にした。
 
ところが、ウクライナ紛争でのロシアの動き、そして2014年のクリミア併合を見たフィンランドは、スウェーデンと共にロシアからの侵攻を恐れるようになった。それがフィンランドがNATO加盟に強い関心を示すようになった動機である。

しかし、スウェーデンとは異なり、フィンランドはロシアと1340kmに及ぶ国境を持ち、両国の貿易取引も盛んである。国家経済に重要な影響を及ぼすロシアとの貿易取引を犠牲にしてまでNATOに加盟する必要があるのかというのがフィンランドが抱えている疑問だ。

フィンランドがNATO加盟に関心を寄せるもうひとつの理由は、フィンランドは常にデンマークとスウェーデンと一緒になって3カ国でスカンジナビア圏として、政治面そして経済面を共有して来たことである。デンマークはNATO創設の早々から加盟しており、スウェーデンも近く加盟する可能性が強い。その中にあって、スカンジナビア3カ国でフィンランドだけが未加盟という状態になるのは政治経済面において将来的には都合が良くないと考えられているからだ。

今のところ、フィンランド政府は国民投票を実施して加盟するか、しないかを決めるという方針でいる。昨年10月の世論調査では賛成22%:反対55%という結果になり、一方のスウェーデンは賛成41%:反対39%となっている(「Katehon」)。
 
フィンランドの元外交官で現在地政学専門家のジャイル・ライタ氏が次のような指摘をしている。

「今回のプーチン大統領の訪問は(加盟しないことに)肯定的な雰囲気を生んだ。(彼の訪問は)フィンランドに安心感をもたらした」「フィンランドはNATOに加盟すべきではない。NATOとも協力すべきでもなかった。残念ながら、それは(フィンランドの中立を不動のものにした)ケッコネン大統領の精神を否定したことになった」「報道メデイアは、EUが天国であり、そしてNATOはそこに通じる扉であるかのように装っている。しかし、現実には、英国が今回やったように、多くの人たちはそこから出たがっている」(「Katehon」)

ライタ氏が述べている「フィンランドがNATOとも協力すべきでなかった」という言葉は、フィンランドが1993年から毎年NATOが実施している大規模な軍事演習に参加していることを意味している。今年は5月に「Baltops 16」と称して、ロシア軍がバルト海で活発の動きを展開しているのを意識して、エストニア、フィンランド、スウェーデン、ポーランドの領海で18カ国、4500人の部隊が集まって軍事演習が実施された(「Elpais.cr」)。
 
NATOはできるだけ兵力をロシア領土に近づけ、ロシアを包囲する形にするのが現在の狙いである。今回のワルシャワ首脳会議でもロシアと国境を共有するバルト三国と、ポーランドに4000人規模の多国籍部隊を派遺することも決めた。ポーランドは隣国にウクライナを持ち、しかもロシアが飛び地として持っているカリニングラード州にはミサイルシステムS-400とミサイル9K723イスカンデル-Mが配備されている。そことポーランドとリトアニアは、国境を分かち合っている関係から両国はロシアに強い脅威を抱いている。

ゴルバチョフが大統領であった時、米国はウクライナに干渉しない、またNATO軍も(当時の)現状のままで拡張しないと約束したこともあって、ゴルバチョフはソ連圏にあった東欧諸国にそれぞれ政治、経済、防衛などで選択の自由を与えた。しかし、今ではEUは東欧諸国を加盟国に加え、ワルシャワ条約機構に盟していた国々までもNATOに加えてロシアを包囲する戦略を展開している。ロシアがそれに異を唱えて対抗手段を構じるのは当然である。実際、兵器の技術レベルではロシア製の方が、米国製よりも優れていると評価されるまでになっているという。

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