2015/09/12    08:00

オバマの「やるやる詐欺」と、ブッシュの「いけいけミス」

シリアからの難民がヨーロッパに押し寄せ、EU各国が受け入れをめぐって議論を続けている。この問題は、来年のアメリカ大統領選挙を考える上で、とても参考になるテーマを提示している。
 
なぜなら、シリアで難民が発生しているのは、言ってみれば、オバマ米大統領が「介入やるやる詐欺」で内戦を放置してきたことにも、原因の一端があるからだ。オバマ大統領は2013年、シリアのアサド大政権側が化学兵器を使ったとして、軍事介入を表明したが、ロシアの仲介でアサド政権が化学兵器の破棄を表明すると、振り上げたこぶしを下ろしてしまった。
 
オバマ大統領は「アサド大統領は退陣すべきだ」とは言いながらも、反体制派を本格的に支援するでもなく、内戦は継続した。そして、混乱に乗じて「イスラム国」が勢力を拡大し、中東の混沌に拍車がかかり、今日の状況になっているのは周知のとおりである。
 
ブッシュ前大統領はイラク戦争に象徴される「イケイケ」の軍事路線を取ったが、その反動もあって、オバマ大統領はなるべく海外の紛争に関わらない道を選んできた。しかし、その結果、アメリカのリーダーシップが失われたと嘆く声が大きくなっている。
 
米ワシントン・ポストのフレッド・ハイアット論説委員は、「オバマのシリアでの成果」と題したコラムで、オバマ大統領の外交政策の結果、アメリカが海外の出来事への関心を失ってしまったと、次のように嘆いている。

これこそが、もっとも驚くべき、オバマ大統領の外交政策における功績(レガシー)である。彼は、稀に見る規模の人道的、文化的災害の責任を負っているだけでなく、アメリカ国民をなだめて、この悲劇に何も責任を感じないようにさせてしまったことである。
(Washington Post “Obama’s Syria achievement” 2015/09/06)

ブッシュ大統領の8年間が過干渉だったとすれば、オバマ大統領の8年間は不干渉ということになるだろう。来年、新たな大統領を選ぶアメリカ国民の前には、極端な2つの事例が題材として用意されているということだ。コラムニストのエドワード・ルース氏は、英フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、次のように述べている。

アメリカの中東での威信は、ジョージ・W・ブッシュの時と同じくらい、オバマのもとでも傷ついた。2つを比較するのは、不公平だろう。主にイラク戦争によるブッシュの間違いは、行動を取ったことによるものだ。オバマの間違いは、ブッシュの遺産をどう取り扱うかにおける、不作為によるものだ。しかし、どちらの損失も大きい。
(Financial Times “Barack Obama’s debt to Syria’s huddled masses” 2015/09/06)

来年に控える大統領選では、この時期から早くも外交政策が争点の一つとして浮上している。ブッシュとオバマ、2つの反省をめぐって、この問題が大きな関心を集めていることが伺える。アメリカ国民が、外交政策でどのようなバランスを求めるのか、日本のかじ取りにとっても大きな影響を与える問題である。

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