2016/10/11    14:29

早くも惜しまれるオバマ米大統領――2期目で最高の支持率

アメリカの大統領は、2期務めたら、辞めなければならない。第二次世界大戦を戦ったフランクリン・ルーズベルト大統領は、かつて4選を実現したが、さすがに長すぎたために、「三選の禁止」が戦後、憲法で明文化されることになった。だから、オバマ大統領は来年1月、必ずホワイトハウスを去ることになる。
 
これはあり得ない話だが、もし仮に今日、選挙制度が変わって、オバマ大統領が今回の大統領選に出馬できるとしたら、アメリカ国民が選ぶのは現職の再選かもしれない。CNNの調査によれば、オバマ大統領の支持率は今回の任期で最高の56%に達した。政権末期の数字としては、レーガン大統領並みだという。
 
もっとも、ここ数カ月の間にオバマ大統領が特に目立った成果を上げたわけではない。現職の人気が高まっているのは、新大統領に名乗りを上げている候補2人が、あまりにも不人気であることの裏返しである。
 
共和党のトランプ氏を「好ましくない」と考える人の割合は、ここまで6割前後を維持している。対する民主党のクリントン氏も、5割を超えている。片や政界の現状を打破しようとする剛腕ビジネスマンとして、片や経験豊富な初の女性大統領として、両候補を推す理由はそれなりにあるのだが、それ以上にお互いのウィークポイントが強烈だ。そして、両者のののしり合いが世論を分断する。結果として、「いっそ今のままでいい」と、現職の人気がじりじりと高まる。
 
そうしたメカニズムが見て取れたのが、9日に行われた2回目の候補者討論会だった。各メディアは「非難合戦」「最も醜い討論会」などと、強い表現で報じている。ニュースというのは言葉の意味のとおり、「新しい情報」でなければならない。だから、討論会について各紙が報じ、それがヘッドラインに流れてくれば、何か新しい動きがあったのだろうと読者は思う。でも、“醜い”討論会の内容は、これまでの選挙戦の様子をそのまま再現したかのようで、特に新しいことがあったわけでもない。
 
ちなみに、トランプ氏については、過去の「女性蔑視の発言」が問題視され、撤退を求める声も出ている。しかし、その内容は、テレビ番組に出演した際に、控え室になっていたバス内で話した内容をマイクが拾っていて、それを誰かが公開したという話だった。しかもそれは、10年以上前の出来事である。確かに、発言の内容はあまりにも下品で倫理的に問題があったが、控え室でジョークのひとつも言うことさえ許されないというのなら、さすがに酷な話ではある。政策議論よりも、お互いのあら捜しが、選挙戦のメインテーマになっていることがよく伺える。
 
今回の討論会も、お互いのスキャンダルについて二人が追及し合うという、お馴染みの展開に終始した。論点に目新しさがなかった分、より重要だったのは、会場から最後に投げかけられた質問だったのかもしれない。「お互いの尊敬できると思える点を、1つ挙げてみてください」と質問者が話すと、会場全体が笑いに包まれた。その笑いは、まるで、「これで非難合戦を聞かなくて済む」という安堵感から生まれたもののようでもあった。
 
これだけの非難合戦を行えば、両陣営やその支持者が選挙の後にどこまで「ノーサイド」になれるか分からない。今回の討論会でトランプ氏は、大統領になれば、司法長官に命じて特別検事を任命し、クリントン氏を調査させると威嚇した。逆にクリントン氏が当選した場合には、クリントン氏の疑惑を追及してきた人々の疑念は、どこに向かうのだろうか。批判し合いながらも、「そうはいっても、彼は真の愛国者だ」とお互いを称えあう文化は、今回の選挙戦には見当たらない。
 
今回の大統領選をきっかけに、アメリカ社会が本格的な分断の時代に突入したとしても、驚くにはあたらないだろう。オバマ大統領の人気の高まりは、「融和」という理念を政治が一応は語ることができた時代の最後の大統領の送別を、国民が早くも惜しんでいるということなのだろうか。

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