2016/05/17    14:10

ペルー大統領選、ケイコ・フジモリ大統領が誕生する可能性は?

ペルーで6月5日に予定されているケイコ・フジモリ(40才)とペドロ・パブロ・クチンスキー(77才)は大統領決戦投票に向けて両者は熾烈な戦いを繰り広げている。

4月10日に行なわれた10人の候補者による投票結果はケイコ・フジモリ39.85%、ペドロ・パブロ・クチンスキー21.01%、ベロニカ・メンドーサ 18.78%という得票率で上位3人が決まった(「El Comercio」)。そして、上位二人の決戦投票が行なわれることになった。
 
4月の投票後の予想はクチンスキーが3位のメンドーサの票を集めて僅差でフジモリを破ると言われていた。しかし、5月8日の予想では逆転して、フジモリ51.4%、クチンスキー48.6%と、フジモリが僅差で優位に立った(「Hispan TV」)。
 
得票率3位に終わったメンドーサは、4月27日に「ケイコを支持しない」という市民組織団体を支持する声明を発表した。そして、5月31日にケイコ・フジモリ候補に反対する行進への参加を呼び掛けた。しかし、彼女はフジモリ候補に反対するが、それはクチンスキー候補を支持することには繋がらないとした。そして、彼女が強調しているのは「最悪の事態は、フジモリ主義派が政権に復帰することだ。それが起きないように活動することだ」と述べた(「infolatam」)。

フジモリ主義派というのはアルベルト・フジモリ大統領が行った政治を支持する層のことだ。

アルベルト・フジモリ大統領は財政的に破綻寸前にまでなっていた状態を立て直し、貧困の救済や当時ゲリラ組織が活発に活動していたペルーに平和を取り戻した人物である。その一方で、原住民の極貧を緩和させるべく、子どもの出産を避けるための避妊手術を強制する策も構じた。また反対派に支配されていた議会では国家の再建は出来ないとして、セルフクーデターを行なったあとに、自ら独裁者に留まることをせず、新憲法を発布して議会制度を復帰させた。

しかし、フジモリ主義派の復帰に反対する層は、アルベルト・フジモリが遂行したセルフクーデターで軍部が民間人を拘束して殺害したことから、民主主義を冒涜するものだとし、極貧者の原住民を避妊させたことを人権尊重に反する行為だする。そしてフジモリ大統領の側近が議員を買収している映像が公表されて、大統領が汚職の権化とされた。これらを負の要因と受け取って反フジモリ派の誕生となったのである。

反フジモリ派からの支持を集めようとしたのがクチンスキーである。彼は選挙キャンペーンの初期段階から「私はフジモリ主義派ではない。私は一度も独裁者に仕えたことはない。私の家族や先祖も専制君主や独裁者を支持したことは一度もない。死ぬまで私のこの姿勢は変わらない」と言って反フジモリ派であることを強調して選挙キャンペーンを展開して来た(「Publico」)。

しかし、これまで彼が期待する程には反フジモリ派からの支持を集めていない。その証拠に、フジモリに絶対に票を入れないと表明した有権者は45%と統計されたが、クチンスキーを拒否する有権者が37%もいるのだ(「infolatam」)。

クチンスキーはアルベルト・フジモリ大統領のあとのアレハンドゥロ・トレド大統領の下で経済相として国営企業の民営化に取り組んだ人物である。しかし結局、党内の反対などから彼の経済策は完成を見ないままに終わった。

今回、彼の立候補のスローガンに入っているのが外国からの投資の促進である。彼は世銀に勤務していた経験もあり、世銀やIMFにもパイプをもっている。そして彼の支持基盤はペルーの首都リマを中心に人口の10%を占める白人支配階級である。今、それに中間層で反フジモリ派からの支持を集める為のキャンペーンを展開している。

一方のケイコ・フジモリは、反エスタブリッシュメント層からの支持固めをしている。しかし、中流層においても反フジモリ派がいて票固めが充分に出来ていないが、例えば南部地方にはフジモリへの支持者が60%いる地域もある。ただ、反フジモリ主義派もそこに多くいる(「infolatam」)。

フジモリにとって更なるマイナス要因となったのは、ケイコ・フジモリが「(今回の選挙で勝利しない場合は)2021年の大統領選挙ではフジモリという名の候補者はいない」と発言したあとに、彼女の弟のケンジ・フジモリ(35才)が4月24日に、姉が今回勝利しない場合は5年先には彼が出馬する意向があると表明したのである(「El Comercio」)。

メディアは弟のこの発言を利用して、「ケイコとケンジの争い」という表現を使ってケイコの人気を削ぐ材料にした。これは彼が発言する時期を間違えた勇み足である。因みに、ケンジ・フジモリは今回の議会選挙では最高の得票数を得た候補者であった(「Peru.com」)。
 
そうは言っても、アルベルト・フジモリ大統領が残したプラスの遺産は多い。特に乱れていた治安に平和を取り戻した功績は高く評価されている。そして貧民層の地域に自転車で選挙キャンペーンに行ったもの歴代大統領では彼だけである。

現在、ペルーの治安を取り戻すにはケイコ・フジモリを支持したいという有権者が多くいるという。
それは彼女が父親がやってくれた治安の回復と同じような貢献をしてくれると期待しているからである。またアルベルト・フジモリに仕えたスタッフも治安の回復の為に彼女に協力する姿勢でいることを既に表明している。
 
アルベルト・フジモリ大統領には自らの政党を育てるという意思はなかったという。しかし彼の政治を信奉している者は今も多くいるという。それをケイコ・フジモリは組織的に育てたのである。

フジモリ支持派が成長すればする程、その反対勢力もまた同じように成長しているというのがペルーの現在の姿だ。

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