2015/12/30    08:00

ドイツでシリア難民がテロを起こす可能性について――ヨーロッパでの報道から

ドイツで難民を対象に、サラフィー・ジハード主義者が聖戦への参加を募る活動をしていることを言及した政治外交アナリストのソーレン・カーン氏のレポートが、シンクタンク『GATESTONE』のウェブサイトに公開された。

その中で、ドイツ連邦憲法擁護庁(BfV)のマーセン長官が12月3日に「Der Tagesspiegel」紙との会見の中で「ドイツには現在7900人のサラフィー•ジハード主義者がいる」と言及したことを挙げ、2011年に3800人であったが2014年には7000人まで増えたことを明らかにした。さらに同氏は、現在ドイツには「イスラム教徒が600万人いるが、サラフィー・ジハード主義者は僅かである。男女を問わず若者にそれが多い」と指摘した。しかし、保護を求めて来る全ての難民をテロの脅威と関係ずけるのは過ちであると述べて、少し楽観視した意見を表明したという。

マーセン長官の楽観的な意見に批判的なのが、上述紙の編集長レミング氏だ。彼は「マーセン長官はジハードからの脅威を過小評価している」と述べた。そして、「パリ同時多発テロの実行犯3人はシリア難民としてEUに流入した」ことを挙げ、その上で、「ドイツでこれまでテロ事件が発生しなかったのは全くの偶然だ」と指摘した。

同レポートには、アラブ系イスラエル人で10年以上ドイツに在住しているイスラム専門家のマンス氏が、ドイツ政府はイスラム過激主義に対して充分に闘っていないと指摘したことも加えている。マンス氏はさらに、「ドイツ民主主義では国家、宗教の自由、男女平等などが宗教と分離されているが、サラフィー主義者はその分離を拒否している。その為に、ドイツ憲法の法令とサラフィー主義者の絶対概念が矛盾するという現象が生じている」ことを挙げた。特に、「イスラム人の若者の間では(ユダヤ人による世界征服の)陰謀論を信じて、反ユダヤ的考えに走り、民主思考を受け入れない」という問題が存在しているという。そして、「この問題を解決する為のプランがドイツ政府にはない」とも指摘した。

12月3日付の雑誌『Stern』がアンケート調査した結果によると、61%のドイツ人が「近い将来、ジハード主義戦士がテロ事件を起こす」と答えたという。そして、「58%の国民がイスラム国を攻撃することに賛成」と答え、「63%はその報復テロがドイツ国内で起きる」と回答したという。
 
ジハードによるテロ活動が起こる可能性のあるドイツで、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、12月14日に南西部のカールスルーエ(Karlsruhe)で党大会を開催した。最大の課題は今年100万人が流入すると予想されている難民問題である。

党内には無制限に受け入れる政府の姿勢に反対している議員もいる。そして連合を結んでいるキリスト教社会同盟(CSU)も同様に受け入れに制限を設けるべきだという考えだ。その為に、今大会の開催を前に反対議員やCSUと事前の交渉をして、政府は難民流入の削減に努めるが、人道的な意味あいからも受け入れの上限を具体的に設定しないことで双方合意に達したという。

党大会でメルケル首相は「第二次世界大戦以来最大の難民の流入を前に、ドイツはこの試練を乗り越える能力がある」と述べ、「難民への人道的保護に努力を集中させ、ドイツに在留する資格のない者は出身国に送還させる」ことを誓った。更に、演説の中で、今年起きたシャルリーエブドのテロ襲撃事件、ジャーマンウイグス機墜落事件、ウクライナ紛争、地中海で止むことのない難民の溺死、シリア、イラク、リビア紛争そしてイスラム国の脅威など、不穏な情勢にも触れたという。
 
党大会に出席した党員はメルケル首相の演説に拍手喝采を送ったが、彼女の政権への信頼が試されるのはまだこれからである。

特にCSUが選挙地盤とするバイエルン地方はオーストリアと国境を接しており、これまで日毎に4000-5000人の難民が流入して深刻な社会問題になっている。また、つい最近のパリ同時多発テロに参加したジハード戦士のひとりはドイツに難民として流入していたということが判明している。更に11月18日付で英国紙『Sunday Express』が、「シリアからの難民の中に4000人以上のジハード戦士が紛れ、その多くがスウェーデンとドイツに向かった」と報じたことも気になる情報だ。

すでに10年間、政権についているメルケル首相の残り2年の政権の明暗は、難民とテロ問題で決められそうだ。しかし、仮に、この2年を上手く乗り切ったとしても、2017年に彼女がCDUの党首に再任され首相に成れる可能性は薄い。既にドイツ国内にはこれまで存在しなかった彼女の再任を望まない動きが次第に増大しているからだ。

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